鍼灸学専攻パンフレット テキスト版
表紙
国立大学法人筑波技術大学保健科学部保健学科
鍼灸学専攻の案内
ACUPUNCTURE MOXIBUSTION MASSAGE
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臨床実習室、灸箱、鍼、膝へのマッサージ、筑波山、つくば市街
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「鍼灸マッサージはヒトの健康に役立つ医療」
・少子高齢化、多様化する価値観、新しい生活様式の創造が進む現在、国民一人ひとりが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくとともに、年齢や障害の有無などにかかわりなく、安心して暮らせる共生社会を実現することが重要視されています。
・超高齢化社会、生活習慣病の増加、ストレス社会と呼ばれる現代において、慢性的な痛みや疲労を抱えている人々が増えています。
・人生100年時代と言われる昨今、心身ともに自立し、健康寿命を伸ばすことへの関心が年々高まっています。健康寿命を伸ばすため、日々の意識的なケアがとても大切です。鍼灸マッサージは、共生社会の中で、ヒトの健康に役立つ医療の一つです。
・鍼灸マッサージは、視覚に障害を有する方の就く職業の中でも、最も社会的自立に結びつきやすく、現代人からのニーズが非常に高い職業です。
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筑波技術大学春日キャンパス校舎棟の風景
2P
・世界で注目される鍼灸マッサージ
今、鍼灸あん摩マッサージ指圧は、予防医学、ペインクリニック、美容、スポーツ分野など、様々な分野で活用されています。鍼灸あん摩マッサージ指圧の効果やメカニズムが、現代科学により解明されつつあり、特に鍼灸は、日本のみならず世界中で用いられ、欧米などでは、新しい治療法として注目されています。
・鍼灸あん摩マッサージ指圧の魅力とは
鍼灸あん摩マッサージ指圧は、多様な価値観が共存する共生社会の中で、オーダーメードな治療ができます。症状の原因を突き止めて、一人一人の体質に合ったからだにやさしい治療です。現代医療と比べ、副作用が少なく、体に心地よい刺激を与え、様々な疾患や病気の予防や治療に役立つことは、魅力の一つです。
・鍼灸学専攻が目指すもの
東洋医学と西洋医学の統合したよりすぐれた医療『統合医療』を提供する本学では、鍼灸あん摩マッサージ指圧が「なぜ効くのか」を科学的に解明するべく、教員たちが研究に取り組んでいます。また、研究の成果を教育に反映させ、東洋医学と西洋医学の両方の見識を有する、未来に羽ばたくスペシャリストを育成しています。
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刺鍼の風景とマッサージの風景に「注目される鍼灸マッサージ」と書かれています。
東西医学統合医療センターの玄関、と外観の画像に「統合医療の実践」と書かれています。
4P―5P
「共生社会で活躍する鍼灸マッサージのスペシャリストを育てる」
・社会に貢献できる先駆的な人材を育成することを教育的使命とし、幅広く豊かな教養と、鍼灸マッサージの技術と知識を通じて、人の健康を守り、社会に役立つスペシャリストの育成を目標としています。
・東洋医学と現代医学の両視点を兼ね備えた高い専門性を教育し、医療をはじめ保健分野、介護分野で貢献できるスペシャリストを育成しています。卒業時に、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の受験資格が得られます。
1年次
学修に必要な「基礎力」を身につけ、学びの意欲を高める
《教養教育科目》
社会で役立つ教養と人間性を培う
