筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター年報第2号 令和2年度 2020 東西医学統合医療センター 年報 2020 p1 目次 巻頭言 東西医学統合医療センター年報2 号発刊にあたって 鮎澤  聡…………… 3 ポストコロナを見据えた東西医学統合医療センター 加藤 一夫…………… 6 寄稿文 医療センターでの思い出 松下昌之助…………… 9 東京パラリンピックに想う―夢の跡にしないために― 藤井 亮輔…………… 10 筑波技術大学附属東西統合医療センターの温故知新 石塚 和重…………… 13 コロナ渦に退職して―恩師との思い出をたどり鍼灸研究を紹介― 野口栄太郎…………… 15 医療センター年報2 号の発刊に寄せて 佐々木恵美…………… 19 東西医学統合医療センターのコロナ対策の紹介 東西医学統合医療センターにおける新型コロナ感染症対策に係る活動 武笠 瑞枝…………… 23 感染症対策に関する議事録 武笠 瑞枝…………… 25 鍼灸マッサージ施術におけるコロナ対策 ~ふれあいの需要~ 成島 朋美…………… 29 リハビリテーション部門のコロナに関する取り組み 杉田 洋介…………… 30 新型コロナウイルス感染症の影響下における東西医学統合医療センターリカレント教育の実践 櫻庭 陽…………… 32 コロナ禍でのオンライン勉強会の取り組み 成島 朋美…………… 33 covid-19 による国内・茨城の感染者の推移 …………… 35 covid-19 による国内の重傷者・入院中患者の推移 …………… 36 教育の場としての東西医学統合医療センター コロナ禍での専攻の取り組みと実習授業 殿山  希…………… 39 理学療法学教育の場としての医療センター 三浦 美佐…………… 41 在籍スタッフ 卒後臨床教育 「ポラリス」から「ベガ」へ 渡邊  健…………… 45 最高の臨床環境に身を置いて 野津将時郎…………… 45 p2 研修の感想 片岡由起子…………… 46 研修の感想 吉川 博美…………… 47 研修の感想 鈴木 雄斗…………… 48 研修の感想 D.Nyamkhuu…………… 49 スタッフ一覧 ……………………………………………………………………………… 50 活動報告 令和2 年度活動報告   …………… 54 COMPASS   …………… 56 透析医療における鍼灸治療 櫻庭  陽…………… 57 新たなリハビリテーションへの挑戦と展開~腎臓リハビリテーション~ 三浦 美佐…………… 59 東西医学統合医療センター発表会 資料集 …………… 62 東西医学統合医療センター令和元年度業績 …………… 79 来院患者数  …………… 87 編集後記 木村 健作…………… 88 p3 巻頭言 東西医学統合医療センター年報2 号発刊にあたって 東西医学統合医療センター センター長 鮎澤 聡  2020年は、本当に大変な年となりました。今回の年報は、おそらくコロナの話ばかりに なってしまうのでしょうが、それはそれで記録として残しておくことは、大切なことかと思 っています。私もこの巻頭言に少し書き留めておきたいと思います。  さて、大変だった、と書きましたが、実際に何をしてきたのかとあらためて思い出してみ ると、これが意外に思い出せないのです。というよりも、今となっては、実はそれほど大し たことは何もしてこなかったのではないか、とも思います。振り返れば、コロナウイルスと いう見えない相手に対して、何が適切なのか、社会全体が全くわからない状況でした。その ような中で、妙な情報に踊らされることなく、少しでも確からしく思える情報を集め、何を していくか、それを決めていくのに体力が要ったのだと思います。また、このような危機的 状況では、比較的楽観的な人から過度に反応する人まで様々ですので、その舵取りに腐心し たところもあります。個人的には、ニューヨーク在住の友人が比較的早い時期に感染したり、 高校の後輩が亡くなったことなどもあり、コロナ感染は必ずしも遠い話ではありませんで した。  医療センターといっても、私達は感染に対して基本的には防戦一方でした。医師のはしく れとしては忸怩たる思いもありましたが、施設の特殊性を鑑みるとそれはやむを得ないこ とでした。私達のセンターは、鍼灸・リハビリテーションという、接触を伴う診療を中心に 動いているわけですし、規模の割には人員を多く抱えています。さらに、大学としては視覚 障害のある学生が寮生活をしているという特殊な事情もありましたので、センターはとも かく、感染が学内に蔓延することは避けなければならないという思いを強く持っていまし た。したがって、いわゆる玄関でのチェックはもちろんですが、地域の診療は維持しつつも 感染が流行っている地域からの受診は原則お断りするなど、ともかく感染を持ち込まない ことに留意していました。そのような方針を立てましたので、東京から来た研修生にはセン ターに入るまで14 日ほど待機してもらったり、他府県から通っていた職員にも緊急事態宣 言の間にはこちらに住んでいただくなど、大変なご苦労をかけてしまいました。私自身もコ ロナがはやりだして以来、それまで毎週のように乗っていたつくばエクスプレスに昨年度 は1 回しか乗りませんでした。それもつくば駅から研究学園駅までのひと駅です!つくば エクスプレスといえば、3 月に東京で流行しだした時にはエクスプレスであっという間につ くばにも蔓延するのではないかと身構えていましたが、そうでもなかったのが、不思議に感 じたものでした。一方、その程度では感染しないものなのか、と学ぶところもありました。  全国に最初の緊急事態宣言が出された頃には、4 月末から連休明けまで、施術部門とリハ ビリテーション部門をひとたび閉鎖することにしました。施術やリハビリテーションが感 染の温床になるのかについては本当のところは分かりませんでしたが、むしろ、職員の不安 が非常に強くなっていたことを感じての判断でした。その後さらに緊急事態宣言が延長さ れ、閉鎖も5 月20 日までとなり、都合、まる1 ヶ月の閉鎖となりました。一度閉鎖してし まうと、患者さんはどうなることかと案じていましたが、これが殊の外、すみやかに戻って きてくださいました。はからずもこの領域の潜在的な需要を感じることになり、地域医療に おける医療センターの役割を再認識いたしました。  夏頃には、当初入手困難であったマスクや消毒などの医療材料も少しずつ流通するよう になってきました。また、社会全体も対応に慣れてきたように思います。感染状況も第2 波 は茨城県内では比較的穏やかでしたが、センターでは学生の実習が始まるなどのこともあ りましたので、一つ一つ淡々と対応を続けました。 また、徐々に地域としての医療体制も構築され、10 月には近隣の病院でPCR 検査が速や かに受けられるようになりました。また、発熱外来を行う病院も限定されたことで、当セン ターでは初診の発熱患者を診ることがほぼなくなり、ここでセンターとしての対応はかな り安定したように思います。その後、冬場を迎えて第3 波として患者数がまたひたひたと 増加していくわけですが、センターとしてはそれまでに培ってきた標準予防の徹底で、すべ ての診療を継続してまいりました。  初めて経験する緊急事態でしたが、センターで感染者を出すこと無く無事に経過してき たことは、各部署の職員の皆様の協力の賜と思っています。特に、毎日頻回に外来の椅子な どを消毒してくれている看護師さんなどには、頭が下がる思いです。この場を借りて皆様に お礼を申し上げたいと思います。 また、このような一年ではありましたが、大きな動きもありました。まず、昨年度で院内 薬局が閉鎖されました。これについては賛否両論あるとは思いますが、人材の再配置を進め、 より良い統合医療の展開を目指したいと思います。昨年から始めたCOMPASS も、対応が 落ち着いた後期にオンラインで2 回開催することができました。特に本年度は、オンライ ンというツールを活用して、日本のみならず世界に在住している研修生OB なども広く参 加できるように設定いたしました。このようなカンファレンスの形式は今後も継続してい きたいと考えています。また、特筆すべき出来事として、医療センターが主体となり、地方 の盲学校の鍼灸の臨床教育に携わったことをあげたいと思います。本年度はまだ実験段階 でしたが、視覚障害者教育における統合医療の臨床教育の発信ということが、これから私達 の大きな役割となってくる予感がしています。  2020 年度は春の歓迎会もひらけず、もちろん忘年会もできず、センターとして季節をあ まり感じることなく過ぎていった一年でした。冒頭に書きましたように何をしてきたのか 記憶が薄いのも、そのせいに違いありません。四季の移ろい、というよりも、灰色の「コロ ナの季節」が淡々と続いているように感じます。この状況が早く終息することを願うばかり ですが、このような状況下で統合医療に何ができるのか、考えるチャンスでもあると思って います。 p6 巻頭言 ポストコロナを見据えた東西医学統合医療センター 筑波技術大学 保健科学部長 加藤 一夫  平素より、東西医学統合医療センターの運営にご協力を賜りして、心より御礼申し上げま す。この度、診療・施術のご報告として年報第2号を発刊する運びとなりました。ここに皆 様にお届けいたします。  東西医学統合医療センターでは、神経外科、神経内科、循環器内科、腎臓内科(漢方)、 整形外科、内分泌・代謝内科の常勤の医療スタッフによる質の高い診療(西洋医学)と、鍼 灸・あん摩マッサージ指圧の施術(鍼灸学)、リハビリテーション(理学療法学)の統合に より、これまで治療が難しかった、疾病による痛みの緩和、症状の改善等に貢献して参りま した。鍼灸・あん摩マッサージ指圧治療の施術においては大学に所属する常勤教員が責任を もって施術を担当し、同じくリハビリテーション科では常勤の理学療法士資格を所持する 教員が、整形外科医師と連携しながら診察、治療を行っているところです。  2020 年春ごろから世界各国で深刻化した新型コロナウイルス感染症の拡大は東西医学統 合医療センターの運営にも大きな影響を与えました。新型コロナウイルスの感染防止を優 先し、医療センターの活動、大学での教育・研究活動を行ってきたところです。特に、鍼灸 あんまマッサージの施述、リハビリテーションの治療にあたっては接触を伴う場面が多く あることから、慎重には慎重を期して医療センターの運営を教職員一丸となって行ってお りますところです。当初は患者様の数が減少し、大変心配をいたしておりましたが、2020 年 末ごろまでには回復傾向となりました。新型コロナウイルス感染症の影響は少なからず残 っておりますが、徐々に軌道に乗りつつあるところです。また、医療センターでは地域医療 の一環として、少数ではありますが、新型コロナワクチン接種を行っております。  医療センターは、本学保健科学部では視覚に障害がある学生が、鍼灸・あん摩マッサージ 指圧と理学療法学における臨床能力を向上させるため勉学に励んでおります。近隣の皆様 には鍼灸学に所属する学生のボランティア実習のご協力をいただいているところです。医 療センターのスタッフ共々ここに深く御礼申し上げます。また、本学大学院修士課程の学生 の教育にも深く関わっております。医療センターの患者様には大学院の臨床研究のご協力 をもいただいているところです。近隣の患者様の多大なご協力のもと、学生たちは臨床能力 の腕を磨くことができています。本学、学部学生、大学院学生が専門の領域で高度な医療技 術を実践するために医療センターで学んでいます。また、多くの研修生も各分野での医療技 術を学ぶために日々、研鑽を積んでいます。各分野の臨床的な腕前を磨くための人材育成も 患者様のご協力のもと、行っているところです。ここに重ねて御礼を申し上げる次第です。  コロナウイルスの根絶は今の所、見込めません。当医療センターではポストコロナを見据 え、感染対策を十分に行なった上で、患者様をお迎えし、質の高い統合医療を引き続き提供 させていただく所存です。しばらくはwith コロナの状況が続くものと思われますが、患者 様やそのご家族様におかれましては、東洋医学的な視点と、西洋医学的な治療を有機的に結 びつけた、日本でただ1つの医療センターお気軽にお越しいただき、これまで改善すること ができなかった病態の緩和のお役に立てれば、我々のこの上ない喜びです。そしてそれが、 当センターがめざす大きな目的の1つです。今後とも近隣の患者様はもとより、全国の患者 様の、「疾病の克服と健康の創生を通じての社会貢献」を目指して診療・施術を行って参り ます。これからも筑波技術大学保健科学部付属東西医学統合医療センターをどうぞ宜しく お願い申し上げます。 ◆ 寄稿文 ◆ p9 医療センターでの思い出 東西医学統合医療センター 元センター長 松下 昌之助 私は、2011 年~2019 年まで医療センターの循環器外来を担当し、2017 年~2019 年はセ ンター長を務めさせていただきました。その頃を振り返ってみたいと思います。 1.循環器外来 循環器外来は、週2 コマで月曜午前と金曜午後でした。循環器外来をする一方で、鍼灸学 専攻の学生が外来見学で二学期、外来に同席していました。鍼灸治療では、自律神経に影 響を与え、交感神経を抑制し、副交感神経を賦活化させる手技もあることから、自律神経 が関与する高血圧、不整脈、心不全について外来の合間に話しました。授業も一部担当し ていましたが、実際の症例から説明すると、非常に興味をもってくれました。私も、鍼灸 処置が不整脈の基質に影響を与えるのではないかと思い、実際、それに関する科研費を申 請しました。H24~25 年度で萌芽研究が採択され、ラットの鍼処置と心電図の心拍変動研 究を行いました。確かに、鍼治療で副交感神経優位の状態になることを確かめ、報告をし ました。交感神経優位が不整脈原性になっている場合は、有用になると思われますが、効 果の持続性の観点からはなお考える余地があるとおもいます。心不全については、欧米で は、迷走神経の間歇的電気刺激で心不全の改善を目指す臨床治験もありますが、逆に副交 感神経刺激による不整脈原性が心配され、ICD(植え込み型除細動器)の同時使用でしか 認められなかったこともあります。置き鍼を用いればどうか、とも思いましたが、残念な がら在職中には進展はありませんでした。東西医学統合医療センターでこそ研究ができそ うですので、今後を期待したいと思います。 2.センター長として センター長になったとき、センターの年間の収入と支出の問題が関わってきました。もち ろん収入は多く、支出は少なくということですが、担当になった時点ですでに5 年計画が 文科省に提出されており、5 年間で10%の収入増加を期待されている状態でした。幸い、 鍼灸、臨床医学両部門とも患者さんは毎年増加傾向にあったため、他の部門でも収入を増 やすことを考え、リハビリテーション部門での心臓リハビリテーションの開始、検査部門 での心臓エコーの開始、外来診療での特殊健診の開始を考え、実施しました。さらに、イ ンフルエンザの予防接種は自費収入であったため、件数を多くすることに注力しました。 学生、職員の接種確保が第一ですが、学生が接種することを考え、近隣の医療機関の相場 よりもかなり安い価格設定をしたため、多くの一般からの申込があり、遠くは埼玉県から 家族で接種に来た例もありました。2018 年には年間700 例ほどの接種を行いました。 3.学術関係 学術関係で思い出されるのは、2016 年、形井先生を中心とした国際会議(世界鍼灸学会連 合会学術大会)の会場の1つに当センターがなり、多くの外国人参加者が見学に来てくれ たこと、また、毎年中国からの東洋医学の視察団が、当センターにも訪れていただき、交 流をしたことです。その際、いつも、日本では東洋医学と西洋医学をどのように結びつけ て研究、治療を行っているのかという質問がありました。私は、整形疾患の治療に東洋医 学とリハビリテーションの両方を行った知見について話しましたが、当センターの研究の 方向性はここにあると思います。 私は循環器医学専攻なので、例えば鍼治療の自律神経治療と高血圧、心不全、不整脈が思 いつきますが、臨床医学の他科においても東洋医学と西洋医学を結びつける臨床研究がで きるのではないかと思っています。今後の研究の発展に期待したいと思います。皆様のご 活躍を祈っています。 p10 東京パラリンピックに想う ―夢の跡にしないために― 筑波技術大学名誉教授 藤井 亮輔 ◆パラレルワールド 新型コロナウイルス感染の急拡大で自宅療養中に亡くなる人が相次いでいました。その 異常な現実と、スポーツの「お祭り」が同じ時空でパラレルに行われている現実。まるで 時差のある二つの世界を同時に眺めているような、奇にして妙な感覚に五輪・パラリンピ ックの会期中ずっととらわれていました。もちろん、アスリートの姿に感動したりスポー ツの力の大きさに感銘を受けたりと、学ぶところは沢山ありました。けれども、「戦時 下」の笛・太鼓には興ざめしてしまう自分が脳裏を去ることはありませんでした。大規模 な人流で状況は悪化しないか、ブレーキとアクセルを同時に踏み込む施策に道理はあるの か等々、懸念や疑念も入り混じった不興感でした。ただ、五輪に比べてパラリンピックの 不興度ははるかに小さかった。理由は二つに整理できそうです。 ◆コロナ社会の応援歌 一つは、コロナ社会との親和性です。