筑波技術大学保健科学部附属 東西医学統合医療センター 年報 第3号 令和3年度 2021 東西医学統合医療センター 年報 2021 p1 目次 巻頭言 東西医学統合医療センター年報3 号発刊にあたって 鮎澤 聡 ………… 3 新型コロナ感染症とともに東西医学統合医療センターを考える 加藤 一夫 ………… 5 寄稿文 医療センターでの経験を振り返って 木下 裕光 ………… 9 重度の視覚障害を有する理学療法士に何ができるか? 井口 正樹 ………… 11 理療教育と東西医学統合医療センターの意義 福島 正也 ………… 13 東西医学統合医療センターの取り組み 新たなリカレント教育の取り組み 櫻庭 陽・成島 朋美・吉川 一樹 ………… 17 リハビリテーション部門の取り組み 杉田 洋介・木村 健作 ………… 18 私の看護観 武笠 瑞枝 ………… 20 COVID-19 による国内・茨城の感染者の推移 ………… 21 COVID-19 による国内の重傷者・入院中患者の推移 ………… 22 東西医学統合医療センターにおける教育 "筑波技術大学の鍼灸学"の発展を目指して 殿山 希 ………… 25 医療センターと理学療法学専攻との関わり 酒井 俊 ………… 27 卒後臨床教育(研修制度)修了者の寄稿 実りある研修時代 松本 毅 ………… 31 base 佐々木奈央 ………… 32 鍼灸師としての基盤となる2 年間 松坂 英紀 ………… 33 研修生や学生 在籍者の声 浦本 諭 ………… 37 小副川隆章 ………… 37 上柿すみれ ………… 38 水香 一芳 ………… 38 深川 柱溶 ………… 39 p2 三浦 桜爾 ………… 39 望月 憲之 ………… 40 鈴木 諄 ………… 41 中村 智史 ………… 41 Thein Kyaw Linn ………… 42 若菜 潤 ………… 42 工藤 綾乃 ………… 43 Bolot kyzy Shirin ………… 43 宇佐見耕陽 ………… 44 令和3 年度スタッフ一覧 ………… 47 活動報告 令和3 年度活動報告 ………… 51 COMPASS ………… 53 足底板を用いたリハビリテーションの実際 木村 健作 ………… 54 私の考える統合医療〜共感を通した時空の生成〜 鮎澤 聡 ………… 56 東西医学統合医療センター発表会 資料集 ………… 58 東西医学統合医療センター令和元年度業績 ………… 79 来院患者数 ………… 89 編集後記 木村 健作 ………… 90 p3 巻頭言 東西医学統合医療センター年報3 号発刊にあたって 東西医学統合医療センター センター長 鮎澤 聡 残念ながら昨年来のコロナ禍は終息することなく、2021 年度もまたコロナ禍でのセン ター運営となりました。 コロナ対応では、今年度は大きく二つのことが挙げられるかと思います。 一つは、センターでの学生の健康診断の実施です。例年は業者に委託している春の学生 の健康診断をセンターで行えないかと打診をうけ、やむを得ない事態として医療センター で引き受けることにしました。これが年度初めの大きなイベントとなりました。何ぶん初 めてのことで、しかもコロナ禍での実施です。大勢の学生を感染のリスクを少なくどのよ うに誘導するか、頭を悩ませました。またマンパワーの不足をどのようにカバーするかも 問題でしたが、鍼灸の研修生がこれを快く引き受けてくれて実施できたことには、本当に 感謝しています。 ところで、この健康診断に先駆けて、どうせやるならと、天久保の大杉先生、白澤先生 に協力していただき、医療手話のミニ講習会をオンラインで開催しました。「大丈夫です か」「痛みますか」「終わりです」「ありがとうございます」などのちょっとしたやりとり が中心ですが、これが双方の信頼や円滑な実施につながったように思えました。当然なが らセンターには視覚障害への理解もあり、業者が行うよりもはるかに障害保障が充実した 健康診断とすることができました。 二つ目は、コロナワクチンの接種です。4 月の後半から、接種が開始されました。当初 はセンター勤務の医療従事者の接種から始まり、その後センターと関わりのある保健科学 部の教員や学生にも拡大して行われました。