社会人として必要な幅広い教養を身につけ、豊かな人間性を培います。音声読み上げソフトなどのIT技術を活用し、学修に必要なパソコンスキルを修得し、学びの意欲を高めます。
《基礎医学科目》
基礎医学で身体の仕組みを学ぶ
鍼灸マッサージの専門分野を支える基礎医学科目を通して、身体の仕組みなどを学修します。基礎医学に関する知識が体験的に身につくよう実習を含めた内容になっています。
2年次
東洋医学・西洋医学の領域に足を踏み入れ、学ぶ楽しさを味わう
《専門基礎科目》
統合医療のイロハを学ぶ
東洋医学や西洋医学など、鍼灸マッサージの幅広い専門的知識や技術を修得します。西洋医学と東洋医学を統合する立場から、現代医学の新しい知識と東洋医学の伝統的な考え方を関連づけながら学修します。
《鍼灸マッサージ基礎実習》
鍼灸マッサージの基本技術を修得する
臨床で必要な鍼灸マッサージの基本となる技術を修得します。視覚障害に精通し、鍼灸マッサージの高い技術を有する教員が、少人数制を活かしたきめ細やかで質の高い指導を行います。
3年次
将来を見据えた特色のある2つコース。専門分野のより深い知識と技術を身につける
《コース選択》
自分のキャリアプランを考える最初のステップ
専門性をより高めた2つコース(臨床実践コース、健康科学コース)を選択します。自分の将来像を描きながら、キャリアプランに必要な専門的な知識や技術を身につけます。どちらのコースも鍼灸マッサージの専門分野をより探究するができます。
4年次
充実した臨床や研究 学生生活の集大成 国家試験合格を目指しラストスパート
《臨床実習科目・卒業研究科目》
鍼灸マッサージの臨床の最前線や最先端の研究に触れる
東西医学統合医療センターにおいて教員や臨床スタッフとともに患者に寄り添いながら、臨床の実践に触れ、臨床現場で活躍するために必要な専門的な知識と技術の修得します。
鍼灸マッサージの最先端の研究に触れながら、自ら学び続ける力や、課題を発見し解決していく力を身につけます。学生生活の集大成として臨床や卒業研究で得た成果を発表する場が設けられています。
国家試験対策講座を受講しながら、はり師きゅう師あん摩マッサージ指圧師の国家試験合格を目指し学修します。
Topic
「スポーツイベントでの社会貢献活動」
つくば市内で行われるマラソン大会にて学生らがマッサージを提供し、社会貢献活動を行っています。このボランティア活動は、授業の一環として、企画から運営まで学生が主体となって行っています。行政や行政や関係各所との打ち合わせ、物品準備、当日の運営など様々な経験を通じて、社会で役立つ力を濡養します。
「短期留学プログラム」
鍼灸学専攻では、鍼灸が生まれた中国や留学先として人気の高い、オーストラリアへの短期留学プログラムを実施しています。充実したプログラムに多様な文化体験が組み込まれ、グローバルな視野を培う大変良い機会となっています。
訪問先:北京連合大学(中国)、長春大学(中国)、シドニー工科大学(オーストラリア)
6P
・臨床実践コース
附属の医療センターでの実践的な実習を通じて臨床力を養い、鍼灸マッサージのスペシャリストとして,臨床現場で活躍するために必要な専門的な知識と技術の修得を目指します。
《臨床実習の充実》
大学附属の診療施設で、臨床経験豊富な鍼灸学専攻教員と一緒に患者を診ながら、実践力を養います。医師の診察を間近で実習し、患者さんとの接し方や病気のみかたの修得を目指します。看護師や検査技師、理学療法士などコ・メディカルスタッフとのコミュニケーションを通じて医療連携の大切さを学びます。
《実践を想定した実習》
卒業後の就業希望分野を見据えた企業や治療院でのインターンシップや施設見学など実践力を養うカリキュラムによって専門職業人として必要な知識や技術を修得します。一人ひとりの可能性を引き出し、知識やスキルを身につけると同時に臨床への意欲も自然と高まります。
・健康科学コース
大学院への進学や鍼灸マッサージの教員を目指すことを視野に入れながら、鍼灸マッサージの最先端の研究に触れ、鍼灸マッサージの科学的解明や教育に貢献できる人材を育成します。