五輪は超人的な天与の身体能力を持った人間どうし が世界の頂点(勝者)を競う祭典で、興行性が高く巨万の富と商魂がうごめきます。その 分、緊急事態下の禁欲的な社会との反りは合うべくもありません。片やパラリンピック は、残された身体能力の最大化に挑む人間のリハビリに通底する祭典です。「失ったもの を数えるな。残されたものを大切に生かせ」はパラリンピックの父で医師のルードヴィッ ヒ・グッドマンの至言ですが、コロナ下で頑張っている多くの人への応援歌にも聞こえま す。 私事になりますが、最初に就職した中伊豆リハビリテーションセンターではスポーツを 組み入れたリハビリ(スポーツメディカルセラピー:MST)が盛んでした。脊髄損傷(以 下、脊損)の患者には車いすバスケやアーチェリーが、片麻痺患者には卓球やパターゴル フなどが処方されていました。1970 年代半ばのことです。体操やダンスなどの要素を取り 入れた治療が「レクリエーション療法」と呼ばれていた時代です。その意味で、MST は国 内では先駆的試みでしたが欧米ではすでに広く行われていたようです。 その起源はグッドマン博士の業績にさかのぼります。彼は英国のストーク・マンデビル 病院で傷痍軍人にスポーツを取り入れた治療を実践していました。1948 年には脊損患者を 集めた車いす競技会を立ち上げています。前述の「失われたものを…」は、患者を励ます 時に使った博士の口癖だったと、新聞のコラムに教わりました。パラリンピックはその線 上で市民権を得ていきます。この由緒の必然として私の中には、プロ化が進んだ今でも、 本質的に「選手が戦う相手は自分自身、称えられるべきは自己新」という障害者スポーツ の価値観があって、コロナ下の世情とここかしこで共鳴していました。 ◆パラリンピックが撒いた種 理由のもう一つは、大会の理念です。緊急事態下で五輪を強行するにはそれなりの説明が 必要でした。が、結局は「理念なき大会」の烙印を押されたまま始まってしまいました。 巨大な五輪の歯車は制御不能状態に陥っていた、と見るべきでしょう。一方、パラリンピ ックの理念は明確で、「共生社会の実現」を高く掲げていました。人々が多様性を認め合 い協力し合って暮らせる社会。その未来図を描くヒントが詰まった大会をメディアは連日 大きく報じました。おかげで、障害を負った人々を目の当たりにする国民の数は格段に増 え、障害者の問題や共生の在り方に無関心だった自分に気づかされた人も少なからずおら れたことでしょう。メディアによって、こうした問題意識の種が日本社会の隅々に撒かれ たとすれば、その意義はとても大きかった。大切なのは、撒かれた種を社会全体で育てる ことです。 ◆ガラスの壁 ところが、パラリンピックが閉幕すると潮が引くようにメディアの関心はほかの世事に 移りました。私が知る限り、閉幕から今日までの2週間に障害者スポーツが全国ニュース で扱われたのは全米オープンテニスの車いす部門で優勝した国枝慎吾さんぐらいでしょう か。芭蕉の句を借りれば「つわものどもが夢の跡」に似た空疎感を禁じ得ません。この感 慨を穿てば、世間に巣くう「障害者なのにすごい!」とか「障害者なのになぜ?」などと いった、「なのに意識」の根の深さが見えてきます。あからさまな差別は減っているよう に思いますが、こうした悪意なき意識は容易に社会に溶け込んで「ガラスの壁」となるの です。 五輪とパラリンピックが分離開催になっている現状も、「ガラスの壁」を象徴している 例といえるでしょう。「共生社会の実現」を体現しようとするのであれば同時開催こそ理 にかなった姿です。そもそも、パラリンピックの呼称は両下肢が麻痺した状態(パラプレ ジア)の「パラ」とオリンピックを組み合わせた造語です。前述したように、草創期の大 会が脊損の選手に限っていた歴史に由来しますが、障害が多様化している選手層の現状に 照らせば錯誤感はぬぐえません。次のパリでは、全米オープンテニスに倣って「オリンピ ック障害者部門」に改称し同時開催する。そんなインクルーシブな改革劇を見てみたいも のです。 ◆「健常者」という虚像 「分断」の芽は私たちが何気なく使っている言葉の中にも存在しています。その一つが 「健常者」という言葉です。定かではありませんが今世紀に入る前後あたりから「障害 者」を切り分ける対義語として使われるようになりました。メディアだけでなく学識層ま でが無批判に便利使いするようになって、「健常者」VS「障害者」という新構図が生まれ ました。それまで曖昧だった「障害者」の輪郭を鮮明な分断線に変えたのです。しかし人 間は、「要介護5」(全介助の状態)で生まれ徐々に自立し徐々に衰え「要介護5」の障害 者となって死んでいく。すなわち「無常」の生き物ですから、そもそも「健常」(常に健 康)なる人などあるべくもない。「健常者」はまさに虚像なのです。この虚像が大手を振 るようになって「ガラスの壁」はいっそう厚く高くなりました。「分断」の製造責任の一 端を担ったこの言葉が近未来も大手を振っているか否か。日本社会の「共生」への本気 度・民度を測る格好の試金石です。 ◆エピローグ つぶやきほどの小言独言を思いつくままにはいてきました。筆の滑ったところはお許し を乞うほかありませんが、些細な問題でも自分の頭で考え、ガス抜きでいいからつぶやい てみる。一人一人のそうした実践の先に、東京パラリンピックで撒かれた種が芽を吹き開 花することを信じて疑いません。アスリートたちが躍動した時空を「夢の跡」にしないた めに。 p13 「筑波技術大学附属東西統合医療センターの温故知新」 前筑波技術大学保健科学部長 石塚 和重 東西医学統合医療センターは東西医学統合医療センター(漢方・鍼灸)と西洋医学の治 療を効果的に統合して提供することの出来る国立の大学附属診療施設として、1992 年4 月に設立されました。それから19 年後は記憶にも残る2011 年3 月11 日は忘れることも できない東日本大震災があった年です。当時は理学療法学科3 年生の臨床実習中で、茨城 県内の病院は大打撃を受け実習継続困難もあり、全面的に実習を中止したことを記憶して います。そんな中、2011 年4 月に東西医学統合医療センターの中にリハビリテーション科 が新設されました。筑波技術大学保健科学部理学療法学科では臨床実習で苦戦している学 生が多くみられ、本学の中にリハビリテーション科を新設し、理学療法学科の臨床教育の 場、更に臨床実習でドロップアウトした学生の再教育の場として何とかできないかと考え ていました。開設した場所は医療センター2 階の手技・物理療法室でした。小さな部屋か らの出発でした。ベッドの数も少なく、狭い部屋でのリハビリテーションが開始されまし た。従来の鍼灸科だけではなく、リハビリテーション科を新設できたことはこの上もなく 嬉しいものでした。東西医学統合医療の理想の姿に少しずつではありますが近づいていっ たように感じました。 東西医学統合医療センター新棟の計画が上がり、理学療法スタッフと鍼灸スタッフが話 し合って3 年後の2015 年10 月に東西医学統合医療センター新棟である西棟が完成しまし た。「西棟」という名称は第2 代学長の村上芳則が学内に名称を公募して、いくつかの候 補があったのですが、なかなか決まらず、学長自らが「なかなか決まらないようだから、 俺が名前をつけていいかな。今まであった棟は東棟とし、新棟は西棟という名称にしよ う。」ということで決定しました。西棟の壁の色は最初の時は白色で決して視覚に障害の ある学生にとっては決してやさしい色ではなかったことを記憶しています。私は学生たち にどんな色がいいですか?と聞いていたこともあり、少し予想外の色であったことを残念 に思いました。 新棟開設祝いの日は澄み切った青空で光がとても眩しく感じられました。私自身は保健 科学部長としてテープカットをした記憶(ハサミでなかなかテープが切れなくて躊躇して しまった記憶)が今でも忘れられません。リハビリテーション科はリハビリテーションで の地域貢献と視覚障害学生の臨床教育の場として日本で最初のセンターとして設置しまし た。東西医学統合医療センターの新たな出発の日となりました。 私は小児専門の理学療法士でしたので、様々な子供たちのお手伝いをできたことを感謝 しています。退職してからも一部の子供たちとは今でもラインで連絡を取っています。退 職してから2年ですが、自分の受け持った子供たちの事は一人一人を忘れていません。初 めて出来上がったホームページに私と担当していた子供が一緒に車いすで移動している場 面があったことは今でも目に焼き付いています。子供たちにやさしくふれあいリハビリが できたことは周りのスタッフのお陰だと感謝しています。 当センターの特徴は鍼灸のスタッフと理学療法のスタッフが医師を中心としてケース会 議をしているところだと思われます。他の視覚障害支援学校ではできないことなので他の 学校の先生からもすばらしいと言われています。一人一人のスタッフが患者様の情報を共 有し治療に真剣に取り組んでいる姿にも素晴らしいものがあります。ここでは本物の治療 に取り組んでいる姿勢が感じたものです。 私はつくば市の地域密着型サービス、地域包括支援センター連絡協議会の委員としてお 手伝いさせていただいた中に、委員の方から「技大の医療センターはよい治療をしていま すね。本当に良くなるのです。」と言われたときに何となく嬉しく思いました。そして、 いつまでも「人にやさしい」「治療技術の高い」東西医学統合医療センターであることを 忘れてはならないと思っています。 私はこの施設を鍼灸学と理学療法学がハイブリッド化をし、新たな治療展開をできる国 内外のモデルセンターとして活動し、世界に誇れるセンターとして世界に発信していこう と考えていました。海外から多くの方が訪れ、称賛していただいたことを今でも誇りに思 っています。 今後の期待として、東西医学統合医療センターが、まずは地域医療に貢献し、地域の患 者様から今まで以上に信頼されるセンターとして確立し、次に医師による質の高い診療と 鍼灸・あんま・マッサージ・指圧治療ならびリハビリテーション医療教育・研究を行い、 鍼灸治療と理学療法治療がハイブリッド化した新たな治療方法を患者様に提供していって ください。 最後に、視覚障害教育の最先端教育の場として、更に地域医療に貢献する中核センターの みならず世界の視覚障害教育のモデルセンターとして発展していくことを切に祈念してい ます。 p15 コロナ渦に退職して― 恩師との思い出をたどり鍼灸研究を紹介 ― 筑波技術大学名誉教授 野口栄太郎 1995年に国立筑波技術短期大学視覚部鍼灸学科に赴任して以来はや25 年余の歳月が過 ぎました。筑波技術短期大学は2004 年に国立大学法人となり、2005 年には4 年制の筑波 技術大学として新たに生まれ変わりました。さらに2010 年には大学院技術科学研究科が 設置され充実の途を辿ってきました。この素晴らしい発展の期間において職を全うするこ とが出来ましたのはお導き下さった恩師の先生がたを始め、色々な職務においてご支援下 さった皆様のご助力の賜と深く感謝申し上げております。 恩師芹澤勝助先生 思い起せば、1981 年に筑波大学名誉教授であった故芹澤勝助先生が主催する、当時の文 部省高等教育局医学教育科が所管する東洋医学技術教育振興財団 東洋医学技術研修セン ター(以下センター)の門を叩いてから約40 年が過ぎました。 センターは先生が退官後に私立大学への再就職を断って立ち上げた、鍼灸界の中堅指導 者養成(臨床家・研究者)を目的とした機関で、此処で直接教えを受けた者達が最後の弟 子となりました。 芹澤先生は、戦前は軍事保護院失明傷痍軍人教育所や東京盲学校師範部鍼按科で視覚障害 者の職業教育に携わり、戦後は国立東京盲 学校が新制東京教育大学傘下に編入される課程で、GHQによる公職追放解除後教授とな った生理学者の杉靖三郎先生の指導のもと「鍼灸の科学化」に着手されます。さらに、教 育制度の大改革が進められるなか、数多くの公的委員を歴任され(文部省大学設置審議会 専門委員)」や視覚障害者の新しい職業課程としての「リハビリテーション医療技術者養 成(理学療法士免許の欠格事項からから視覚障害を削除)」の創設などの数多くの制度改 革に携われました。 1983 年の雑誌の随想欄で「… 視覚障害者の伝統的職業である「鍼灸学科」を主体とし た国立三年制技術短期大学の創設が決定した。」と感慨を述べているように、先生が念願 していた「鍼灸の科学化」に必須である、「組織の大学化」ならびに「医療機関の併設」 された鍼灸臨床施設を持つ本学の誕生を大変喜ばれていた事を思い出します。 センターでは、月曜と水曜日が芹澤先生の定例の総回診日で、山口 智先生(現埼玉医 科大学医学部准教授)と共に芹澤先生に随行して全ての患者様の診察と治療のお手伝いを しておりました。これが鍼灸の臨床家としてのスタートで、毎日叱られ時々褒められる 日々が懐かしく思い出されます。このメリハリが芹澤先生の教育方法でした、最初にたた き込まれた臨床家としての技術教育が今でも生きています。 また、当時最新のマイクロニューログラフィーの技術を用いて鍼の基礎医学的研究を行 っていた森山朝正先生(本学名誉教授)から初めてポリグラフを用いた筋電図の測定を教 えて頂きました。これが最初に覚えた研究技術で「膝痛症」患者の歩行パターンの研究に 繋がりました。木曜日は、久住眞理先生(現人間総合科学大学理事長・学長)と二人で担 当する外来でした、なかなか新患患者様が来ない日々が続き外来を経営する苦労を味合う ことになりました。 北里大学医学部での研修 1986 年、筑波大学理療科教員養成施設講師を辞してセンターと北里大学医学部に席を置 いていた矢澤一博先生(明治薬科大学特任客員教授)が学位を取得したので、その空席で 研修させて頂くことになりました。ご指導を頂いた、故佐藤登志郎先生は東京大学内科物 理療法学教室(以下物療内科)のご出身で、芹澤先生と懇意であった高橋晄正講師(「漢 方の認識」著者)の元で推計学を学んだ先生でした。北里大学では、ヒトを対象とした膵 外分泌と胃酸分泌を対象とした研究を行うことが出来ました。佐藤先生からは、「私の専 門なので統計処理はしっかりやって下さい」と言われ、当時先生が管理していた電子計算 機センターでIBM 製のコンピューターに搭載された統計処理ソフトSASを用いてデータ の検定を行いました。これが私の初めてのコンピューターの体験となりました。 関西鍼灸短期大学での研究 1989 年に関西鍼灸短期大学(現関西医療大学)への赴任が決まり、居を故郷の和歌山市 に居を移すこととなりました。これを機に、芹澤先生の物療内科時代の恩師で埼玉医科大 学名誉病院長をされていた大島良雄先生を介して同大学第2 生理学教室の故林 秀夫教授 をご紹介頂くことが出来ました。 一方新天地の関西鍼灸短期大学には、元大阪大学微生物研究所所長であった川俣順一先 生(初代学長)が作った立派な動物舎があり、その一室で生理学実習書を頼りに手探りで ラットの胃酸分泌の測定を始めることが出来ました。その結果、1991 年には医学博士の学 位を取得し、林先生からはお祝いに言葉と共に2 年後に国際生理学会が英国であるので発 表する旨のお誘いを受けました。1993 年にグラスゴーで開催されたIUSP で胃酸分泌の研 究結果を報告し、その足で林教授ご夫妻と、今は夢となったインバネスにあるネス湖の恐 竜の探索にも行くことが出来ました。 関西鍼灸短期大学には7 年間勤務させて頂きました。この間に附属診療所では鍼灸外来 での診療に加えて、八瀬善郎先生(現名誉学長)の神経内科外来で神経難病の患者様を目の 当たりにして、その診察法や教育の場としての外来臨床を学ぶことが出来ました。 筑波技術短期大学での研究 1995 年に、恩師の芹澤勝助先生が設立に尽力していた筑波技術短期大学に転任すること になりました。西條一止先生(元短期大学学長)を始め鍼灸プロパーの先生がたのほとん どが芹澤先生の教え子で旧知の先生がたでした。さらに、生理学教室にはセンター時代の 後輩の大澤秀雄君が佐藤優子先生(本学名誉教授)のもとで助手を努めていました。 当時生理学教室では、大澤君が鍼刺激による血圧減少反応を研究していたので、私と同 じ年に筑波大学附属盲学校理療科から赴任された故小林 聡先生とで、心拍数減少反応の 研究を行うことになりました。この研究では、全日本鍼灸学会の最優秀論文賞である「高 木賞」を受賞することが出来ました。その後も、大澤君の筑波大学理療科教員養成施設時 代の同級生の山口真二郎先生(AMRic 治療院院長)と膝関節血流を、田中秀樹先生(都立 文京盲学校)と灸刺激による十二指腸運動を、志村まゆら先生(現本学)と瞳孔反応の実 験をすることが出来ました、みなさん小林先生の教え子でした。 生理学教室には佐藤優子先生のご主人の故佐藤昭夫先生(当時東京都老人研副所長)が 主催する当時の東京都老人総合研究所生理学研究室から、鈴木敦子(現東京健康科学大学 ベトナム教授)、鈴木はる江(現人間総合科学大副学長)、大橋敦子(現北海道医療大学准 教授)、内田さえ(現東京都健康長寿医療センター研究所専門副部長)、鍵谷方子(現人間 総合科学大教授)の各先生達が入れ替わりでお手伝いに来られていて、色々な実験技術を 教えて頂くことが出来ました。 2011 年からは、大学院開学に伴い一期生の水出靖先生(有明医療大学准教授)が腱板血 流を、2013 年から特任研究員の成島朋美先生(現本学)が灸刺激および腹部マッサージに よる胃運動の研究を行い、鍼灸の基礎研究論文を出し続けることが出来ました。