思い返せばこの時期は、医師会との調整、学 内スケジュールの設定など、先の健康診断の準備とも重なり、多忙を極める毎日でした。 コロナワクチンはもちろんのこと、学内での集団での予防接種ということ自体が初めての 経験です。どのようにしたら良いか、試行錯誤しながらの実施となりましたが、看護師の 武笠さんを中心に準備を進め、大きなトラブル無く終えることができました。また、発熱 外来を行っていない当センターとしては、地域貢献の意味もあり、一般市民のワクチン接 種を出来る限り行うこととしました。そちらは5 月末から接種が開始され、当センター でも相当数の枠を設けて接種を担当いたしました。その後、秋にはインフルエンザの予防 接種、一息つく間もなく1 月から3 回目の接種開始と、この1 年間、注射ばかりしてい たように感じます。 これらのコロナ対応はもちろん大変なことではありますが、別の見方をすれば、すべて が新しい状況に対する「チャレンジ」です。その意味では、一つ一つが今後のセンターの 力になっていくのだと思います。実際、昨年に苦労しながら培ってきた財産を生かし、多 くのことが発信されました。 オンラインの活用については、すでに日常となりましたが、今年も、研修生の面接、日 常のカンファレンス、公開講座、専門学校の受託実習、盲学校との遠隔授業、つく鍼会、 そしてCOMPASS など、フルに活用されました。 また、今年度で特筆すべきは、文科省の「就職・転職支援のための大学リカレント教育 推進事業」に採択され、委託事業として実施したことです。本学は「聴覚・視覚障害者の ための共生社会実現に向けた超職業実践力育成事業」を計画し、医療センターでは視覚障 害者を対象として「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧資格を活用する専門スキル向上 プログラム」を実施しました。西洋と東洋医学を統合したセンターの機能を活用し、他で は機会が少ない医師やリハビリの見学を行い、また休日を利用して実技実習を行いました。 これは、視覚障害を有する資格者のリカレント教育として、一定の成果を上げました。 このような状況において、はからずも、当センターの地域での位置づけが浮かび上がっ てきたという印象があります。つまり、ウイルスという見えない相手に対峙する中で、先 端医療に期待がかかる一方、「健康」ということが見直されているように感じます。私達 がこの分野を発信していくことが、ひいては学生達の卒後のキャリアにつながっていくこ とを自覚して進むことが必要です。また、このコロナ禍をひとつの契機としてセンターの 有り様や設備を見直す必要もあるでしょう。COMPASS などを通して、ビジョンをまと めていきたいと思っていますが、その一つとしてホームページを刷新しましたので、是非 ご覧下さい。 その他、コロナ禍に加えて医師の交代や病欠、院内薬局の閉鎖、看護士の交代など、 様々な事柄のあった1年でした。学部教育でも多忙な中、代診などにご協力いただいた医 師には感謝申し上げます。また、コロナ禍での鍼灸の学生実習の実施、また院外実習が出 来なくなった理学の学生の実習の受諾などの教育面も含め、大学におけるセンターの役割 は果たせたのではないかと思っています。 今は、コロナ禍で職員の交流がやや希薄になってしまうのが気がかりです。波の谷間を うまくサーフィンしていくことも必要に思っているところです。 p5 巻頭言 新型コロナ感染症とともに東西医学統合医療センターを考える 筑波技術大学 保健科学部長 加藤 一夫 平素より、東西医学統合医療センターの運営にご協力を賜りして、心より御礼申し上げ ます。この度、診療・施術のご報告として年報第3 号を発刊する運びとなりました。こ こに皆様にお届けいたします。 2020 年ごろから世界各国で深刻化した新型コロナウイルス感染症の拡大は2 年以上経 った現在も東西医学統合医療センターの運営にも大きな影響を与えています。鍼灸あんま マッサージの施術、リハビリテーションの治療にあたっては患者様との接触を伴う場面が 多くあることから、慎重には慎重を期して医療センターの運営を行っておりますところで す。