《自発的に学習する姿勢の涵養》
中核となるゼミナールは、「自ら学ぶ」(ラーニング)でのチュートリアル授業であり、能動的な学習への動機づけを図る大学ならではの積極的な学びの場となります。未解明の問題に試行錯誤しながら取り組むチャレンジ力が修練され、社会の各分野で活躍する際に役立つことが期待できます。
《研究の面白さや奥深さを実感》
各担当教員が活躍している専門分野の最先端の知見に触れ、研究の面白さや奥深さを感じながら活きた知識を学んでいきます。現場から得られた知識や経験は、科学と鍼灸マッサージ、医療とのつながりを深く理解することを可能します。また、問題発見・解決力や論理的思考力を身に付けます。
「取得可能免許資格」
はり師免許(国家資格)、きゅう師免許(国家資格)、あん摩マッサージ指圧師免許(国家資格)、社会福祉主事任用資格*1、中学校、高等学校教諭(保健)一種免許状
*1地方自治体の福祉事務所で、高齢者や障がい者のサポートを行う職員に任用されるために必要な資格です。
*画像
女子学生が臨床実習を行ってる風景に画像に「臨床現場で活躍できる臨床力を養う」と書かれています。
女子学生がタブレットでデータを確認している風景に「鍼灸マッサージの最先端の研究に触れる」と書かれています。
7P
「鍼灸学専攻のカリキュラム」
将来のキャリアプランを後押し、スペシャリストを育成する2つのコース
1年次 教養基礎・基礎医学
2年次 東洋医学・臨床医学・鍼灸マッサージ実技
3年次〜(履修モデル)
臨床実践コース
鍼灸マッサージの職域に必要な専門的な知識と技術を学べるコースです。統合医療センターやインターンシップでの実践的な実習を通じて臨床力を養うことを目指します。
健康科学コース
ゼミナールを通じて、鍼灸マッサージにおいて未だ解明されていない謎について、教員と学生同士がディスカッションしながら「なぜ」について徹底的に探求します。
国家試験対策講座
3年次から国家試験対策講座を開設し、試験科目毎に教員らが出題傾向や対策について説明し、受験をサポートしています。
コース別 特徴科目
臨床実践コース
臨床実習4/臨床実習5
東西医学統合医療センター鍼灸外来における外来患者への鍼灸施術の現場に参加します。
臨床演習(カンファレンス)
臨床実習で担当した患者についてプレゼンテーションします。臨床実習の集大成報告の場にもなります。
学外施設実習
実際の臨床現場を見学実習し、卒業後の就職先を考察する手がかりとなるインターンシップです。
運動療法実習
理学療法学専攻教員と連携し、機能訓練指導に応用できる能力を養います。
マッサージ応用実習
臨床現場で活用できるマッサージ技術を修得します。
健康科学コース
ゼミナール1〜3
学生自ら研究テーマを設定し、発表や討論などチュートリアルを中心に展開します。大学ならでは演習形式の授業です。
研究演習(プレゼンテーション)
学生がテーマに沿って行った研究についてプレゼンテーションします。学生の研究の集大成報告の場にもなります。
保健科学特別研究
学生がテーマに沿って行った研究について卒業論文としてまとめます。
専門英語
臨床で活用できる英文の鍼灸手技関連情報を収集し講読します。世界の鍼灸マッサージへの理解が深まります。
鍼灸学専攻科目一覧
・教養教育科目
修学基礎A/B、健康と保健科学、心理学、社会福祉学、生物学概論、英語1~4、オーラルコミュニケーション1~4、中国語1/2、文章技法1/2、情報基礎1/2・演習1/2、視覚障害学概論、視覚障害情報保障論、点字の理論と実際、障害補償演習1/2、健康・スポーツ1~6、シーズンスポーツA/B、その他
・専門基礎・専門教養教育科目
解剖学/実習1/2、生理学1/2/実習、病理学、衛生学・公衆衛生学、ヘルスプロモーション論、人間発達学、その他
・専門臨床教育科目