さらに、 2019 年には大学院でリフレクソロジーの研究を希望するマレーシアの留学生ノライニ・ア ズリンさんが入学したことが切っ掛けと成り、足底刺激による生体反応のメカニズムを検 討し、これが最後の実験となりました。 また、佐藤門下生の先生がたには、優子先生退官の後も沢山お世話になりました。内田 先生からは生理学会の連携シンポジウムにお誘い頂き、「鍼灸療法の生理学:トランスレ ーショナルリサーチ」で、シンポジストとして堀田晴美先生(現東京都健康長寿医療セン ター研究所専門部長)と御一緒し、以降はオーガナイザーとして各鍼灸大学の若手の先生 がたを生理学会にお招きすることが出来ました。筑波技術大学の生理学研究室を盛り立て て頂いたことに感謝しています。皆様のおかげをもちまして、研究者として最も充実して いた時間を最後まで過ごせたと思っています。 おわりに コロナ渦に退職し、関係各位に満足なご挨拶も出来ませんでしたので最終講義にてお話 ししようと考えていた内容を要約してご紹介しました、少し私的な内容に過ぎましたがお 許し下さい。恩師芹澤勝助先生が念願していた、高等教育機関における鍼灸臨床研究教育 施設である「東西医学統合医療センター」のさらなる発展に期待をしています。 p19 医療センター年報2 号の発刊に寄せて 茨城県精神保健福祉センター センター長 佐々木 恵美 筑波技術大学附属東西医学統合医療センターの第2 号年報発刊、おめでとうございます。 私は平成22 年4 月から令和元年6 月まで、筑波技術大学理学療法学専攻に在籍し、医 療センターでは精神科診療を担当しておりました。精神科はハードルが高く特殊な診療科 と感じられるかもしれませんが、国際的な疫学調査によれば日本国民が一生の間にうつ 病、不安症など何らかの精神疾患にかかる人の割合は少なくとも「5 人に1 人」とされて おり、案外身近な疾患を扱う診療科になります。また、精神疾患の4 分の3は20 代半ば までに発症するとされています。大学生ではパニック症などの不安症やうつ病、双極性障 害、統合失調症といった疾患の好発年齢であり、学生のメンタルヘルスが各大学で重要視 されている一因でもあります。 こうした背景もあり、東西医学統合医療センター(以下、医療センター)の外来は一般 の患者さんの他に学生さんの受診も多く、保健管理センターの診療所のような役割もさせ ていただきました。また、鍼灸や理学の先生方と共に同じ患者さんの診療にあたることが できたことは、大変貴重な経験でした。通常精神科では、患者さんのサポートのため精神 保健福祉士や臨床心理師等と多職種連携をするのですが、その役割を根本師長さんや武笠 さんはじめ看護師の方々、事務の皆様が担ってくださり、本当に感謝しております。学生 関係では、保健管理センターの皆様や教職員の方々には大変お世話になりました。いろい ろと無理なことをお願いしてしまいましたが、しっかりと対応してくださり、在任中大き な事故もなく診療ができたのは皆様のおかげと感謝しております。 さて、この原稿を書いている今、コロナの感染拡大が止まらず、茨城県にも緊急事態宣 言が発令されています。終わりが見えないことによるコロナ疲れ、将来への不安、経済的 不安、帰省・旅行の制限、部活の中止、オンライン授業や会議疲れ等、誰もが閉塞感を感 じていることでしょう。昨年はコロナ禍で女性と若者の自殺が増えたことが報告されまし た。そんな状況下でも、筑波技術大学の学生さん達は工夫しながら前向きに適応されてい る方も多く、柔軟で素晴らしいと感じていたところです(香田先生が送ってくださった今 年度の授業アンケートより)。これも、教職員の皆様のきめ細かいご指導やご尽力による ものと思います。 感染が落ち着くまでもう少し時間はかかると思われますが、新たな工夫をしながら、今 できることをやりながら、乗り越えていくことが求められています。一方で、このような 状況下で疲れを感じることは、誰にでも起きうる自然な反応です。できるだけ意識して休 養を取るよう心がけてください。釈迦に説法で恐縮ですが、生活リズムは一定に保ち、夜 間の睡眠とバランスのとれた食事を取り、自粛で運動不足にならないよう適度な運動をし て、心地いいと感じることを生活に取り入れ、情報とは距離をとることをお勧めします (不安になる情報に集中せず、見る時間を決め、SNS は信頼できる正しい情報かどうかチ ェック)。心細い時、困った時は1 人で抱え込まず、不調が続く場合は早めに医療機関に 相談してください。また、飲酒量の増加や普段より気分が高ぶっているなど、本人が自覚 していなくても周囲が変化に気づいたら、声をかけて相談につないでみてください。 コロナ禍でこそ、人と人とのつながりは大切です。 私事で恐縮ですが、茨城県精神保健福祉センターについて少し紹介いたします。精神保 健福祉センターは全国の都道府県に設置されており、政令市を含め69 か所あります。当 センターには相談援助課と精神医療福祉課があり、相談援助課では一般相談のほか、自殺 対策推進センター、依存症(アルコール、薬物、ギャンブル等)相談拠点、災害時こころ のケア、各種研修等を実施しています。また、昨年4 月に発足した「県コロナ関連メンタ ルヘルス対策協議会」の中で、一般県民相談・支援、リーフレットによる広報等を担当し ています。精神医療福祉課では福祉手帳や自立支援医療の発行、精神医療審査会の事務担 当のほか、夜間および土日祝日の警察からの通報対応、救急コールセンター窓口業務とい った精神科救急業務を担っています。少人数体制ですが、今後は県の精神保健福祉医療の 充実を目指し、医療機関や地域の関係機関との連携を強化しながら業務を推進していく予 定です。 最後になりましたが、医療センターにおける視覚障害学生への教育、東洋医学と西洋医 学が結びついた診療・施術、研究は、他に類をみないものです。 今後、益々のご発展を祈念しております。 p22 ◆東西医学統合医療センターのコロナ対策の紹介◆ p23 東西医学統合医療センターにおける新型コロナ感染症対策に係る活動 看護師 武笠 瑞枝 東西医学統合医療センターでは、毎週月曜日にセンター職員による全体ミーティングを 行い様々な情報の共有やスケジュールなどを確認しています。 新型コロナウイルス感染症は、2020 年当初から世界的な広がりをみせ、日本国内では 2020 年1 月15日に国内初の感染者が報告されました。そのような中、2020 年1 月20 日 のミーティングからは、新型コロナウイルス感染症に関する対応策が話し合われるように なり、厚生労働省、医師会、看護協会及び感染症対策の研修会等の情報を基に当センター での対応を検討しました。世界的に類を見ない感染力の強いウイルスであり、日々変わる 情報に戸惑いながら新型コロナウイルスを理解して、職員や来院者への対応を決めること に悪戦苦闘の日々でした。当センターにおける対応マニュアルを作成し、来院者の検温と 体調の確認、限られたスペースで発熱者や有症状者が他の患者と接触がない動線、換気の 出来る診察室の確保、防護具(PPE)や消毒薬の購入等、可能な限りの対応を行い各部署 で情報を共有し疑問点はその場で意見交換をしました。 2020 年4 月7 日の国の緊急事態宣言発令時からは、センター長を筆頭に、鍼灸・理学 の先生方、看護師、事務職による対策会議を何度も開催しました。 患者さんが安心して診察、鍼灸施術及び理学療法を受けられる医療センターにするために は、「ウイルスを持ち込まない」、「職員が感染しない」ことが重要となり対応策を常にブ ラッシュアップしました。 新型コロナウイルス感染症は標準予防策の徹底が極めて重要です。来院する方々にマス ク着用と手指の消毒を促すためホームページとセンター入り口に掲示し、少しでも体調の すぐれない方や発熱者等は、来院前に必ず電話で知らせてもらうようお願いしました。 また、来院者の把握及び外部からウイルスが入ることを防止するため、出入り口を正面 玄関のみとし検温と体調のチェックを実施すると共に、感染予防のため診察室や待合室の 備品を使用後に消毒し、センター内の定期的な換気を行いました。 2021 年4月からはワクチン接種が始まり半年が経過しましが、現在も継続して行ってい ます。 看護師の人数は施設基準上ぎりぎりの人数です。自分が感染するかもしれないという大 きな不安・ストレスの中、患者さんと向き合ながら、新型コロナウイルス感染症予防対策 の業務が増え多忙となりました。 しかし、感染拡大防止ため看護師としての役割を実施し、先生方や各部署の方々への相 談や協力を得て、すべての職員が感染対策に対応できるようになることを目指し、今後も 活動を行っていきます。そして、東西医学統合医療センターに来院する方々が、安心して 治療を受けられる場所にしてきたいと思います。 p25 感染症対策に関する議事録 【毎週月曜日ミーティング】 1 月20 日 発熱者、疑似症状にて来院した場合は西棟で診察する。患者は外階段より出入り、鍼灸と理学には必ず患者診察時に連 絡をする。 職員は、原則出勤前の検温と体調のチェックを行うこと。 1 月27 日 感染対策に必要な物品の在庫とマスクの一日使用枚数を確認する。マスクやガウン、消毒薬等の購入が困難。各部署で 購入、備蓄分は診察室で購入する。 来院者及び職員のマスク着用・手指の消毒の徹底。新型コロナウイルス感染症に関する症状や保健所、自治体、国から の案内や情報をセンター内に掲示する。 2 月3 日 来院者は受付後看護師が検温と新型コロナウイルス感染症に関わる症状についてチェック表を用いて問診する。センタ ー勤務時の職員は、各自出勤前に検温、体調確認を行いチェック表に記入する。 2 月10 日 各部署の換気は、一時間に10 分~15 分の窓を開けて行う。鍼灸施術や理学療法は1 人の患者の治療終了後に換気す る。空気清浄機は常時使用。窓のない部屋に関しては、サーキュレータを使用して空気の流れを作り対応する。 休憩室や使用する部屋の大人数での使用は避ける。昼の休憩室は西棟やセンター2 階の教室等お使用を検討する。 4 月13 日 緊急事態宣言発令に伴い患者の受け入れや県外から勤務の職員について等、4 月9 日臨時打ち合わせ内容を伝える。 4月21 日~5 月6 日まで、鍼灸施術と理学療法の患者受け入れを止める。 他病院にて医療従事者の新型コロナウイルス感染症陽性が報告された。感染ルートは共有するパソコンタブレットから の接触感染の可能性があり、センター内でも使用前後の手指の消毒の徹底。診察室のパソコンキーボードはサランラッ プを巻き、医師が変わる事に交換することになる。 4 月20 日 理学療法1 名の発熱報告あり、2 週間の自宅待機。西棟は閉鎖(1 週間閉鎖後消毒清掃) 担当している患者17 名に状況の報告と発熱やその他の症状の有無を確認する。 p26 4 月27 日 リハビリ患者17 名に隔日で連絡済。発熱者及び体調不良者なし。 5 月1 日(金)西棟消毒清掃予定。 10 月5 日 筑波メディカルセンター病院にてPCR検査(検査センター)開始となり、依頼方法等の説明をする。 10 月19 日 つくば医師会より、発熱外来・PCR検査・インフルエンザ検査について市内医療機関での対応と発熱外来設置について。 11 月30 日 正面玄関入口での検温と体調チェックを12 月~開始する。それに伴い西棟入口階段を閉鎖。来院者は正面玄関のみの 使用になる。職員は大学側入口使用可。 【打ち合わせ】 4 月9 日 センター長・酒井先生・櫻庭先生・佐久間先生・杉田先生・高野係長・武笠 感染拡大に向けた対応 鍼灸施術と理学療法の対応 4 月7 日 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・福岡に緊急事態宣言が発令された。茨城県は連休前に発令の可能性がある。 鍼灸: 県、市の情報を確認して対応する。都内及び緊急事態地域の方は予約を中断する。 理学: 鍼灸と同じ対応。県の緊急事態宣言が発令後、通院にて理学療法が必要な患者とホームエクササイズで可能な患者を決定。事前に自宅での 運動を指導する。他施設併用利用の方は断る。 学生実習(5 月末 4 名予定)の受け入れについて:県外から通学の学生は実習2 週間前から体調の確認をする。 早めに宿舎移動可能か? センター職員については、都内及び県外から通勤の場合は出勤を止める。一時的に県内に転居する教職員・研修生については2 週間の 自宅待機を要する。 p27 4 月17 日 センター長・櫻庭先生・佐久間先生・高野係長・武笠 全国緊急事態宣言発令、茨城県は特定警戒都道府県となり対応をどうするか 鍼灸・リハビリともに患者受け入れを止める。 期間は、4 月21 日~5 月6 日を予定。予約は5 月7 日午後~再開。センター内、ホームページに掲示する。 4 月30 日 センター長・酒井先生・殿山先生・櫻庭先生・佐久間先生・高野係長・武笠 緊急事態宣言期間が延長となり、茨城県は特定警戒都道府県。 センターの対応:ゴールデンウイーク中の学生の対応 5 月20 日まで鍼灸・理学療法は患者受け入れを止める(予定延長)。 5 月21 日~再開。つくば市内在住の方のみ。ただし、他県、都内との接触がある場合は不可。 ゴールデンウイーク中の学生(発熱者、体調不良者)の対応については、保健管理センターと連絡を取りながら対応する。 PPE3 セット準備する。 5 月13 日 緊急事態宣言解除後の対応 鍼灸施術・理学療法は5 月21 日9:30~館内限定で再開する。鍼灸施術の部屋は、東棟のみ使用。間をあけて使用する。 常に換気で対応。 理学療法は、窓のある部屋を使用。常に換気。終了後は使用備品の消毒を行い、患者予約時間は20 分の間隔をあけて対 応する。6 月~指定以外の件の方を再開する。鍼灸は西棟も使用開始。 7 月7 日 センター長・高野係長・武笠 クリーンパーテーションについて 日本エアーテック、中山商事によるクリーンパーテーション の説明を受ける。2 台購入、西棟隔離診察室に設置予定。 p28 10 月21 日 臨時運営委員会 インフルエンザ流行に備えた体制整備について(医師会) センター長より冬季感染症に向けた発熱者の受診体制について説明があった。センターの環境やマンパワー不足等からセンターでは発熱 外来は設置せず今後も筑波メディカルセンター病院(検査センター)へ依頼する。 発熱者・疑似症状は原則屋外で対応。来院者全員の検温を正面玄関入口で実施。 p29 鍼灸マッサージ施術におけるコロナ対策 ~ふれあいの需要~ 成島 朋美 2020 年1 月15 日、国内第1 例となる新型コロナウイルス感染症の報告後、感染は徐々 に拡大し2020 年度は新型コロナ感染症の対応に追われた年度となりました。東西医学統 合医療センターでは、3 密の可能性が高いリハビリ部門と施術部門(鍼灸・マッサージ) を2020 年4 月21 日~5 月20 日までの1 カ月間、休診という判断をしました。その後、 つくば市内、茨城県内の患者さま、という形で徐々に施術を再開していきました。再開に あたり、スタッフの体調管理の徹底と移動の制限が行われました。自宅での検温の後、医 療センター内でも再度検温と体調チェック表の記載、同居家族にコロナ様の症状があった 際の出勤停止など、コロナを持ち込まないためにできることをひとつひとつ行っていまし た。当センターは医療機関内にある為、一般的な鍼灸治療院等と比較して感染対策は徹底 して行われていたと考えます。入館を正面玄関のみに限定し、看護師による検温・体調チ ェックの後に施術に入るため、鍼灸師側では体温の記載された体調チェックカードの確認 のみで安全に施術を行うことが出来ました。少ない人数で業務にあたって頂いた看護師の 方々に深謝致します。 施術部門では、患者さまに安心して施術を受けて頂くため、1 施術ごとに30 分の換気・ 消毒時間を設けました。また、ディスポーザブルシーツの使用、消毒可能な温熱マット、 換気のためのサーキュレータや空気清浄機の導入などを進めました。医師の判断のもとリ スクの高い患者さまについては、フェイスシールド・グローブ・ガウンを着用し個室で空 気清浄機を使用しながら鍼灸施術を行う場面もありました。マッサージ施術では、素手で 行っていた施術をグローブ着用に変更するなど、より高度な技術が求められました。ま た、フェイスシールドをしながらの施術は体温がこもるため汗をかく、弱視の施術者は視 界が歪み、より見えにくくなってしまうなどの困難もありました。 受入患者の居住地域やベッド稼働率を制限したため、2020 年度の総施術数は前年比約 69%、新規患者数も前年平均1.3 人/日から平均0.9 人/日と減少しましたが、感染の比較的 落ち着いていた夏~秋ごろは前年に対し8 割以上の施術数と回復傾向がみられました。新 型コロナウイルスは人と人との直接的なふれあいを制限するため、直接触れて治療を行う 我々鍼灸・マッサージ師にとって考えさせられることが多かったように感じます。鍼灸師 としてコロナ禍を経験し、心身に不調を抱いて当センターを活用してくださっている患者 さまは、我々施術者と手を通じたふれあいを治療の一部として求めて頂いていること、ふ れあいの需要を感じた1 年となりました。今回の経験を東西医学統合医療センター施術部 門の在り方に活かしていけるよう努力していきたいと思います。 