ワクチンの接種により減少するものと思われていた感染者数も様々な変異株の出現に より、減少、増加の繰り返しが見られる事態となりました。しかしながら、医療センター は、新型コロナ感染症の始まりの頃から、現在までのおよそ2 年間の間に様々な感染防 止の方法、また、最近では通常の社会生活を行いながらの感染対策を学びました。これか らは、今までの経験を元に、新型コロナ感染症とともに日常生活を行っていかなくてはな らない段階へと入ってきました。幸い、医療センターの診療体制は現在通常通り行われて いる状況です。当初は、患者数が減少し、心配をいたしておりましたが、現在は、徐々に、 コロナ禍以前の水準に回復しつつある状況です。これも皆様のご支援の賜物と心より感謝 申し上げます。 本学保健科学部では視覚に障害がある学生が、鍼灸・あん摩マッサージ指圧と理学療法 における臨床能力の向上を目指すために勉学に励んでおります。近隣の皆様には鍼灸学に 所属する学生のボランティア実習のご協力をいただいているところです。医療センターの スタッフ共々ここに深く御礼申し上げます。また、医療センターは本学大学院修士課程の 学生の研究活動にも深く関わっております。地域の患者様の多大なご協力のもと、本学の 学生たちは臨床能力の腕を磨くことができています。さらに、他の教育機関からの研修生 も医療技術を学ぶために日々、研鑽を積んでいるところです。研修生には視覚に障害のあ る方に加えて、鍼灸・あん摩マッサージ指圧のプロフェッショナルな技術を学びたいとい う健常者の方も所属しています。広く、全国の鍼灸師、マッサージ師のリカレント教育 (学び直しの場)を提供する教育機関の役割も担っています。これも、医療センターを利 用してくださる患者様方のご支援とご協力の賜物です。重ねまして御礼申し上げます。 新型コロナ感染症とともに社会生活を送っていく段階に入ってきました。この流れはこ れからも当面は続いて行くものと思われます。我々が望まない事ではありますが、新型コ ロナ感染症が終息しない状況下で、診療、治療は淡々と、また確実に行っていかなければ ならないのが現状です。しかしながら、ここで立ち止まってはいられません。医療センタ ーは地域医療推進の理念に基づいてこれからも質の高い医療サービスを提供し続けて行く 所存です。皆様方には、東洋医学的な視点と西洋医学的な治療を有機的に結びつけた、日 本でただ1 つの医療センターお気軽にお越しいただきたいと思います。今までなかなか 病気の改善が見られなかった方々が、西洋医学的治療に加えて東洋医学的治療を受けるこ とにより、少しでも病状の改善に貢献できればと考えています。 今後とも地域の患者様はもとより、全国の患者様の、「疾病の克服と健康の創生を通じ ての社会貢献」を目指して診療・施術を行って参ります。これからも筑波技術大学保健科 学部附属東西医学統合医療センターをどうぞ宜しくお願い申し上げます。 p8 寄稿文 p9 医療センターでの思い出 きのした労働衛生コンサルタント事務所 所長 木下 裕光 この度は、筑波技術短期大学附属診療所および施術所、筑波技術大学保健科学部附属東 西医学統合医療センター(以下、医療センター)開設30 周年、おめでとうございます。 筑波技術短期大学の附属診療所時代から約17 年間、医療センターに在籍し、関係者のご 協力のおかげで貴重な経験をさせて頂き、心より感謝申し上げます。医療センター年報第 三号の発刊に寄せて、その間に経験した1 つの事例を振り返りたいと思います。 私が筑波技術短期大学に着任したのは、4 年制の筑波技術大学に移行する前年の2004 年で、理学療法学科に配属され、附属診療所では整形外科を担当しました。入院・手術の 設備がない上に、その当時はリハビリテーション室もなかったので、治療方針は投薬、自 宅での運動療法指導、鍼灸施術所への依頼等で、整形外科診療としては極めて限定されて いました。そのような状況で受診者も少なく、受診者が0 名という日も何回かありまし た。