臨床医学総論、臨床医学特論、臨床病態学、内科学1/2/演習、神経内科学/演習、整形外科学/演習、リハビリテーション医学、小児科学、運動学概論、医学概論、老年医学、臨床医学診察法演習、精神医学、スポーツ医学、臨床心理学、漢方医学
・専門鍼灸手技 教育科目
フレッシュマンセミナー、医療概論/鍼灸関係法規、鍼灸手技社会学A/B、東洋医学概論1/2/ 演習、経絡経穴学1/2/ 実習、東洋医学臨床論1/2/演習、あん摩マッサ-ジ指圧理論、はりきゅう理論、鍼灸基礎実習1/2、あん摩基礎実習、あん摩・指圧基礎実習、マッサ-ジ基礎実習、鍼灸手技応用実習1/2、臨床前実習、臨床評価学、鍼灸安全学、臨床実習1〜3、鍼灸手技特別演習1/2、総合演習1~3、総括講義1/2
8P−9P
教員・ゼミナール紹介
鮎澤 聡Ayuzawa Satoshi教授
ゼミナール名:統合医療ゼミ
鍼灸・手技治療を中心とした代替医療や統合医療に関する疑問点について、文献調査を行うと共に、可能であれば調査や実験による解決を試みます。
専門分野:統合医学、医学哲学、視覚障害教育、脳神経外科学、臨床神経電気生理学
石崎 直人 Ishizaki Naoto教授
ゼミナール名:内科系症状に対する鍼灸治療効果に関する研究
消化器や呼吸器など内臓の機能や症状に鍼灸治療がどのような効果を持つか? 鍼灸施術外来における臨床例や、文献検索を通して内科的な症状に対する鍼灸治療の有効性を調べてみよう。
専門分野:鍼灸学、調査研究学
加藤 一夫 Kato Kazuo 教授
ゼミナール名:人体解剖学と細胞生物学研究
人体の構造と機能、特に人体解剖学の理解を深める。また、細胞生物分野において細胞の動き、細胞内部での情報伝達システムを明らかにするための研究を行う。研究を通して人を含めた生物の構造と機能の理解を深める。
専門分野:解剖学、細胞生物学
殿山 希 Donoyama Nozomi 教授
ゼミナール名: オンコロジーマッサージ研究
オンコロジーマッサージとは、マッサージ腫瘍学と訳され、北米のマッサージ界で注目されています。世界の研究や臨床現場を知り、がんとともに生きる人々に対して安全で効果的な鍼灸あん摩マッサージ施術を行うための勉強を深めます。
専門分野:手技療法(あん摩・マッサージ)学、鍼灸学、視覚障害教育
佐々木 健 Sasaki Ken 准教授
ゼミナール名:手の感覚を活かした灸治療
視覚を用いずに手の感覚だけで効果的で安全におこなうことができる灸治療について提案され実施されている方法について研究をおこなう。
専門分野:鍼灸手技学、視覚障害リハビリテーション
志村 まゆら Shimura Mayura 准教授
ゼミナール名:運動・自律神経生理学
体性―自律神経反射の研究をしています。感覚刺激が自律神経を介して生体にどのような影響を与えるのか、生理学的観点から学びましょう。
専門分野:自律神経生理学、視覚障害教育
白岩 伸子 Shiraiwa Nobuko 准教授
ゼミナール名:神経内科疾患における鍼灸治療
神経内科疾患は、脳卒中、パーキンソン病、末梢神経疾患など多岐に渡り、それぞれ完治することが困難なことが多い。神経内科疾患の臨床、およびそれに対応した鍼灸治療の実際について、学びましょう。
専門分野:神経内科学
近藤 宏 Kondo Hiroshi 講師
ゼミナール名:健康&スポーツ鍼灸マッサージゼミ
健康で活力ある社会を創るために、スポーツや鍼灸マッサージを通じて何ができるか?その役割や可能性について、人と社会の関係を科学の視点から一緒に探求しましょう。
専門分野:鍼灸手技療法学、スポーツ医学、鍼灸マッサージの社会学的研究
福島 正也 Fukushima Masaya講師
ゼミナール名:運動動器疾患への鍼灸手技療法の科学的アプローチ
福島ゼミでは、運動器疾患(筋肉や関節の症状)への鍼灸手技療法(評価法、体表解剖学・触診技法、各種の治療法)について、科学的な観点から調査し、演習形式での実践を通じて学びます。
専門分野:理療(鍼灸手技療法)教育学,臨床鍼灸学