p30 リハビリテーション部門のコロナに関する取り組み 杉田 洋介 【はじめに】 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、2019 年12 月以降中華人民共和国湖 北省武漢市で発生した原因不明の肺炎患者から検出された新種のコロナウイルスである。 本邦においても、2020 年1 月に感染症第一例が検知されて以降、感染者数170 万人、総 死亡者数17730 人 (2021 年9 月30 日時点)と猛威を振るい、4 回の非常事態宣言が発令さ れるなど、未だその終息の兆しはみえていないのが現状である。 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター(以下、当施設)はCOVID-19 患 者の受け入れを行っておらず、リハビリテーション部門でもCOVID-19 患者と直接接触す る機会はない。しかしながら、リハビリテーション室には不特定多数の外来患者が集い 様々な機器を使用(接触)することや、運動負荷によって換気量の増大が起こることから、 感染リスクは低くないと思われる。本稿では、「リハビリテーション部門のコロナに関す る取り組み」と題して、2020 年の4 月以降、当施設での外来リハビリテーション実施に 際して、取り組んできた感染対策の実情について報告する。 【リハビリテーション科における具体的対策】 リハビリテーション科では、他部門と情報を共有しつつ、以下の5 点を重要視した感染 対策に取り組みながら外来リハビリテーションを行っている。 1. 標準予防策と使用機器の消毒 標準予防策とは感染症の有無にかかわらず、あるいはいかなる病態であるにも関わらず適用され る感染対策であり、患者と医療従事者双方における医療関連感染の危険性を減少させるために標準 的に講じる感染対策である。リハビリテーション場面では、理学療法士と患者が直接的に接触する ことが多く、理学療法士や受付スタッフを介しての感染に注意を要した。そのため,担当する患者 が変わるごとに手洗いや擦式手指消毒剤の使用によって感染の予防に努めた(図1)。また、リハビ リテーション実施の際には必要に応じて防護具(サージカルマスクとグローブは常時使用、時に フェイスシールドの使用)を着用し、訓練機器・器具の清掃・消毒も担当する患者が変わるごとに 行った(図2)。また、室内清掃に留意し不十分な点は清掃担当者に依頼するなど必要に応じた対処を 行った。 2. 適切な換気とソーシャルディスタンスの確保 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解(令和2 年3 月9 日及び3 月19 日公表)では、 集団感染が確認された場所で共通する3 条件として、①換気の悪い密閉空間、②多くの人の密集、 ③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が示された。この見解を参考に、リハビ リテーション室の適切な換気として窓開けによる換気と扇風機やサーキュレータ使用による機械換 気に努めた(図3)。特に有酸素運動実施の際は換気量が増加することから窓開けと機械換気を併用す ることにより感染対策に努めた。 3. スタッフの体調確認と行動記録 リハビリテーションスタッフから患者や他スタッフへの感染を予防することを目的に、 検温や自覚症状を基にした管理表を使用して体調確認を行った。また出勤予定日の起床時 に倦怠感やCOVID-19 に関連する症状がある場合、同居家族間で37.5°を超える発熱を 有する者と濃厚接触がある場合は、原則出勤を取りやめるように取り決めを行った。 4. リハビリテーションを受ける患者のマスク装着と運動負荷量の調整 当施設で行うリハビリテーションは、原則40分間の個別リハビリテーションであり、全例に対 して1m 以内の距離で治療を行っている。したがって、その行為は濃厚接触に該当するためスタッ フや患者の発熱、体調不良が確認されなくても、双方向の感染を防ぐ目的から患者にもサージカル マスクの装着を徹底している。また、リハビリテーションを受ける患者の中には心血管疾患や呼吸 器疾患を有する患者も存在するため、そのような患者には運動負荷量を軽減した状態でマスク装着 下でのリハビリテーション実施に努めた。 【今後の展望】 現状として、当施設でリハビリテーションを受けた患者やスタッフ間でCOVID-19 陽性報告は出 ておらず、スタッフの心身の健康状態は良好である。当施設のリハビリテーション科で取 り組んでいるCOVID-19 感染予防策は、1. 標準予防策と使用機器の消毒、2. 適切な換気 とソーシャルディスタンスの確保、3. スタッフの体調確認と行動記録、4. リハビリテー ションを受ける患者のマスク装着と運動負荷量の調整であり、これはほとんどの施設で実 施されていると予想される。COVID-19 の今後の動静は、正確な予測が困難であり、今後 は必要であればオンラインでの運動指導や動画作成等も検討していかなければならない。 p32 新型コロナウイルス感染症の影響下における 東西医学統合医療センターリカレント教育の実践 櫻庭 陽 今年度、東西医学統合医療センターが実施した主なリカレント教育は、1)視覚障がい 並びに晴眼の鍼灸あん摩マッサージ指圧(以下、あはき)師を対象とした研修制度(卒後 研修)、2)あはきの初学者を対象とした公開講座・勉強会、3)本学の高大連携授業の 一環として始まった福岡県立福岡視覚特別支援学校の研修科との遠隔授業の取り組み(視 覚障がいあはき師を対象とした遠隔教授)があります。2020 年初頭からの新型コロナウイ ルス感染症の影響下におけるこれらのリカレント教育について、ご紹介します。 1)卒後研修 年度初頭の感染拡大時期は、感染対策が手探りだったこともあり、患者数が減少し、安 全のために施術を休診しました。その後、感染対策が見えてくるとともに、患者数もある 程度、回復しました。このように、感染における患者の動向を肌で感じるとともに、あは き臨床における感染対策を研修生とともに実践の中から学んだ1 年でした。医療施設とし て行う標準感染対策の徹底や施術間の消毒や換気時間などは、研修生が独立してから生か せると思います。 2)公開講座・勉強会 毎年、視覚障害の有無を問わず、学生やあはきの初学者を対象に公開講座を実施していま した。今年度は、対面を避けるためオンラインを活用した新たなカタチで勉強会として開 催しました。その中で、実技を遠隔で教授することにトライしました。対象が知識や経験 に乏しい学生や初学者だったので、対面では簡単教えられる内容も教授が難しかったです が、平易な言葉でシンプルに伝えることが重要だと感じました。 ― 33 ― 3)視覚障がいあはき師を対象とした遠隔教授 勉強会の経験を基にして、視覚障がい者を対象にオンラインを活用した遠隔実技教授に取 り組みました。2 回の内、1つは動画を作成し、もう1つはライブで行い、それらを比較 しました。動画は事前に作成できるので、説明に指示語を使わずに適切な言葉で表現でき る良さがありました。ライブは、広角で手ぶれ補正機能を有するアクションカメラで刺鍼 の手元を撮影して、タブレットの拡大機能を用いて対象者が閲覧しました。集団による供 覧に比べ、手元が拡大して見えることは大きなメリットでした。“視覚障がいと遠隔”、 “技術と遠隔”は相容れない関係だと思い込んでいましたが、この取り組みを通じてオン ラインを活用した新たな学びの可能性を感じました。今後も継続して、課題の克服とブラ ッシュアップに努めたいと思います。 以上のように、新型コロナウイルス感染症の影響下で変化を求められた1 年でしたが、 リカレント教育を通じて、施術における感染対策や新たな学びのカタチを創造することが できました。このピンチをチャンスと捉え、新しいリカレント教育を発信していきたいと 思います。 p33 コロナ禍でのオンライン勉強会の取り組み 成島 朋美 施術部門では、研修の一環として症例報告・文献調査・合同カンファレンス・COMPASS (医療センター勉強会)・症例発表会などの取り組みを継続してきました。これらの取り組 みは他職種と協働できる鍼灸師を育成するために重要な役割を果たしていましたが、コロ ナ禍となった2020 年度は3 密を避けるため一時中止せざるを得ませんでした。しかし、研 修生からの声もあり開催に向けて検討した結果、Zoom を活用したオンライン勉強会の形を とって再開することができました。当初は症例報告・文献調査などについて学内関係者を対 象に行っていましたが、オンラインの利点である場所に縛られずに参加できるという点を 活かし、研修OB に対してCOMPASS・症例発表会をウェビナー形式で公開しました。 COMPASS は2021 年2 月・3 月に以下のテーマで行いました。 2021 年2 月10 日 講師:櫻庭陽 准教授 「透析医療における鍼灸治療」 2021 年3 月17 日 講師:三浦美佐 准教授 「新たなリハビリテーションへの挑戦と展開 〜腎臓リハビリテーション〜」 2020 年度第1 回COMPASS に関するアンケート結果をご紹介します。23 名の回答があ り、その内訳は男性13 名・女性10 名、14 名が当センターに所属のある内部関係者、9 名 が研修生OB など外部からの参加者でした。ウェビナーの利点として県外からの参加が23 名中7 名みられました。内訳は、東京都2 名、埼玉県・神奈川県各1 名、その他宮﨑県・ 岩手県・徳島県から各1 名の参加がありました。参加者の7 割が鍼灸師で、その他、医師・ 理学療法士・臨床検査技師等でした。「自身の業種に関して、技術・知識のアップデートが 重要だと思いますか?」という問いに対しては「とても重要」18 名・「重要」5 名の回答が あり、回答者全員が重要であるという認識をしていました。 COMPASS の実施は医療センター内部での他職種理解を進め、コミュニケーションを円 滑にしていると捉えています。また、各地で活躍しているOB をつなぐこのようなウェビナ ーを今後も継続していきたいと考えています。 視覚障害スタッフからの回答は23 名中5 名でした。今回のウェビナーで視覚障害のため に困ったことを確認したところ、画面共有している情報が認識できない、移動中のため音声 のみの参加になってしまった、アーカイブ配信があるとありがたい、テキストファイルの事 前資料配布が欲しいなどの意見が寄せられていました。これらの声に応えながら、視覚障害 スタッフとの協働を進めていくことも当センターの重要なミッションとして、取り組んで いきたいと思います。 p35 covid-19 による国内・茨城の感染者の推移 グラフを表示 茨城県内の感染者数(1日ごと) グラフを表示 グラフはNHKの発表データを基に当院にて作成したグラフ 参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/entire/(2021/12/05 アクセス) p36 covid-19 による国内の重傷者・入院中患者の推移 参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/entire/(2021/12/05 アクセス) p38 ◆教育の場としての東西医学統合医療センター◆ p39 コロナ禍での専攻の取り組みと実習授業 鍼灸学専攻 専攻長 殿山 希 2020 年2 月初旬、米国の研究者との段取りも整い、旅行会社に渡航費を支払う期限の 日、ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港で足止めを食らった。新型コロナウイルス感染 症とやらはかなりまずそうと感じ、やっと実った渡航だったが、とりやめを決断した。そ の1 ヶ月後、令和2 年度の鍼灸学専攻長に選出された。退職まであとわずかなので、あま り得意な仕事ではないが、最初にして最後のご奉公と思ってお引き受けした。ところが、 そのたいへんさは想像以上のものとなった。 3 月19 日、まだ専攻長の辞令も下りていないが、学部長から研究室に電話が入り、4 月 からの授業について検討するようにとのことであった。コロナウイルス感染症の感染予防 の観点から、1 学期に実施する授業のうち、特に対面指導が必要な実習系授業を感染症が 治まるであろう2 学期(10 月以降)に回せるかとのことであった。2 学期に1・2 学期分 の実習を入れ込むとなると、基礎実習と応用実習が同時並行で実施されるということにな る。毎週1 回ずつ基礎技術力を積み上げて、次いで応用力を養い、最後は臨床実習で仕上 げるという鍼灸学専攻で理想としている実技実習教育の理念が崩れる。それはないだろう という思いと、そうでもしないと組み換え授業が不可能という痛々しい思い。2 学期に実 習を固めるには、2 学期の座学を1 学期に移動する必要もある。科目の順序性もある程度 考えながら1 学期は座学、2 学期は実習という特別時間割がどうにか仕上がった。 座学で対面式の場合、教室の座席が2 メートル空けて実施できるのかどうか、10 人を上 限とした時に実施が困難な授業があるのかどうかも調査した。各教室の椅子と椅子の感覚 をメジャーで測って回った。教卓には透明のアクリル板を備え付け、非接触型体温計、手 指消毒剤、アルコールのしみ込んだ除菌シート等は籠に入れて、授業をする教員が教室に 持ち運べるように準備した。 さらに新型コロナウイルス感染の拡大は止まらず、4 月6 日の入学式も授業開始日も延 期された。座学もオンラインで行うことになった。そこで、大学のムードルには授業の資 料は掲示したが、学生の利便性に配慮して、学生の希望に応じて、担任団が資料を郵送し た。プリントアウトした点字の資料や立体コピー、解剖模型などである。 5 月11 日から授業が開始した。教員のマンツーマンでの手厚い指導があって、学生は皆 オンラインで授業を受けることができた。学生は皆、視覚障害があるのにすごいと思っ た。 非常事態宣言はようやく5 月25 日に解除された。しかし、冬のさらなる蔓延、インフ ルエンザとの同時蔓延を想定して、2 学期開始予定で作成した特別時間割は9 月からの前 倒しとなった。 来る日も来る日も実習系の授業が毎日何時間も続いた。授業前の検温と体調チェックの 実施、フェイスシールドの着用は通常授業と異なったが、徹底した手洗いや手指消毒は鍼 灸学専攻の実習ではいつも当然で、コロナ禍だからと言って特別なことではなかった。鍼 灸治療に訪れる人の中には自分自身が感染症(例えば、B 型肝炎など)にかかっているこ とを知らない人もいる可能性があり、施術前後の手洗いはCDC ガイドラインの手術時用 に相当する教育が日頃からなされているからだ。あん摩の授業の前後も当然いつも手洗い と消毒をしていた。 コロナ禍の医療センター実習では、患者との接触があるため、学生は厳重な入場の管理 がなされた。校舎棟から医療センターへの入り口は二階の通路のみとされ、時間を限っ て、医療センターの看護師の協力により、検温・健康チェックをして入場した。 医師・鍼灸師教員の下での実習は、同時にひとつのブースに入る学生数を例年より減ら して三密を避けた。鍼灸ブースでは、入り口を開けたままでカーテンを引き、風通しをよ くした中で施術した。あとは例年通り、学生は患者様に問診し、身体に触れて触察し、教 員の刺鍼部位を目や手で確認した。施術終了後は窓やドア、カーテンを広く開け、ベッド やワゴン、椅子もアルコール消毒し、使い捨てシーツを付け替えた。これは学生の実習で の任務のひとつだった。ベッドの連続使用は避け、使ったベッドは30 分間は休ませた。 例年、毎回の実習後、学生は実習報告書を提出する。実習で学んだ症例をまとめ、病態把 握に必要な知識を確認して報告書に盛り込む。これはコロナ禍でも同様に実施した。 11 月になると学生の対面授業を終わらせなければならなかったため、医療センターでの 実習の代わりに、例年にはなかったメニュを加えた。医師・鍼灸師教員それぞれは、実習 が終了してから学生全員を集めてレクチャー・ミニカンファレンスの授業を持った。その 授業の内容は各教員ごとに任せた。私は、毎週同じ患者様に協力していただけたため、学 生全員が同じ患者様を見学して、病態把握・現代医学的治療法、東洋医学的治療法を考察 して発表することとした。よって、オンラインでのミニカンファレンスでは、同一患者に 対する学生各々の考察が提示され、互いに他者の意見を聴き、教員の指導を再認識した。 実習のフィードバックが確実にできたと感じた。有意義で面白い展開となった。この取り 組みはコロナ禍が終わってからも継続したいと思った。 2021 年3 月19 日、今年の手帳のページを開いた時、次々と変わる社会情勢に対応しな がら、まるで次から次の波を乗りこなすサーファーみたいに必死に進んだ多忙でたいへん な一年間だったなと思い返し、深く息をついた。専攻関係者や周りの方々の頑張りと協力 のおかげで例年と同様の、いや、さらに新しい展開の鍼灸学専攻の教育が実現できたこと に厚く感謝する。 p41 理学療法学教育の場としての医療センター 理学療法学専攻 三浦 美佐 はじめに,現在,感染症に苦しむ患者様およびご家族に心からお見舞い申し上げます. また医療センター職員として,新型コロナ感染症予防に対応する皆様に感謝を申し上げま す.昨今,「不要不急」の要件は控えるよう耳にすることが多くありますが,改めて我々 の仕事を見つめなおす良い機会ともなり得ました.