前職の民間病院での多忙な整形外科外来では、積み上がったカルテ(当時は電子カル テではなかった)を横目で見ながら「3 時間待ちの3 分診察」という状況でしたが、医療 センターにおける余裕のある診察時間のおかげで、受診者とのラポールを構築する上で必 要な傾聴、共感的な問診、丁寧な理学的検査といった基本的な診察を実践することが出来 ました。 学生の臨床実習に関して、鍼灸学科では学内で行う体制が整備されていましたが、理学 療法学科は学外の医療機関に全て依頼するという状況でした。2005 年、4 年制大学への 移行に伴い、筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センターという長い名称に変 更となりましたが、診療や学生実習の内容に大きな変化はありませんでした。そのような 状況の中、理学療法学科で優秀な成績を修めていた学生が、学外臨床実習において能力を 発揮出来ず、成績を不可と判定されて留年し、予定していた進級、卒業が出来ない事態が 続けて起こり、学生、教員共々、大いに苦悩しました。理学療法学専攻科の教員会議で検 討した結果、実習先での視覚障害への配慮(今から考えれば、合理的配慮に当たる)が不 十分だったのではないかと推察されましたが、学内に実習施設がなく、学外実習先の実習 指導者の成績判定が最優先されるという状況でしたので留年を防ぐことが出来ませんでし た。学内に実習施設があれば、学外の実習施設で「不可」の判定をされても、学内の教員 による再評価や補習を行い、合理的配慮のもとに正当な評価が可能となると考え、2011 年、学内にリハビリテーション室を開設することになりました。 当初のリハビリテーション室は、医療センター(現在の東棟)2 階にある学生実習室 (手技・物理療法室)を簡易的に改装し、理学療法学科の教員1 名が医療センターに異 動してリハビリテーション診療を行っていました。リハビリテーション室開設に伴い、学 生の臨床実習を学内と学外で行い、正当な成績評価を行うことが可能となりました。また、 整形外科の診療も理学療法、鍼灸施術、あん摩マッサージ指圧等の選択肢が増え、担当す る理学療法士・診療日数・受診者数も年々増加しました。それに伴い、リハビリテーショ ン室が手狭となり、視覚障害学生の安全性確保や診療時のプライバシー保護等の観点から リハビリテーション室の拡張、設備の充実が必要となったため、2015 年に新棟(西棟) を増設し、更に学生教育や診療体制の整備が進みました。このように視覚障害学生教育に おける合理的配慮について苦悩し、それを見直した結果、学生教育の改善のみならず、医 療センターの診療・受診者サービスの向上という成果につながりました。 2016 年に障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法が施行され、「合理的配慮」の義務 化がクローズアップされました。合理的配慮とは、企業や教育現場等において、障害者の 個々のニーズに応じ、事業主に負担のない範囲で、障害者の能力発揮を妨げる社会的障壁 を取り除くことです。医療機関は、様々な特性をもった病人、怪我人、障害者を受け入れ る関係上、合理的配慮に特化した職場であり、筑波技術大学も、その成り立ちから視覚障 害・聴覚障害学生に対する合理的配慮を追求し続けていると言えます。 医療センターにおかれましては、今後、診療活動を通じての地域貢献、教育・研修活動 等を継続していく上で「合理的配慮」を始め、様々な課題の解決に向けて大いに苦悩する ことがあるかと思います。今回ご紹介した事例では予想以上の成果が得られましたが、事 例によっては、なかなか解決の糸口が見つからず、また、望むような成果が得られないこ ともありました。しかしながら、解決に向けて努力する過程で大いなる気づき・学びを得 られたのも事実です。私が経験しました医療センターの歴史の一端を知って頂くことが、 そのような気づき・学びの一助となれば望外の喜びです。 私は、大学を退職後、労働安全衛生コンサルタントの国家試験を受験し、労働衛生コン サルタント(保健衛生)の資格を取得しました。