笹岡 知子 Sasaoka Tomoko 助教
ゼミナール名:東洋医学的手法による肌の健康維持増進について
鍼、灸、あん摩マッサージ指圧といった東洋医学の技術や、その他の伝統医学の技術が、皮膚(肌)の状態(血色、シミ、水分量、肌理など)に、どのような影響を及ぼすのかについて、実験的な検証を行う。
専門分野:鍼灸医学
東西医学統合医療センター(鍼灸部門)教員
櫻庭 陽 Sakuraba Hinata 准教授
統合医療センターは、様々な症状の患者が訪れ、医師等の医療スタッフと協働して治療を行う、他にはない施設です。高い技術と幅広い知識を身につけられるよう、学生のみなさんとともに学んでいます。
専門分野:臨床鍼灸学、健康運動・スポーツ科学
成島 朋美 Narushima Tomomi 助教
医療センターでは、医師、看護師、理学療法士などの医療従事者と情報共有を行いながら患者様への施術を行っています。臨床実習を通して、学部で積み重ねてきた知識を活きたものにしていきましょう。
専門分野:鍼灸手技療法学
*画像
各教員の顔写真が掲載されています。
Topic
《個々の障害に配慮した教育環境》
鍼灸学専攻では、学生一人ひとりが必要な能力を身に付けられるよう、個々の障害に配慮した教育環境を整備するとともに、視覚障害に配慮した情報保障を提供しています。また、少人数教育の利点を生かし、能動的に学ぶことができるアクティブラーニングを実践できるように授業の工夫を行っています。
《アカデミックアドバイザー制度》
学生の自主性を重んじる一方で、有意義な学生生活を送るために、一人ひとりの学生に対して教員がアカデミックアドバイザーとして、授業科目の選択や学修の仕方などのアドバイスをして学生をしっかりサポーします。履修面だけでなく進路や生活全体の相談までできる安心の環境が整い、視覚障害を有する学生にとって心強い制度になっています。
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保健科学部附属東西医学統合医療センター紹介
・鍼灸・漢方・西洋医学による東西医学統合医療を実践
東西医学統合医療センターは、東洋医学(主に漢方と鍼灸)と西洋医学を統合した医療を提供する国立大学の診療施設として、1992年に設立されました。2015年には西棟が完成し、あん摩マッサージ指圧外来の設置やリハビリテーションの充実など、臨床・教育・研究のすべての面における環境を充実・強化しています。当センターは、医師による質の高い診療と理学療法士によるリハビリテーション、さらに、鍼灸・あんま・マッサージ・指圧によって地域の医療に貢献しています。患者の半数以上が鍼灸・あんま・マッサージ・指圧を受療しています。また、当センターは教育や研究の機能も有し、鍼灸学専攻の学生実習では、鍼灸・あんま・マッサージの施術の様子だけではなく、医師の診察や各種医療検査機器の実際を学ぶことができます。大学の施設ということもあり、関係分野の研究による有効性や安全性等の最新情報を取り入れるとともに、新た知見を世界へ向けて発信するなど、東洋医学と西洋医学による新たな統合医療システムを構築し、発信する取り組みを行っています。
・卒後の臨床研修制度
東西医学統合医療センターでは,1993年から卒後臨床研修制度をスタートさせ、これまでに多くの優秀な人材を輩出してきました。多くの視覚障がいを有する研修生を指導してきた経験と、障がい補償の充実により、充実した研修生活が送れます。資格を取得して、患者の施術をしながら学ぶことは、教科書では学べないたくさんのことを教えてくれます。また、視覚に障がいのない有資格者や理学療法士をはじめとした様々な医療スタッフとの協働を通じて、技術や知識だけではなく、たくさんの仲間をつくることができ、人間としても成長することができると思います。
*画像
東西医学統合医療センターの外観
11P
国家試験対策
国家試験合格率 全国平均以上!!
あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師の国家資格取得のための万全のサポート
《国家試験対策講義》
科目担当教員が、その専門性を活かし、オムニバス形式で国家試験に対する特別講義を行っています。次年度行われる国家試験に向けて試験科目の出題傾向を分析し、合格に向けた対策を行っていきます。
《習熟度に合わせた個別指導》
学年担任以外にも教員を配置するアカデミックアドバイザー制度を導入しています。習熟度に合わせた個別対応によって,苦手分野の克服の助言などを行い、全員合格の実現を目指します。
《模擬試験とフィードバック》
模擬試験を実施し、学習の到達状況を確認していきます。模擬試験後には科目担当教員が解説講義を行い理解を深めます。また、担任等とともに試験結果から苦手分野を分析し、理解力向上を目指します。
《ICTを活用した自己学習ツールの開発》
視覚障害学生が利用しやすい自己学習ツール「こくしくん」を大学独自で作成しています。国家試験の過去問題をデータベース化し、視覚支援機能を備えて、視覚障害を有する受験生にとって必須のアイテムです。
*ICT: Information and Communication Technology(情報通信技術)
・サークル活動
サークル活動は大学生活を充実させる要素のひとつです。サークルへの参加は、さまざまな人と出会えるきっかけとなり、新たな人間関係の構築や、自分の興味・関心を広げるための第一歩となります。運動系サークルには、ブラインドサッカーサークルやフロアーバレーサークルなどがあり、大学入学時点で経験者が少ない種目もあります。文化系サークルには、バンドサークルやあん摩マッサージ指圧サークル(あんまどぅー)などがあり、和やかな雰囲気で仲良く活動できるのも、文化系サークルの魅力です。
*画像
ロービジョンサッカープレイの風景、学生らがギターを弾いている風景、
*グラフ
2018年度、2019年度国家試験合格率実績に関する棒グラフが示されている。
グラフのデータは次の通り。
2018年度国家試験合格率実績
鍼灸学専攻:あん摩マッサージ指圧師試験100%、はり師きゅう師試験100%
全国平均:あん摩マッサージ指圧師試験86.8%、はり師きゅう師試験77.5%
2019年度国家試験合格率実績
鍼灸学専攻:あん摩マッサージ指圧師試験89.5%、はり師きゅう師試験87.5%
全国平均:あん摩マッサージ指圧師試験84.7%、はり師きゅう師試験74%
12P―13P
卒業後や将来に向けたキャリアプランニング
・在学中にできること
キャリアプランニングとは、将来の理想の自分について考えて、その実現に向けて計画を立てることです。鍼灸学専攻では、学生がキャリアプランニングの力を身につけるため、キャリア関連科目の開設、ゼミナール担当教員、担任やアカデミックアドバイザー制度を活用し、多くの教職員と関わりながら、学生がキャリア発達していくことが可能です。
・あん摩マッサージ指圧はりきゅう分野の職業について
鍼灸学専攻の専門的な知識や技術を活かし、大手企業や医療機関、教職など様々な仕事に就くチャンスがあります。
教育分野で活躍!《理療科教員》
全国の視覚特別支援学校(盲学校)理療科で教諭として勤務し、鍼灸、あん摩マッサージ指圧の専門教科教育や実技教育を担当しています。教員の約90%が視覚に障害があります。理療科教員になるためには、卒業後、理療科教員養成施設で学び、特別支援学校自立教科(理療)教諭の免許状を取得します。
大企業で活躍!《ヘルスキーパー》
企業などに雇用されて、社員・従業員の健康管理に当たる、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のことです。一般に、視覚障害者の専門職として普及しています。マッサージなどの施術を通して会社員の健康管理・疲労回復・疾病の予防に関するスペシャリストとして会社の活力を高めることに貢献します。
地域医療で活躍!《治療院・クリニックに勤務》
地域医療の担い手として、地元の鍼灸マッサージ院などに勤務できます。さまざまな体の不調を抱えている方やスポーツなどでケガをした方の治療を行います。また、東洋医学の効果は、病院や診療所でも認められており、医療の現場であん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が躍することも可能です。
介護分野で活躍!《機能訓練指導員として勤務》
機能訓練指導員として認められる資格に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が含まれています。主にデイサービスや特別養護老人ホームに勤め、活躍します。利用者一人ひとりの心身の状態に合わせて機能訓練を行い、できる限り自分で身の回りのことができるように支援していく役割を担っています。
治療院を独立開業して活躍!