今春には新型コロナ感染症蔓延予防の 観点から,本医療センターリハ科の診療休止となる事態も生じました.日頃,私たちが心 を砕き,手掛けていたことは「不要」であったのか,とがっかりもいたしました.ところ が,医療センターリハ科再開を望む患者様の声は高く,「ここに来てよかった」,「体が軽 くなりました」,「リハビリが楽しみです」等の感想を再開後に聞くことになりました.患 者様のなかには,自費で治療を受ける方もおり,この状況下においても,患者の皆様が医 療センターでの治療を待ち望んでいることを実感できました.医療センターでは臨床・教 育・研究の3 本柱をかかげ,日々の臨床の他に,学生教育ならびに卒後教育,基礎から臨 床までの幅広い研究が行われており,筑波技術大学保健科学部の誇れる施設となっており ます.新型コロナ感染症蔓延の状況を受け,学外施設での臨床実習が難しくなった時にお いても,医療センターは学生教育を継続し,本学ならではの臨床実習教育を実践していま した.一方で,理学療法士の急激な増加 は,従来の領域に止まる職域であると今後,供 給過多が懸念されます.しかしながら,地域社会全体で考えたときに,理学療法士の絶対 数が充足しているとは言い難い印象があります.このことは,理学療法の職域が,医療機 関における急性期や回復期医療の中で提供されている理学療法のみならず,維持期や介 護,そして予防や健康増進という幅広い分野で広がりを見せているということになるかと 思います.ひるがえって,医療センターリハ科での臨床・教育・研究を考えると,まさに 地域の人々に必要とされる存在ではなかろうかと考えます.附属東西医学統合医療センタ ーリハ科におかれましては,外来リハを治療後,身体機能改善を果たし,外来リハを終了 する患者も多く見受けられます.近年の患者層は社会構造を反映し,運動器疾患であって も高血圧,不整脈,腎機能低下など,原疾患の他に内部障害を併せ持つ患者が急増してお ります.よって今後,さらに,常勤の専門医や鍼灸部門や医療スタッフと連携し,疾病予 防や外来リハビリ終了後の在宅指導など予防の領域にも目を向けられればと考えておりま す.さらには,市民公開講座での地域住民への啓蒙活動などを企画し,学生と共に運営参 加できればと考えています.そうした活動を通じ,さらなる障害者のエンパワーメントに つなげられればと感じております. 私たちは想定外の状況に置かれると,不安になりパニックに陥ってしまいます.新型コ ロナ感染症蔓延状況における,マスクなどの物品の買い占め,自粛警察など,普段見られ ない状況が昨今はよく見受けられました.こうした状況の根源には,私たちが日常の生活 において,想定通りに運ぶことに安心を得ているからです. しかし,今回の新型コロナ感染症蔓延にしろ,今までの人生にしろ,想定通りに事が運 んだことなど,これまでどれほどあったでしょうか.見えない事態に向き合い,対処する 実践能力をつけていくことは,教育の本質であろうかと思うのです. 教育は受けた本人のみならず,その担当患者さんやご家族にも利益をもたらしうるので はないかと考えます.エビデンスを持った理学療法と,他者に感謝される仕事ができる喜 び,それこそが我々の「不要不急」の要であると,私は考えます. 末筆ではございますが,今回のコロナ禍で得られた知見を元に,われわれの新たな第一 歩になればと祈念いたしております. p44 ◆在籍スタッフ 卒後臨床教育◆ p45 「ポラリス」から「ベガ」へ 筑波技術大学保健科学部 客員研究員(現銀の森治療院 院長) 渡邊 健 天の北極に燦然と輝くこぐま座α星ポラリス。この星は大海原を渡る船乗りにとって、 古の時代より重要な航海での道標となってきた。地軸の延長線上に位置する北極星。しか しこの地軸の指し示す方向は、回るコマの軸の如く、規則的にその向きを変える。この歳 差運動と呼ばれる動きによって北極星となる星は約25800 年という周期の中で移り変わっ ていく。例えば12000 年後には、おりひめ星で有名なこと座の1等星ベガが北極星として 北の空に輝くこととなる。 私達はポラリスたる鮎澤聡東西医学統合医療センター長をはじめとする多くの先生方の 導きにより、すでに存在する知の獲得、未だ誰も見たことのない知の創造、而(しこう)し て社会に貢献し得る知の構築といった一連の学びの尊さ、換言すれば研究を軸とした臨床 家としての姿勢を心に感じ銘じさせていただきました。真に豊かに生きるために、その礎 を築かせて頂けたこと心より深く感謝申し上げます。 これからの私達の使命は、当センターによって醸成されたこの力を、かけがえのない家 族のために、障がい者のために、そして広く社会のために生かしていくことにあります。 これから訪れる未来という大海で、飽くなき好奇心を胸に携え、時代と共に移り変わって いく価値観に惑わされることなく、常に肯定的で発展的な疑いを持ち、己の真の眼でその 価値を見極め行動を起こすこと、即ち新たなる指針「ベガ」を捉え、そこに向かって颯爽 と自らの船を漕ぎ続けていくこと。その姿をもってお世話になった先生方への恩に報いる ことができればと思います。 小さき船乗りの新たなる航海。これからもあたたかく見守っていただければ幸いです。 最高の臨床環境に身を置いて 東西医学統合医療センター 技術補佐員(現順天堂大学) 野津 将時郎 この度は、東西医学統合医療センター年報・第2 号の発刊おめでとうございます。私 は,2016 年に保健科学部保健学科理学療法学専攻の特任研究員として就任しました。同学 部内での研究活動、学生指導、そして、臨床業務を行っておりました。その後、2018 年の 夏までお世話になり、大学間交流協定を結んでおります「アイオワ大学」へ研究留学をし ました。そして、帰国後、2020 年度の1年間、東西医学統合医療センターの理学療法士と して勤務させていただきました。計3年ほど、東西医学統合医療センターに関わらせてい ただきました。 私が初めて医療センター西棟を訪れた際、「なんて整った臨床環境なのか」とただただ 驚愕していたのを思い出します。施設内には、三次元動作解析装置、床反力計、筋力トレ ーニングマシンやレッドコード(スリングセラピー用の機器)、さらに、個室まで完備さ れており、まるで欧米諸国にあるクリニックの様な雰囲気でした。とても充実した環境で 仕事ができることに、一理学療法士として興奮しておりました。 また、センターの大きな特徴は、理学療法(運動療法)と鍼灸の融合だと感じていま す。木曜日夜の合同カンファレンスでは、鍼灸の先生方や研修生の皆さんとコミュニケー ションをとりながら、患者さんの情報交換を行うことができました。また、研修生には実 際に理学療法を体験してもらったり、逆に、私の身体を練習台として使ってもらったりな ど、治療場面以外での交流もあり、とても良い思い出として残っております。私自身、当 時は筑波大学アメリカンフットボール部のコーチをしており、恥ずかしながら、頸を痛め ていたこともあり、鍼灸の先生には大変お世話になりました。身をもって、理学療法と鍼 灸の相乗効果を実感できました。 このような素晴らしい環境に身を置けたことは、私の理学療法士人生にとって大変有意 義なものになったと確信しております。東西医学統合医療センターが、今後とも、つくば 市や近隣地域の健康増進に貢献する役割を担えますよう、益々のご発展を祈念いたしま す。 p46 研修の感想 東西医学統合医療センター 研修生 片岡 由起子 いつも次の瞬間に自分がこの世から消えていても後悔のない生き方をしています. が,絶対死なないと思っていた登山家の友人があっさり山で命を落としたことをきっか けに,本当にそういう生き方ができているのかわからなくなり,「人生の残りはあと半 分!やりたいことをやろう!」「中学生の頃より興味のあった【身体のケア】を仕事にし よう」と思い立ち,天職だと思っていた職業に終止符を打ちました.午前中は学び,午後 は働きながら,2020 年3 月に専門学校を卒業,同時にはりきゅうあん摩マッサージ指圧 師の資格を取得しました. 研修ではさまざまな考え方をもつ教員,先輩施術者,医師,理学療法士をはじめとした コメディカルとコミュニケーションを取ることで,幅広い知識,技術を身につけ,見識を 深めるなかで,自分流を模索し,疾患だけを診るのではなく,患者そのものを診ることが できる,患者の「困った」に寄り添い,同じ方向を向くことができる施術者を目指してい ます. コロナの流行とともにスタートした研修.施術所は休診,再開しても研修の売りの1 つ である診察見学はできず,講義も省略,施術見学も自主練習もできず,ブースの片付けに 明け暮れる日々(笑).制限の多いナイナイ尽くしな状況でした.でも人生思う通りには いかないことの方が多いので,この状況もよい学びになりました.このような状況下で研 修生を受け入れ,試行錯誤してくださった先生方には感謝しかありません. 残りの時間も有意義に過ごしていきたいと思います. p47 研修の感想 東西医学統合医療センター 研修生 吉川 博美 ➀自己紹介 吉川博美と申します。 東京医療専門学校を2019 年3 月に卒業し、2020 年東西医学統合医療センター研修生とし て入所しました。 私は、兵庫県出身で、21 年前に夫の仕事で茨城県に移住してきました。 せっかく茨城県に来たので、茨城でしか出来ないことをしようと、山の沢水を利用してイ ワナを育てて食べたり、烏骨鶏を育てて卵を食べたり、有機農業に近い状態で畑をした り、筑波山や宝篋山など近くに山があるので、月に1 回家族で登って遊んでいます。 ②抱負 研修1 年目は、毎日をこなしていくことに一生懸命でした。研修2 年目は、今まで経験し た症例の治療が再現出来て、近い結果が出せるように実力をつけること、応用できるこ と、技能を衰えさせないことです。新しい症例を経験することは少なくなりますので、機 会があるときは積極的に取り組みたいです。 ― 48 ― ③研修の感想 入所して最初に感じたことは、今まで医療系とは全く関係無い仕事をしてきましたので、 とても古風なところに驚いたと同時に身が引き締まりました。 研修では「何故この症状が出るのか」を導き出す癖がつくと思います。 1 年目は日替わりで指導者の指導を受けるので、1 症例に対していろいろな考え方がある ことに戸惑いもありましたが、今は、そこから自分がどう考えるのかが出来てくるのだと 思います。 知識も実力もまだまだですので、有意義な研修になるように努力します。 p48 研修の感想 東西医学統合医療センター 研修生 鈴木 雄斗 ➀自己紹介 東京メディカル・スポーツ専門学校を卒業し、医療センターの研修生として入所した鈴木 雄斗です。 ②抱負 様々な症例の患者さんの施術を経験し、将来鍼灸院を開業するための糧とするために頑 張りたいです。数多くの患者さんを施術することも必要ですが、一人ひとりの患者さんを 大切に丁寧に施術する事も身につけたいです。 ③研修の感想 最初に感じたことは多くの患者さんが来所されているなというところです。専門学校を 卒業した後すぐに研修生として入所したので先輩研修生の方々の担当する患者さんの多い ことに驚きました。こんなに多くの患者さんを施術できるのかという期待感がありまし た。 入所後の導入プログラムでは指導教員となる先生方の治療を見学させてもらったり、講 義のような形でそれぞれの専門を紹介していただいたりしてもらえたことで多様な施術を 経験できるというところにとても魅力を感じました。 また、施術所の環境を整備するのも研修のプログラムにあり、鍼灸院を開業することを 考えている自分にとっては学ぶ事がとても多く、参考にさせてもらいたいと思いました。 そして患者さんを担当させてもらうまでの3か月間を研修して思ったことは、やること が多く大変だということです。体力に自信がある方ではありませんし、ある程度想定はし ていましたが思ったよりきついです。それでも、ここで得られるものを考えたら研修を続 けたいと思いました。 残りの研修期間も頑張りたいと思います。 p49 研修の感想 東西医学統合医療センター 研修生 D. Nyamkhuu(Д. Нямхүү) 2020 年度研修性:ダムディンツェレン・ニャマフーです。モンゴル出身です。私は本年 の3 月に本学の大学院を卒業し、櫻庭先生にご指導いただく研修生として当医療センター に入って参りました。 研修年度が始まった年と同時に全世界を驚かせた新型コロナウイルスの感染が広がって おり、これからの研修だけでなく、色々なことが不安になります。 まず私は日本の医療現場での施術を体験するのは初めてなので、とにかくできるだけ沢 山の患者様に触れることができたら良いと思っています。研修を通じて学んだ知識と技術 を活かして、患者様に鍼や灸を実施しても、その人の病気自体を治すことはできません。 しかし、少しでも日常生活で患者様のできることを増やすことができれば嬉しいです。 私の抱負は、患者様への介入の際に、問診し、現病歴・既往歴などを聴取し、必要な検 査をおこない、病態を把握し、治療を方針を決定するなどの、一連の評価から治療の流れ を一人でできるようになることです。これらと同時にもう一つの目標は、指導教官に患者 様の病態を正確に報告できるようになることです。これもミーティングでの正確な患者報 告に繋がります。これらができるようになれば、日本のどんな現場でも周りの仲間と肩を 並べて、患者様、利用者様に施術者として自信をもって接して行けるようになると思って おります。これ以外の目標は、患者さんを受け入れる清潔な環境を整えることとより安全 な治療技術を身に付けることです。 これから新型コロナウイルス感染対策として、どう対応していくかも研修での学びにな ります。もちろん、マスク、手洗い、うがいなどはどんな状況でも行われてきた感染対策 だと思います。もう一点はコロナ感染状況を乗り越えて行くのにICT 環境を中心とした研 修も、私にとっての新しい学習になると思っております。 これらのことを学ぶのに先生方なしではできませんので、どうぞ最後までご指導のほど宜 しくお願い申し上げます。 p50 ◆ スタッフ一覧 ◆ p51 ●診療部門 鮎澤 聡 センター鍼灸 教授/センター長(脳神経外科) 横田千津子 保健管セ 教授(代謝内分泌内科) 平山 暁 センター 教授 (内科/腎臓内科/漢方内科) 白岩 伸子 鍼灸 准教授(脳神経内科) 木下 裕光 理学 教授(整形外科) 酒井 俊 理学 教授(循環器内科) 薄葉 葉子 理学 教授 三浦 美佐 理学 准教授 井口 正樹 理学 講師 中村 直子 理学 助教 松井 康 理学 助教 佐久間 亨 センター 講師 杉田 洋介 センター 助教 根本由紀子 センター 看護師 武笠 瑞枝 センター 看護師 黒木 裕美(非) センター 看護師 冨岡 幸恵 センター 薬剤師 木村 里美 センター 臨床検査技師 大野 貴子(非) センター 臨床検査技師 今泉 里美(非) センター 臨床検査技師 水木 知恵 センター 診療放射線技師 木村 健作 センター 非常勤研究員 野津将時郎 センター 契約職員 小西 美佳 センター 契約職員 森田 翼 センター 契約職員(研修) ●施術部門 殿山 希 鍼灸 教授 石崎 直人 鍼灸 教授 佐々木健 鍼灸 准教授 近藤 宏 鍼灸 講師 福島 正也 鍼灸 講師 笹岡 知子 鍼灸 助教 周防佐知江 鍼灸 特任研究員 櫻庭 陽 センター 准教授 成島 朋美 センター 助教 佐藤 美和 センター 補助員 吉川 一樹 センター 補助員 石山 すみれ センター 補助員 渡邊 健 センター 補助員 石松 菜摘 センター 研修生 レジデント 落合 恭平 センター 研修生 レジデント 菊池 至 センター 研修生 レジデント 児玉 大地 センター 研修生 レジデント 村山 圭祐 センター 研修生 レジデント 片岡由起子 センター 研修生 レジデント 鈴木 雄斗 センター 研修生 レジデント 吉川 博美 センター 研修生 レジデント 菊地 勇史 センター 研修生 トレーニング 遠藤 あかね センター 研修生 トレーニング 松枝 宏幸 センター 研修生 トレーニング Damdintseren Nyamkhuu センター 研修生 トレーニング 松田 えりか 鍼灸 大学院 星野 直志 鍼灸 大学院 Dzhorobekova Shirinoi 鍼灸 大学院 福井 祐子 鍼灸 大学院 野口栄太郎 鍼灸 名誉教授 非常勤 安田 英俊 鍼灸 非常勤 ●事務 高野 七重 係長 沖山富美子 一般職員 松原 亜矢 総合受付 新谷真奈美 総合受付 飯島 悦子 総合受付 亀山由美子 リハ受付 大橋 典子 鍼灸受付 ※2020 年4 月 ◆ 活動報告 ◆ p55 2020 年度 活動報告 2020.04.01 入所式 2020.04.07 年度始式 2020.07.03, 07.10, 07.31, 08.28, 09.11 聴覚学生健康診断 2020.08.31, 09.04 視覚学生健康診断 2020.08.23 研修生説明会 2020.09.06 オンライン勉強会 2020.10.18 前期研修生選考会 2020.11.12 国際鍼灸専門学校受託実習(online) 2021.02.01 医療安全講習会 ~02.15 オンデマンド受講 2021.02.05 東京医療専門学校受託実習 2021.02.10 第3 回COMPASS 開催 2021.02.10 福岡県立視覚支援学校遠隔授業1 回目 2021.02.18 福岡県立視覚支援学校遠隔授業2 回目 2021.03.03 研修生症例発表会 2021.03.07 後期研修生選考会 2021.03.17 第4 回COMPASS 開催 2021.03.24 研修生退所式 2021.03.30 教職員送別セレモニー(木下裕光,高野七重) ○緊急事態宣言 第一回:2020/4/7~5/25 第二回:2021/1/8~3/21 ・茨城県の適用期間 2020/4/16~5/14 ○東西医学統合医療センター 鍼灸・リハビリの閉鎖期間 2020.04.21~2020.05.20 p56 "COMPASS" 令和元年度から、"COMPASS"という医療センター全部門の合同勉強会を企画しており, 本年度は2 年目となりました。