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師は、開業権が認められている国家資格です。将来、独立開業を視野に入れて入学する学生も多く、魅力の一つです。卒業後、開業に必要な鍼灸マッサージの技術や知識など様々な経験を積み、開業を目指します。
・編入制度
学位取得とスペシャリストをめざす
・視覚特別支援学校理療科等を卒業したあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の方を対象とした3年次編入制度を設けています。卒業時には、学位[学士(鍼灸学)]が授与されます。
・編入生のための特別プログラムを設定しており、免許保有のメリットを最大限活用し、大学附属の東西医学統合医療センターでの臨床に参加し、臨床経験を積みながら、幅広い知識や技術を学ぶことができます。
・大学卒者やあん摩マッサージ指圧師を有する方を対象とした2年次編入制度も設けています。
・卒業生紹介
秋吉桃果さん 2019年度卒業
筑波大学理療科教員養成施設 学生
地元の一般高校を卒業して入学しました。現在、盲学校理療科教諭を目指し、筑波大学理療科教員養成施設に通っています。鍼灸学専攻の魅力は、中学校高等学校教諭(保健)一種免許状が取得できるところです。大学で学んだことを活かし、将来、理療教育の現場で活躍できるよう頑張っています。
沢田和也さん 2019年度卒業
パーソルサンクス株式会社(ヘルスキーパー)勤務
地元の視覚特別支援学校理療科を卒業してから3年次編入制度を利用して入学しました。鍼灸学専攻の魅力は、臨床実習が充実していることです。資格を活かし、実際の医療現場で、医師をはじめ医療従事者の方々とともに患者さんを施術することでき、教科書だけでは学べない実践力が身につきました。
日向寺美子さん 2019年度卒業
社会福祉法人桜水会(機能訓練指導員)勤務
社会人を経て、鍼灸学専攻に入学しました。学修は大変でしたが、若者たちと一緒に学業に励むことができたことは、今となっては宝物です。医師から直接指導を受けた西洋医学とスペシャリストの先生方による東洋医学を融合した統合医療の実践は、鍼灸学専攻だからこそ受けれた貴重な授業でした。
三沖祐介さん 2013年度卒業
ブラックロック・ジャパン株式会社(ヘルスキーパー)勤務
地元の一般高校を卒業し、鍼灸学専攻に入学しました。大学時代はロービジョンフットサルと学修を両立させてながら生活していました。スポーツで怪我をすることもありましたが、鍼灸マッサージでコンディションを整えていました。自分の身体をケアできる鍼灸マッサージは魅力の一つです。
中川友裕さん 2001年度卒業
鍼灸マッサージ治療院 オリーブ堂(院長) 開業
社会人を経て、鍼灸学専攻に入学しました。卒業後はヘルスキーパーとして都内大手企業に勤め、免許取得10年を機に、静岡市内で鍼灸マッサージ治療院を開業しました。大学で得た学びは、ヘルスキーパー業務や治療院開業の礎となり、治療家として価値あるものにしてくれます。
14P―15P
キャリア支援・就職支援
画像中:
男女の鍼灸マッサージ師が立っている風景に
「きめ細やかな就職支援」、「国家資格 あん摩マッサージ指圧師 はり師 きゅう師 就職に強い」、「就職や進学に向かって努力する学生を全力でサポート」と書かれています。
・就職支援・進学相談
将来のキャリアプランを後押しするため、就職や進学に向かって努力する学生を全力でサポートしています。自身の未来を設計し、夢を実現するために必要な実習、特別講義、相談支援体制が充実しています。