これは、”Conference on Medicine, Physiotherapy, and Acupuncture. Skills and Studies” の頭文字をとったものです。これには、我々自身が羅 針盤になり、新しい文化を皆で創って行こう、という意味が込められています。 "COMPASS" 第3 回 2021.2.10 櫻庭 陽 先生 「透析医療における鍼灸治療」 第4 回 2021.3.17 三浦 美佐 先生 「新たなリハビリテーションへの挑戦と展開 ~腎臓リハビリテーション~」 p57 第3 回 2021.2.10 櫻庭 陽 先生 「透析医療における鍼灸治療」 ※発表スライドの一部を抜粋して掲載 p59 第4 回 2021.3.17 三浦 美佐 先生 「新たなリハビリテーションへの挑戦と展開 ~腎臓リハビリテーション~」 ※発表スライドの一部を抜粋して掲載 p62 令和元 (2020) 年度 国立大学法人筑波技術大学 保健科学部附属 東西医学統合医療センター 発表会 資料集 令和2 年3 月3 日 Online 開催 p63 腰部脊椎間狭窄症と診断された患者に治療を行った1 症例 研修生1年目 片岡 由起子 【目的】腰部脊柱管狭窄症の治療として,神経根部および末梢神経への低周波通電は 広く行われている.今回,神経根型と馬尾型の合併した混在型と推定し治療を行っ たが,施術直後には効果が得られるものの,効果の持続がみられなかった症例につ いて,施術中に患者が得た感覚などから,鍼施術による作用機序を推測したので報 告する. 【症例】70歳代,男性,農業.主訴:両側腰痛,両側大腿後面のしびれ. 【現病歴】X-6年,ペインクリニックで注射.効果は1日のみであった.X-1年夏,農作 業を日常的に行うようになったところ,腰痛および下肢のしびれを発症した.X年2 月,伐採作業に20日間従事したところ,症状が悪化したが,時間とともに軽快した. X年7月〜8月,農作業を毎日3〜4時間を行ったところ,症状が軽快することがなくな った. 【所見】左側大殿筋,ハムストリングス,腸腰筋にわずかな筋力低下,右側ケンプ徴候 がみられ,体幹の後屈,左右回旋で痛み制限がみられた. VAS(発症時/初診時)は 腰痛73/57,しびれ39/43. 【治療・経過】L3およびL4神経根,坐骨神経への鍼通電療法(1Hz,15分),左梨状筋, 仙腸関節への置鍼15分を行った.VAS(腰痛/しびれ,施術前→施術後)は1診目 57→13/43→10,2診目56→14/46→9,3診目86→8/81→14と施術直後には効果が得ら れるものの,効果の持続はみられなかった. 【考察】施術後に効果が得られるものの重労働により症状が悪化することから,治療効 果が得られているのは脊柱管狭窄症による症状ではなく,筋性および血流低下による 症状に対してのみと考えられる.いずれの症状も発症にはTRP チャネルが関連して おり,鍼施術療によりチャネルの活性低下が起こり症状の改善がみられたと考えられ る. 【結語】腰部脊柱管狭窄症による症状と推定し治療を行ったが,4 診目前に症状が悪化 し,手術適応となった.症状の経過より神経根型の症状については自然寛解傾向にあ り,馬尾型の症状については,自然寛解はなく,手術に至ったものと考えられる. p65 腰部脊柱管狭窄症の下肢症状に末梢神経の低周波鍼通電療法を行った一症例 研修生1 年目 吉川 博美 【目的】腰部脊柱管狭窄症の下肢症状に対し、下肢のみに低周波鍼通電療法を実施した 症例を報告する。 【症例】68 歳、男性、身長173cm、体重89kg。主訴は、左大腿および下腿前面の痛み で腰部症状は無い。 【現病歴】X-5 年整形外科で腰部脊柱管狭窄症と診断され、リハビリで回復した。X 年 7 月左下肢が重だるくなり、一ヶ月後、作業中に左下肢の痛みと痺れが出現し鍼治療を 開始した。 【所見】MRI 所見はL4/5 の狭窄著明。神経学的所見は異常無し。各種検査は左ケンプ サイン、SLR、FNS、パトリックテスト、両側K ボンネットで陽性。その他、体幹動作 前・後・側屈時に左大腿前面と下腿前面痛出現、間歇性跛行や前屈開放は無し。梨状筋 の圧痛は無し。 【治療】腰部脊柱管狭窄症による下肢症状と推定。ステンレス鍼を左大腿神経(50mm18 号)と左総腓骨神経(40 ㎜ 18 号)に刺鍼して、低周波鍼通電療法(1Hz、15 分)を行った。 【評価】左大腿前面と下腿前面の症状について、治療前後に今まで感じた最大の痛みを 100 ㎜としてVisual Analog scale(VAS)で聴取した。 【経過】VAS は、両症状の治療前が46 ㎜、2 診目は左大腿前面0 ㎜、左下腿前面43 ㎜、3 診目以降は漸減し、5 診目に両症状が0 ㎜となり、6 診で治療を終了。 【考察】末梢神経の鍼通電は連続した神経の近位部栄養血管の血流増加をもたらすこと から、狭窄部の神経修復や賦活化につながったと考えた。神経障害性疼痛モデル動物の 末梢では皮膚血流低下が見られ、血流の改善が疼痛閾値を上昇するという報告がある。 これらの変化も本症例の作用機序の一つと考えている。 【結語】腰部脊柱管狭窄症由来の下肢症状が、末梢神経の低周波鍼通電療法によって改 善した。 【キーワード】低周波鍼通電療法、腰部脊柱管狭窄症、末梢神経 p67 Bell 麻痺患者における併用治療の1 症例 研修生2 年目 落合 恭平 【目的】Bell 麻痺患者に対して鍼治療とリハビリの併用治療を行い、顔面麻痺症状と FaCE Scale の改善が認められた1 症例を報告する。 【症例】40 代男性。主訴:右顔面麻痺。現病歴:X 年5 月21 日 起床時、右顔面部の 麻痺を発症し、近医にて右顔面神経麻痺と診断され、ステロイド治療を開始。X 年5 月 25 日変化がみられないため総合病院を受診。担当医師より当センターの鍼外来とリハ ビリを紹介される。X 年6 月4 日当センター脳神経内科を受診し、同科からの依頼によ って鍼治療とリハビリが開始となった。所見・評価:柳原法6点/40 点、Facial Clinimetric Evaluation Scale(FaCE Scale)40 点/75 点(初診時)。 【治療】鍼治療:週1 回の治療を基本とした。麻痺側をホットパックで温めたのち、表 情筋(前頭筋、眼輪筋、頬筋、咬筋、口輪筋)へ10 分間の置鍼を行った。また、5 ヶ月 目からリハビリに伴い出現した表情筋の不調部位に対して置鍼を追加した。 リハビリ:理学療法士の指導により、初診から4 ヶ月間は表情筋の伸張マッサージ及び セルフマッサージを行った。5 ヶ月目からフィードバック療法を開始した。 【経過】柳原法は5 診(1 ヶ月後)14 点、11 診(3 ヶ月後)32 点、15 診(6 ヶ月後) 40 点となった。FaCE Scale は5 診45 点、11 診61 点、15 診61 点となった。症状の 改善とQOL の向上が認められた。 【考察・結語】鍼治療の血流改善・筋緊張緩和と拘縮予防によるリハビリが奏功し、特 に顔面の運動の改善がQOL の向上に寄与したと考える。したがって、本症例は鍼治療 とリハビリの併用治療を行い、顔面麻痺症状とFaCE Scale の改善が認められた。 【キーワード】末梢性顔面神経麻痺、鍼灸、リハビリテーション p69 片側顔面痙攣に対する後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法の一症例 研修生2 年目 菊池 至 【緒言】薬物療法で改善が見られなかった片側顔面痙攣に対して、後頭部C2 末梢神経 野神経鍼通電療法を行い、痙攣および顔面部の違和感の改善がみられた症例を報告する。 【症例】70 代女性。主訴は左顔面痙攣。[現病歴]Ⅹ-7 年3 月に誘因なく症状が出現。 徐々に範囲が広がってきたため、同年6 月に総合病院神経内科受診し、片側顔面痙攣と 診断された。以降3 カ月に1 度通院し服薬にて様子を見るも改善が見られなかった。X- 2 年11 月T 大学病院にてMRI 施行も異常なし。X 年7 月友人の紹介にて当センター 鍼灸治療開始となった。[所見]身長155cm 62kg。左下瞼から口角にかけての痙攣。仰 臥位、後頭部への軽擦にて痙攣消失。表情筋動作にて痙攣増悪。顔面の感覚問題なし。 [評価]過去1週間の顔面部の違和感Numerical Rating Scale(NRS) とした。 【治療】後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法を週に1 回から月1 回の頻度で実施した。 【経過】初診がNRS10 に対して2 診目3 診目とNRS8、4 と介入後から下がり、10 診 目以降はNRS1 と軽減した。コロナウイルスにより、2 ヵ月ほど中断の後、痙攣が増悪 し再度来院した際はNRS5 となったが、再度NRS1 までの低下がみられた。 【考察】本症例では後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法が脊髄、三叉神経脊髄路核を介し て高位中枢に作用した結果、感覚領域の感作された状態を正常化させ、痙攣を抑制させ た可能性がある。 【結語】7 年間改善が見られなかった片側顔面痙攣に対して鍼治療を行い痙攣および顔 面部の違和感の改善がみられた 【キーワード】片側顔面痙攣、鍼、C2 末梢神経野鍼通電療法、微小血管減圧術、ボツ リヌス療法 p71 腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行(両側下肢脱力感)に対する鍼通電療法の1 症例 研修2 年目 児玉 大地 【緒言】腰部脊柱管狭窄症の診断を受け、馬尾型と推測された間欠性跛行(両側下肢脱 力感)に対し、鍼通電療法を行い、症状が早期に消失した症例を報告する。 【症例】60 代の女性。主訴は歩行で起こる間欠性跛行(両側下肢脱力感)と腰痛。 【現病歴】X 年5 月誘因なく歩行時に間欠性跛行(両側下肢脱力感)と腰痛発症。症状出 現時は体幹前屈姿勢や座位によって、症状が消失する。週2 で行っていた散歩が困難 となった。X 年8 月症状に変化はなく、以前も鍼を受けていたため鍼を希望して当セ ンター整形外科を受診し、鍼施術開始した。 【所見】感覚、反射、筋力、理学検査、膀胱直腸障害に問題はなかった。L4 及びL5棘 突起の圧痛があり、体幹前後屈、両側屈、右回旋で腰痛が再現され、両側L1~L5 高 位の多裂筋及び、両側腰方形筋に筋過緊張がみられた。LSCS サポート診断ツールで は、16 点中8 点であり腰部脊柱管狭窄症疑いに該当した。腰部X-P 所見では椎関腔 狭小化、腰椎症性変化、骨棘(+)が認められた。 【評価】連続歩行時間(自己申告)、腰痛NRS で評価した。 【治療】頻度は週1で行い、L2~5 の棘突起直側へ1Hz の鍼通電療法、志室へ置鍼を 60mm、20 号鍼を用いて10 分行った。 【経過】4 診目以降は60 分以上の歩行が可能になり、両下肢脱力感は消失し、体幹動 作時痛の消失と腰痛NRS の低下が見られた。 【考察】腰痛NRS 低下により腰椎の可動性が確保された結果歩行時馬尾の圧迫が軽減 されたことや、神経根周囲の血流改善によって症状が消失した可能性がある。 【結語】腰部脊柱管狭窄症の診断を受け馬尾型を推測した間欠性跛行(両側下肢脱力感) に対し鍼通電療法を行い症状が早期に消失した。 【キーワード】腰部脊柱管狭窄症、馬尾型、間欠性跛行、下肢脱力感、鍼通電療法 p73 ドライアイを併発した片頭痛に対する鍼治療の一症例 研修生2 年目 村山 圭祐 【目的】片頭痛の改善を目的とした鍼治療に、増悪因子と考えられたドライアイの鍼治 療を併用したことで、良好な経過が得られた症例を報告する。 【症例】60 歳女性、事務職。主訴は頭痛。 【現病歴】X-10 年頃、仕事でVDT 作業が増え頭痛を自覚し内科で片頭痛と診断。X-4 年、脳神経外科にて頭部MRI 検査を受け異常なし。X-1 年10 月から頭痛が増悪。同年 12 月に当センター脳神経内科を受診し、鍼治療を開始。 【現症】右肩上部痛や生あくびなどの予兆の後に、ズキズキとした痛みが右こめかみか ら右前頭部および右頭頂部に広がる。嘔吐を伴うこともある。[既往]X-10 年頃、眼科 にてドライアイと診断、治療継続中。 【評価】日本語版Headache Impact Test(HIT-6)、頭痛ダイアリー(頭痛頻度、服薬頻 度)、Japanese version of Ocular Surface Disease Index(J-OSDI) 【治療】前兆のない片頭痛と推定し、月2~3 回の治療頻度で、片頭痛に対し、後頚部 圧痛点への刺鍼と後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法を行った。44 週目からドライアイ に対し、眼窩周囲の施術を追加した。 【経過】初診時HIT-6 は65 点、4 週目のHIT-6/直近4 週間の頭痛頻度/服薬頻度(以下 同様)は60 点/14 回/13 回であったが、12 週目には48 点/7 回/1 回に改善した。その後、 休診期間等で治療間隔が約24 週間空いたことで、40 週目は60 点/13 回/14 回と増悪し た。鍼治療の再開で、44 週目は50 点/2 回/2 回と改善した。44 週目からドライアイへ の鍼治療を追加し、J-OSDI は44 週目47.8 から48 週目37.5 に改善した。その後、鍼 治療の頻度を月1 回に減らしたが、56 週目で48 点/5 回/5 回と片頭痛の改善は維持さ れた。 【考察】本症例はドライアイへの鍼治療を追加したことが、片頭痛の改善に影響したと 考える。両疾患の発症機序には三叉神経脊髄路核が関与しており、ドライアイの改善が 片頭痛発作の抑制に影響した可能性がある。 p75 便失禁に対して仙骨部低周波鍼通電療法を行った一症例 研修3 年目 石松 菜摘 【はじめに】肛門括約筋不全による便失禁を主訴とする患者に対して仙骨部低周波鍼通 電療法を行い、症状の変化が見られた一症例を報告する。 【症例】60 代、女性。主訴は便失禁。X-1 年1 月、便意を感じ排便するものの残便感が あり排便後、少し時間が経つと兎糞状の便失禁が出現した。同時期にX クリニックの 大腸肛門科を受診、肛門内圧検査を行った。肛門を絞める骨盤底筋運動の指導を受け るが続かず、鍼介入前では週2回程度の便失禁が起きていた。X 年9 月より主訴に対 しての鍼治療を開始した。 【治療及び評価】左右の第2~4後仙骨孔部(次髎・中髎・下髎穴)および会陽穴に斜 刺にて40mm 程度刺入し会陰部に得気を得た後、低周波鍼通電療法を50Hz 間欠波15 分で行い1か月目は週1 回、2 か月目では2 週に1 回、3 か月では3 週に1 回の間隔 で行った。評価は失禁ダイアリーで週の失禁頻度、Numerical Rating Scale(NRS) で便が常に漏れている状態を10 とし、なしを0として患者自身の程度、日本語翻訳 版Fecal Incontinence Quality of Life Scale(FIQL)で生活の質を聴取した。 【経過】鍼介入後の週の失禁頻度は週に1 回もしくは0 回の排便回数に対して10%前後 だった。便失禁の程度は初診時NRS3 から2 か月後には1 と減少し、FIQL でも改善が みられた。 【考察・結語】肛門括約筋不全で起こる便失禁の原因として加齢によるものがあり、内 外肛門括約筋の活動低下により便失禁が起こるとされている。今回は後仙骨孔部で鍼 通電を行うことで仙骨神経叢後枝を刺激し、内肛門括約筋の支配神経である骨盤内臓 神経や外肛門括約筋の支配神経である陰部神経の活動に影響を与えた可能性がある。 【キーワード】仙骨部低周波鍼通電療法,便失禁,仙骨神経刺激療法 p77 腰部脊柱管狭窄症患者の歩行時痛に対する有酸素運動の効果 研修生2 年目(PT) 森田 翼 【目的】腰部脊柱管狭窄症(Lumber spine stenosis:以下,LSS)患者における歩行時の腰 部および下肢の疼痛(以下,歩行時痛)を引き起こす要因の一つとして馬尾の血行障害が ある。継続的な有酸素運動は,末梢血管拡張能を高め全身循環動態を改善させる効果が ある。しかしながら,有酸素運動がLSS の歩行時痛に及ぼす影響は明らかではない。 本研究の目的は,全身循環動態の観点から有酸素運動とLSS 患者における歩行時痛と の関係を検討することであった。 【方法】インフォームド・コンセントが得られたLSS 患者3 名(A,71 歳女性;B,81 歳男性;C,78 歳女性)を対象に,外来リハビリテーションおよび在宅にて中等強度の 有酸素運動を合計して週4 回,計12 週間実施した。