《キャリアデザインプログラム》
〇1年次:修学基礎B(就職進路先紹介ガイダンス、鍼灸マッサージ関連施設見学
〇2年次:担任・アカデミックアドバイザーによる進路相談の開催等、スーツ着こなし講座
〇3年次:ゼミナール科目、インターンシップ科目(就職希望先に則した現場実習を実施)
〇4年次 就職活動・進学準備、就職特別講座開催、OB/OG訪問、鍼灸手技社会学
・2016年度〜2019年度の就職・進学等の実績
鍼灸学専攻は、国家資格を取得できる課程のため、就職に強いのが特徴です。資格を活かし、全国に卒業生を輩出しています。
・就職先(鍼灸マッサージ臨床関係)
JALサンライト株式会社,日本テキサス・インスツルメンツ合同会社,パーソルサンクス株式会社,ソフトバンク株式会社,株式会社富士通ハーモニー,株式会社博報堂DYアイ・オー,東芝ウィズ株式会社,NRIみらい株式会社,株式会社みずほフィナンシャルグループ,株式会社LAIS,株式会社サンライズジャパン,株式会社純誠会,有限会社ながみね治療院,他
・進学先
筑波技術大学大学院技術科学研究科,名古屋市立大学大学院,筑波大学理療科教員養成施設,他
・就職先(その他)
福島県庁,つくば市役所,島根県立盲学校,他
《筑波技術大学大学院 技術科学研究科保健科学専攻 鍼灸学コースの紹介》
・視覚障害者のための大学院です。修了時に修士(鍼灸学)の学位を授与します。
・障害がありながらも医療技術に関するより高度で専門的な知識・技術、応用能力、研究能力を備え、企業や医療現場などの要請に積極的に応え貢献できる専門技術者・研究者・指導者を養成しています。
・地域社会や職場において視覚障害者のリーダーとして活躍できる人材を育成します。
《修了生紹介1》
山口智子さん 2015年度修了
学位論文「末梢性顔面神経麻痺の鍼治療効果に関する研究」
筑波技術大学東西統合医療センターに来療した末梢性顔面神経麻痺患者で鍼治療を受けた患者の効果について retrospectiveに症例集積し検討を行いました。その結果、Bell麻痺患者やHunt症候群患者のENoG値、顔面麻痺スコアの改善や後遺症との関連性や鍼治療方法での相違について明らかにしました。今後の鍼灸臨床に役立つ貴重な資料となりました。
《修了生紹介2》
渡邊 健さん 2019年度修了
学位論文「坐骨神経鍼通電療法における安全性・再現性の高い刺鍼法の提案」
坐骨神経痛で用いられている坐骨神経鍼通電療法において安全性・再現性の高い刺鍼法を提案することを目的に、「坐骨結節外側―大腿骨内側間陥凹部刺鍼点」を、坐骨神経鍼通電療法において安全性・再現性の高い刺鍼点として、触擦による同定法と併せて提案しました。視覚障害を有する施術者にとって有用な方法として活用が期待されています。
16P
裏表紙
・連絡先
〒305-8521
茨城県つくば市春日4-12-7
筑波技術大学保健科学部保健学科鍼灸学専攻
URL:https://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/am/
・お問い合わせ
入試関係 視覚障害系支援課 教務係
TEL 029-858-9507〜9509
FAX 029-858-9517
・鍼灸学専攻WebページQRコード
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筑波技術大学マーク、QRコード