また,介入前後で腰痛に対する主 観的評価(Oswestry Disability Index:以下,ODI),柔軟性,筋持久力と筋力,連続歩行 距離および心肺運動負荷試験を評価した。 【結果】A は介入前後でODI の変化はなかった。B とC は介入後にODI が減少した (B,9 ポイント;C,24 ポイント)。歩行時痛は3 名とも減少した。体幹筋持久力・下 肢筋力は3 名とも増加した。心肺運動負荷試験において最高酸素摂取量(ml/min/kg)は 3 名とも増加した(A,8%;B,23%;C,16%)。 【考察】中等強度での有酸素運動の実施後は全被験者で歩行時痛の軽減が認められた。 観血的治療によりLSS の歩行時痛が軽減した症例を検討した研究では,治療前後の腰 部血管造影の比較により馬尾の血行改善を認めたとしている。本研究では心肺運動負荷 試験を用いた全身循環動態の評価ではあるが,有酸素運動がLSS の歩行時痛の軽減に 効果的である可能性が示唆された。 【結語】3 名のLSS 患者を対象に中等強度の有酸素運動を12 週間行った結果,3 名全 てで歩行時痛が軽減した。 【キーワード】腰部脊柱管狭窄症,有酸素運動,歩行時痛 p79 東西医学統合医療センター 令和2 年度 業績 ◇原著論文 1) 石松菜摘, 鮎澤聡, 櫻庭陽, 成島朋美. 外傷性骨盤骨折後の切迫性便失禁および仙骨から肛門周囲の痺れに対する仙骨部鍼通電療法の一症例. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(1):45-52, 2021. 2) Kawahara S, Donoyama N. Effectiveness of Anma Massage Therapy in Adolescentswith Autism Spectrum Disorder (Study Protocol). the Journal of Balneology,Climatology and Physical Medicine. 83(1):31, 2020. 3) Sakuma T, Kobayashi M, Kinoshita H, Matsui Y, Kobayashi Y, Watanabe M.Three-dimensional kinematics analysis of blind football kicking. Sports Biomechanics. 7:1-17, 2020. 4) 櫻庭陽, 石藏正男, 宇都宮信博, 宇都宮光慶, 浦川武之, 越智富夫, 越智洋, 黒川淳二,重松寛人, 髙石宏行, 高橋正佳, 陳晴儀, 永易賢一郎, 中山純一, 日浅早人, 一栁智顕,前田稔行, 森康臣. 全国障害者スポーツ大会における鍼灸マッサージによるコンディショニングルームの利用実態. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(1):32-39, 2021. 5) Shiraiwa N, Hoshino S, Saito G, Tamaoka A, Ohkoshi N. Clinical features ofhemichoreahemiballism: A stroke-related movement disorder. NeurologyInternational. 12(1) ,2020. doi:10.4081/ni.2020.8328 6) Shirinoi Dzhorobekova, 近藤宏. キルギスにおける鍼療法の教育と施術実態に関する調査.キルギスで視覚障害者が鍼療法を行える可能性について. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 45(2):13-19, 2020. 7) 菅原寿彦, 藤井亮輔, 野口栄太郎, 木下裕光, 佐久間亨, 杉田洋介, 他. 肩関節の痛み・可動域制限に対するマッサージ療法の有効性に関する研究. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 45(2):49-55, 2020. 8) Sugita Y, Ito K, Sakurai S, Sakai S, Kuno S. Epicardial adipose tissue is tightlyassociated with exercise intolerance in patients with type 2 diabetes mellitus with asymptomatic left ventricular structural and functional abnormalities. Journal of Diabetes and its Complications. 34(5):107552-107552, 2020. 9) 鈴木志穂, 吉澤亮, 島津偉一, 三浦美佐, 前波 輝彦. バスキュラーアクセストラブルに伴う入院関連機能障害HAD Hospitalization Associated Disability の現状.腎と透析.89(別冊 アクセス2020) :204-206, 2020. 10) Tahara N, Dobashi H, Fukuda K, Funauchi M, Hatano M, Ikeda S, Joho S, KiharaY, Kondo T, Matsushita M, Minamino T, Nakanishi N, Okano Y, Ozaki Y, Saji T,Sakai S, Tanabe N, Watanabe H, Yamada H, Yoshioka K, Hatta M, Sasayama S.Long-term treatment of pulmonary arterial hypertension with macitentan in Japanese patients. Current medical research and opinion. 36(6):921-928, 2020. p80 11) Sakuma T, Kobayashi M, Kinoshita H, Matsui Y, Kobayashi Y, Watanabe M. Threedimensional kinematics analysis of blind football kicking. Sports Biomechanics. 1-17, 2020. 12) Donoyama N. Differences in Autonomic Nervous Activity during 10 Minutes of Massage, Jet-Bath Bathing, or Normal-Tub Bathing (2). the Journal of Balneology,Climatology and Physical Medicine. 83(1):24, 2020. 13) 成島朋美, 櫻庭陽, 鮎澤聡. 視覚障がいを有する鍼灸師を対象とした臨床教育の現状と課題:筑波技術大学東西医学統合医療センターにおける施術を通じた教育の例. 弱視教育. 58(2):6-11, 2020. 14) 松田えりか, 近藤宏, 木下裕光, 砂山顕大, 石崎直人, 鮎澤聡. 慢性腰痛患者の心理社会的要因が鍼治療効果に及ぼす影響—直後効果の判定結果による探索的解析とロジスティック回帰分析—. 日本温泉気候物理医学会雑誌. 83(3):122-130, 2020. 15) Maruyama H, Sakai S, Dewachter L, Dewachter C, Rondelet B, Naeije R, Ieda M.Endothelin-1 induces lysyl oxidase expression in pulmonary artery smooth musclecells. Canadian journal of physiology and pharmacology. 98(9):629-636, 2020. 16) 三浦美佐, 吉澤亮, 大和田滋, 平山暁, 伊藤修, 上月正博, 前波輝彦. 二次出版 外来維持透析患者に対する透析中の運動が身体機能に与える影響の検討. 負荷量可変型エルゴメーターと電動式エルゴメーターによる比較. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 58(2):221-226, 2021. 17) Yonebayashi S, Tajiri K, Hara M, Saito H, Suzuki N, Sakai S, Kimura T, Sato A,Sekimoto A, Fujita S, Okamoto R, Schwartz RJ, Yoshida T, Imanaka-Yoshida K.Generation of transgenic mice that conditionally overexpress Tenascin-C. Frontiers in Immunology 12:620541-620541, 2021. 18) 渡邊健, 鮎澤聡. 坐骨神経鍼通電療法における鍼刺入路の画像解剖学的検討. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(1): 21-31, 2021. p81 ◇総説、その他の学術論文 1) 鮎澤聡, 石山すみれ, 松下明, 柴田靖. 一次性頭痛に対する後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法. 日本頭痛学会誌. 47(1):32-34, 2020. 2) 井口正樹. 第14 回アイオワ大学研修報告. 筑波技術大学テクノレポート. 27(2):30-34,2020. 3) 大杉豊, 鮎澤聡, 白澤麻弓. 医療分野における手話言語通訳者の育成カリキュラムの検討. 筑波技術大学テクノレポート. 28(1):122-123, 2020. 4) 白岩伸子, 周防佐知江. 視覚障害者のための「しゃべる触図」とタブレットを活用した学習ツールの開発. 筑波技術大学テクノレポート. 28(1):79-79, 2020. 5) 櫻庭陽, 鮎澤聡. 【冷えと冷え症-鑑別と治療-】冷えを伴ったレストレスレッグス症候群に対する鍼灸治療. 鍼灸OSAKA. 36(2):64-69, 2020. 6) 櫻庭陽, 成島朋美, 渡邊健, 鮎澤聡. リカレント教育のための鍼灸実技の遠隔教授の試行-晴眼初学者を対象としたオンライン動画による鍼実技の遠隔一例-. 筑波技術大学テクノレポート. 28(1):7-12, 2020. 7) 深澤洋滋, 石崎直人, 鶴浩幸, 斉藤宗則, 増山祥子, 若山育郎. 2020 WFAS 執行理事会報告. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(1):59-65, 2021. 8) 松井康. 視覚障害学生に対する効率的なオンライン動画を用いた授業方法の確立-Microsoft のアプリケーションを連携させて-. 筑波技術大学テクノレポート28(1):88-89, 2020. 9) 三浦美佐, 後藤啓光, 李潔, 中村直子, 原田卓, 上月正博. 視覚障害者と聴覚障害者の障害特性に対する生理運動学的研究. 筑波技術大学テクノレポート. 28(1):115-118, 2020. 10) 三浦美佐, 大和田滋, 井尻章悟, 上月正博. 視高齢慢性腎不全患者へのベルト式電気刺激による廃用予防の研究. 筑波技術大学テクノレポート. 28(1):83-85, 2020. ◇学会発表、学術講演 1) 石崎直人, Damdintseren Nyamkhuu, 櫻庭陽, 成島朋美, 藤井亮輔. 鍼灸手技療法の受療継続に関わる要因の分析. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online.2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):207, 2020.) 2) 石松菜摘, 近藤宏, 櫻庭陽, 渡邊健, 松田えりか, 堀田直哉, 砂山顕大, 落合恭平, 菊池至, 白石一博. 競技大会で視覚障がい者と晴眼者が協働したボランティア活動 活動でみえた課題と方策. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. 3) 石山すみれ, 柴田靖, 鮎澤聡, 松下明, 松村明, 石川栄一. 片頭痛に対する鍼治療の作用機序を機能的MRI で解析する. 第48 回日本頭痛学会総会. 東洋医学シンポジウム.2020.11.8. 茨城県つくば市. (日本頭痛学会誌. 47(1):32, 2020) 4) 石山すみれ, 柴田靖, 鮎澤聡, 松下明, 松村明. 片頭痛に対する後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法の作用機序:Advanced-MRI による検討. 第34 回日本ニューロモデュレーション学会. online. 2020.8.16-30.(第34 回日本ニューロモデュレーション学会プログラム・抄録集. 33, 2020) 5) 石山すみれ, 柴田靖, 鮎澤聡, 松下明, 松村明.Advanced-MRI を用いた片頭痛の病態の解明.第38 回筑波脳神経外科研究会学術集会.online. 2020.2.9. p82 6) 落合恭平, 近藤宏, 石松菜摘, 菊池至, 渡邊健, 松田えりか, 堀田直哉, 白石一博. 自転車ロードレース選手のコンディショニングと鍼灸に対する意識 施術ブースの利用者に対するアンケート調査. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):187-187, 2020) 7) 河原忍, 殿山希. 自閉症スペクトラム障害に対するあん摩療法の効果:身体への効果と保護者・施術者のコメントを中心に. 第26 回日本精神保健社会学会学術大会. online.2020.11.23. 8) 河原忍, 殿山希. 自閉症スペクトラム障害に対するあん摩療法の効果:ランダム化クロスオーバー試験. 第85 回日本温泉気候物理医学会学術集会. online. 2021.1.29.(第85 回日本温泉機構物理医学会総会・学術集会抄録・プログラム集. 91, 2021) 9) 菊池至, 近藤宏, 白岩伸子. Ramsay Hunt 症候群に対する鍼治療の一症例. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):190-190, 2020.) 10) 近藤宏, 白石一博, 石松菜摘. 島嶼地域である神津島村の鍼灸受療に関する実態と意識調査. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3): 206-206, 2020) 11) 近藤宏.特例子会社におけるヘルスキーパーの雇用に関する調査. 関東甲信越地区視覚障害教育研究会会報. 53:50-57, 2020. 12) 近藤宏, 栗原勝美, 池田隆博, 緒方梨絵, 小沢薫, 小溝健靖, 佐藤英彦, 田山悦男, 永井伸, 成島朋美, 舛田朋大, 右田創, 三原健朗, 添野浩司, 森岡健一. 臨床実習における鍼灸マッサージ施術の評価方法に関する研究 視覚障害実習生が肩こり患者に用いる有用な評価方法. 理療教育研究. online. 43(1):9-18, 2021. 13) 酒井俊, 丸山秀和, 家田真樹. Peptidyl prolyl isomerase (Pin1) contributes to the development of pulmonary hypertension partly via proliferation of pulmonary vascular smooth muscle cells. 第84 回日本循環器学会学術集会. 2020.7.31. 14) Sakai S, Maruyama H, Ieda M. Contribution of peptidyl prolyl isomerase (Pin1) to development of pulmonary hypertension via pulmonary vascular endothelial cell dysfunction. ESC Congress. 2020.8.29. 15) 坂本一志, 櫻庭陽, 大髙達雄. いきいき茨城ゆめ国体における鍼マッサージボランティア活動. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. 16) 櫻庭陽. 成長期のスポーツ傷害に対する鍼灸治療. 2020 年度公益社団法人全日本鍼灸学会指定講座 東北支部B 講座. online. 2021.1.24. 福島県郡山市. (招待講演) 17) 櫻庭陽, 近藤宏, 池宗佐知子, 泉重樹, 金子泰久, 玉地正則, 鳥海崇, 藤本英樹, 吉田成仁, 吉田行宏, 古屋英治. スポーツにおける鍼灸あん摩マッサージ指圧の有害事象 マラソンランナー対象のアンケート調査. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online.2020.9.11-13. 京都府京都市. (全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):185-185, 2020) p83 18) ジョロベコヴァ・シリン, 近藤宏. キルギス共和国における鍼療法の実態に関する研究 鍼療法を行っている医師に対する面接調査. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):205-205, 2020) 19) 白岩伸子, 寺田真, 玉岡晃, 大越教夫. Segmental zoster paresis 3症例の臨床的検討.第61 回日本神経学会学術大会. 2020.9.2. 20) Shirinoi Dzhorobekova, 近藤宏, 松田えりか, 石松菜摘, 石崎直人. キルギス共和国の視覚障害を有するマッサージ師に対する調査. 第46 回日本東洋医学系物理療法学会.online. (日本東洋医学系物理療法学会誌46(1):28, 2021) 21) 杉田洋介, 酒井俊, 久野譜也.心外膜下脂肪の蓄積は2 型糖尿病患者の運動中心機能と密接に関連する. 第26 回日本心臓リハビリテーション学会学術集会. online. 2020.7.18. 22) 杉田洋介, 酒井俊. Epicardial adipose tissue is associated with exercise intolerance inpatients with diabetes with asymptomatic left ventricular structural and functionalabnormalities. 第84 回日本循環器学会学術集会. 2020.7.31. 23) Sugita Y, Sakai S. Epicardial adipose tissue is associated with exercise intolerance inpatients with diabetes with asymptomatic left ventricular structural and functionalabnormalities. 第84 回日本循環器学会学術集会. online. 2020.7.30. 24) 砂山顕大, 近藤宏, 松田えりか, 木下裕光. 鍼灸腰痛患者に対するSTarT Back Tool の有用性 鍼灸受療1 ヵ月後の難治化リスクの変化. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. (全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):183-183,2020.) 25) 曽我部暢彦, 黒川淳二, 玉井ちはる, 一柳智顕, 宇都宮信博, 日浅早人, 櫻庭陽. 地域資源を目指した開業鍼灸師による介護予防運動教室の実践2―行政補助金制度を利用した活動報告. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. 26) 殿山希(招請講演). 女性の一生と鍼・灸・手技療法 (あん摩・マッサージ). 第140 回関東連合産科婦人科学会総会・学術集会. online. 2020.11.12-18. (学会参加単位・日本専門医機構単位付与対象講演). (関東連合産科婦人科学会誌. 57(3):316-317, 2020) 27) 中沢良平, 櫻庭陽, 太田友理香. 鍼灸治療と運動指導併用による機能改善意識調査. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. 28) 成島朋美, 鮎澤聡.服薬による疼痛コントロールが困難となった特発性三叉神経痛に対しC2 末梢神経野鍼通電療法が奏功した1 症例. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):162, 2020) 29) 成島朋美, 櫻庭陽, 鮎澤聡. 視覚障がいを有する鍼灸師を対象とした臨床教育の現状と課題:筑波技術大学東西医学統合医療センターにおける施術を通じた教育の例.第61回弱視教育研究全国大会岡山大会.2020.1.16. (第61 回弱視教育研究全国大会岡山大会抄録集. 34-35, 2020) p84 30) 成島朋美, 鮎澤聡. 特発性三叉神経痛に対しC2 末梢神経野鍼通電療法が奏功した1 症例. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市.(全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):162, 2020) 31) 成島朋美( 招待講演). Effects of the plantar acupressure-like stimulation on circulation and gastric pressure. 第98 回日本生理学会大会. 2021.3.28-30. 愛知県名古屋市. 32) 藤本英樹, 鳥海崇, 金子泰久, 泉重樹, 櫻庭陽, 吉田行宏, 池宗佐知子, 玉地正則, 吉田成仁, 近藤宏, 古屋英治. サッカーのトレーナーを対象とした鍼灸治療の有害事象. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会. online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. (全日本鍼灸学会雑誌. 70(3):186-186, 2020) 33) Iguchi M, Nozu S, Sakuma T, Shields, R. K. Countermovement jump of blind andsighted individuals. 2020 ISEK Virtual Congress 2020.7.13. 34) 松田えりか, 近藤宏, 砂山顕大, 木下裕光, 鮎澤聡.鍼灸受療患者における痛みの破局的思考の関連因子に関する研究-慢性腰痛患者を対象として-. 第69 回全日本鍼灸学会学術大会京都大会.online. 2020.9.11-13. 京都府京都市. (全日本鍼灸学会雑誌.70(3):183-183, 2020) 35) 松田えりか, 近藤宏, 鮎澤聡. 慢性腰痛患者における鍼治療の効果について~身体・心理双方の変化と直後効果との関連~. 第46 回日本東洋医学系物理療法学会. online.2021.3.7.(日本東洋医学系物理療法学会誌. 46(1):33, 2021.) 36) 丸山秀和, 酒井俊, 家田真樹. Active Selexipag metabolite MRE-269 increases endothelin receptors and mediates proliferation of pulmonary artery smooth muscle cells. 第84 回日本循環器学会学術集会. 2020.7.31. 37) 三浦美佐(招待講演), 平山陽, 上月正博. 虚弱透析患者に対してのカルニチン投与と下肢電気刺激療法の併用効果についての検討. 透析web セミナー. 2020.7.7. 三井ガーデンホテル千葉. 38) Yonebayashi S, Tajiri K, Kimura T, Sakai S, Sato A, Hiroe M, Yoshida T, Imanaka-Yoshida K. Tenascin-C Overexpression Exacerbates Myocardial Infarction. 第85 回日本循環器学会学術集会. 2021.3.26. p85 ◇公開講座、イベント等 1) 鮎澤聡. 専医療分野における手話言語通訳者の育成カリキュラムの検討. 第2 回研究協議会. online. 2020.3.2. 2) 鮎澤聡. 専医療分野における手話言語通訳者の育成カリキュラムの検討. 第3 回研究協議会. online. 2020.3.22. 3) 鮎澤聡. 医師の立場から鍼灸に求めること. 令和2 年度. 学校法人鬼木学園. 国際鍼灸専門学校外部施設実習. online. 2020.11.11. 4) 石山すみれ,鮎澤聡. 頭痛・三叉神経痛に対する後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法.日本鍼灸新報. 2021.1. 5) 近藤宏. 令和2 年度 全国理療教育研究協議大会シンポジウム(理教連 第1 回研修会・中央研修会)司会, 企画. 2020.12.12. 6) 櫻庭陽. 臨床スポーツ鍼灸研究会. 世話人(企画立案・運営等). 2006.3~現在. 7) 櫻庭陽. つくば鍼灸研究会代表. 2011.4~現在. 8) 櫻庭陽. 一般社団法人茨城県鍼灸師会 スーパーバイザー. 2017.7.~現在. 9) 櫻庭陽. 初学者にも理解しやすい腰痛の鍼灸治療. 令和2 年度 国立大学法人筑波技術大学勉強会. 2020.9.6. 10) 櫻庭陽. 東西医学統合医療センターの紹介. 鍼灸治療. 令和2 年度学校法人鬼木学園国際鍼灸専門学校外部施設実習. 2020.11.13. 11) 櫻庭陽. 筑波技術大学東西医学統合医療センター施術部門における鍼治療-施術のストラデジーと治療. 東京医療専門学校特別授業. 2021.2.5. 12) 櫻庭陽. 坐骨神経鍼通電療法-IF 点による安全かつ正確な方法. 福岡県立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業. 2021.2.10. 13) 櫻庭陽. 透析医療における鍼灸治療. COMPASS(筑波技術大学東西医学統合医療センターセミナー)講師. 2021.2.10. 茨城県つくば市. 14) 櫻庭陽. 後脛骨筋への鍼通電療法. 福岡県立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業.2021.2.18. 15) 櫻庭陽. SEIRIN 鍼灸院検索サイト. 鍼灸コラム(鍼 ひびき メカニズム, 毫鍼). 2021.3.1. 16) 成島朋美. 筑波技術大学東西医学統合医療センター施術部門初学者向けオンライン勉強会. 講師. 2020.9.6. 17) 成島朋美. 東西医学統合医療センター紹介・研修制度紹介. 講師. 令和2 年度 学校法人鬼木学園 国際鍼灸専門学校外部施設実習 . 2020.11.12. 18) 成島朋美. 筑波技術大学東西医学統合医療センター施術部門における多職種連携-統合医療とは-. 講師. 東京医療専門学校特別授業. 2021.2.5. 19) 成島朋美.坐骨神経鍼通電療法-IF 点による安全かつ正確な方法. 運営参加・支援 福岡県立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業. 2021.2.10. 20) 成島朋美. 後脛骨筋への鍼通電療法. 運営参加・支援 福岡県立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業. 2021.2.18. p86 21) 三浦美佐. 新たなリハビリテーションへの挑戦と展開~腎臓リハビリテーション~.COMPASS(筑波技術大学東西医学統合医療センターセミナー)講師. 2021.3.17. 茨城県つくば市. ◇外部獲得資金等 1) 鮎澤聡. 科学研究費助成事業 (基盤研究(C) 一般). 視覚障害教育における情報障害支援のための学習ツールの開発とタブレット端末の活用.代表. 2018.4-2022.3. 2) 井口正樹.科学研究費助成事業 (基盤研究(C) 一般). 視覚障害者の運動機能の特徴とバイオフィードバックを用いたトレーニングに関する研究.代表. 2018.4-2021.3. 3) 近藤宏, 池宗佐知子, 泉重樹, 金子泰久, 櫻庭陽, 玉地正則, 藤本英樹, 松下美穂, 山口由美子, 吉田成仁, 吉田行宏. 財団法人東洋療法研修試験財団. 令和2 年度鍼灸等研究費. スポーツ分野における鍼灸マッサージに関するシステマティック・レビュー. 共同研究者. 2020.4~2021.3. 4) 佐久間亨. 科学研究費助成事業(若手研究). 視覚障害教育における情報補償機能を備えた動作分析シミュレータの開発. 代表. 2019.4-2022.3. 5) 櫻庭陽. セイリン株式会社 奨学給付金. 医療や健康に貢献できる鍼灸および関連デバイスに関する研究. 代表. 2018.11~現在. 6) 白岩伸子, 周防佐知江. 科学研究費助成事業 (基盤研究(C) 一般). 視覚障害者のための触図とタブレットを融合した携帯できる新規学習ツールの開発. 2020.4-2024.3. 7) 三浦美佐. 科学研究費助成事業. (基盤研究(C)). 血管内皮機能改善を目指した至適運動の解明. 代表. 2021.4-2026.3. p87 来院患者数 東西医学統合医療センター開設から年度毎の総患者数 H17 総患者数13117 施術部門患者数8405 H18 総患者数13540 施術部門患者数8844 H19 総患者数13052 施術部門患者数8437 H20 総患者数12929 施術部門患者数8079 H21 総患者数13790 施術部門患者数8778 H22 総患者数14690 施術部門患者数9205 H23 総患者数14823 施術部門患者数8595 リハビリ患者数2004 H24 総患者数16494 施術部門患者数8314 リハビリ患者数3165 H25 総患者数17318 施術部門患者数8414 リハビリ患者数3459 H26 総患者数17666 施術部門患者数8800 リハビリ患者数2738 H27 総患者数18985 施術部門患者数9321 リハビリ患者数3667 H28 総患者数19621 施術部門患者数9210 リハビリ患者数4298 H29 総患者数20106 施術部門患者数9331 リハビリ患者数4312 H30 総患者数21040 施術部門患者数9404 リハビリ患者数4914 R1 総患者数22559 施術部門患者数9862 リハビリ患者数5641 R2 総患者数16697 施術部門患者数6813 リハビリ患者数3593 東西医学統合医療センターにおける令和2 年度の総患者数 4月 総患者数 913 施術部門患者数301 リハビリ患者数175 5月 総患者数 491 施術部門患者数82 リハビリ患者数44 6月 総患者数1356 施術部門患者数565 リハビリ患者数320 7月 総患者数1555 施術部門患者数661 リハビリ患者数342 8月 総患者数1371 施術部門患者数630 リハビリ患者数296 9月 総患者数1566 施術部門患者数708 リハビリ患者数342 10月 総患者数1821 施術部門患者数713 リハビリ患者数383 11月 総患者数1791 施術部門患者数627 リハビリ患者数333 12月 総患者数1500 施術部門患者数639 リハビリ患者数324 1月 総患者数1331 施術部門患者数608 リハビリ患者数322 2月 総患者数1302 施術部門患者数561 リハビリ患者数320 3月 総患者数1700 施術部門患者数718 リハビリ患者数392 p88 編集後記 木村 健作 年報第2 号をお読みいただきありがとうございます. 令和元年度の東西統合医療センターの活動内容を掲載した年報創刊号から早1 年が経過し,本年度も無事に年報第2 号を発刊することができました. 現センター長の鮎澤先生のご発案で始まった本年報の企画も2020 年度はコロナ禍に直面した年であり,医療センターの活動も様々な点で制限を受けたことが反映されています. 不要不急の外出を控えるよう全国的な宣言がなされ,体調が悪くても当院を含む病院への「受診控え」を決断する患者様が多かった印象でした.2021 年12 月時点では, 当センターのある茨城県内の感染者はかなり少なくなってきましたが,まだまだ油断できない状況です.そんな状況にもかかわらず,寄稿文への依頼には, どの先生方も親切に引き受けてくださり,当年報第2 号も各先生方や研修生OB・OG のご協力の賜物となっております.当医療センターがコロナ禍に負けず, 今後とも発展していくよう願いながら,来年度には年報第3 号が発刊できるように,我々職員も一層精進していきたいと思います.読者の皆様方におかれましては, 引き続きご声援よろしくお願いいたします. 筑波技術大学保健科学部附属 東西医学統合医療センター年報 第2 号 〒305-8521 茨城県つくば市春日4-12-7 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター TEL:029-858-9590 (8:30~17:00) URL:http://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/cl/ 2021 年12 月24 日発行 編集委員長 鮎澤 聡 編集委員 木村 健作,成島 朋美,吉川 一樹,櫻庭 陽 印刷 (株)イセブ