労働衛生コンサルタントの仕事内容は、 事業者等と契約し、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断 及びこれに基づく指導を行うことです。労働衛生コンサルタントの立場から、また、自分 自身の経験から、医療センターの教職員の皆様に就業上のアドバイスを差し上げたいと思 います。「仕事上の課題を解決する上で苦悩が強く、長引く場合、心身の健康に不調をき たす場合があり、その前に、一旦立ち止まって、過重労働となっていないかを確認し、ワ ーク・ライフ・バランスを見直す事が肝要です。」 最後になりましたが、筑波技術大学の教職員・学生の皆様方のご健勝と医療センターの 益々の発展を祈念しております。 p11 重度の視覚障害を有する理学療法士に何ができるか? 保健科学部保健学科理学療法学専攻 井口 正樹 視覚障害者に対する理学療法(以下、PT)教育の歴史はそれなりに長い。日本でPT 教育が始まった1963 年の翌年には現在の筑波大学附属視覚特別支援学校で、視覚障碍者 への教育が始まっている。しかしながら、「PT は全盲あるいは全盲に近いような重度の 視覚障害を有するPT でも生涯、安心して従事できる職業である」、と堂々と即答できる 者はそう多くないと思われる。実際のところ、視覚障害が重度であるがためにPT になる ことを断念した者や、軽度あるいは中等度の視覚障害を抱えながらも苦労してPT になっ た者は良いが、視覚障害が重度になり職業を変えざるを得なくなった者も少なからずいる。 これでは、晴眼者が中途失明して職業を変えざるを得なくなったのと、何ら変わりない。 視覚障害が悪化した時に独身で若ければまだ良いが、ある程度の年齢を重ね家庭を持った 状態で職業を変えざるを得ない、というのは非常に本人・家族にとってつらいだろう。 PT は視覚障碍者に開かれた職業とは言われるが、実際には視覚障害の前に「軽度あるい は中等度の」という限定する言葉が必要である。しかしながら、視覚障碍者を対象とした 筑波技術大学保健科学部に理学療法学専攻が設置されているのも、また事実である。本稿 では、重度の視覚障害を有するPT が安心して働くことを妨げている要因とその対策につ いて個人的見解を述べたい。 ここでは、重度の視覚障害を有するPT が安心して働くことを妨げている要因を1.移動、 2. 評価、3. リスク管理に絞ってみる。1 の移動であるが、PT の多くは病院や診療所など の医療施設で勤務するわけだがこのような場所では高齢者や点滴と一緒に歩いている者や 車いす、松葉杖を使用している者など多種多様で不特定多数の人々が歩いている。その中 で、重度視覚障碍者が白杖を使用して、あるいは使用せずに移動するというのは非現実的 である。そして、PT は対象者の移動を助ける職業である。ベッドから起き上がり、立ち 上がり、歩く、あるいは車いすに移乗し移動する、といった一連の基本動作の維持・改善 がPT の主な仕事であるが、重度視覚障碍者は自身の移動もままならないため、対象者の 移動の維持・改善を行うことが容易ではないことは容易に想像できる。2 の評価であるが、 PT は様々な検査・測定を行うが、中でも重度視覚障害を有するPT にとって難しいのは、 動作観察である。その名の通り、目で見て観察するわけだが、当然、重度視覚障碍者にと っては難しい。寝がえり、起き上がり、立ち上がりくらいであれば、触ることで多少の情 報は得られるであろうが対象者の動作を妨げてはならないし、当然、触った部位のみの情 報しか得られない。そして最後に3 のリスク管理であるが、対象者の中には状態が急変 するかもしれないしバランスが悪く転倒のリスクが高い者もいる。病態の急変に対しては 重度視覚障碍者には難しい顔色の変化に気づく、心電図などのモニタの変化に気づく、な どが必要である。転倒に関しては、転倒リスクの高い対象者の場合、PT は対象者に手の 届くところに常に位置し、万が一の時には転倒しないよう手を伸ばして支える必要がある が、こちらも重度視覚障害を有するPT には難しい。 さて、上記の問題に対して何ができるか?であるが、結論から言うとすべてを解決でき る対策はないだろう。対策として鍵となるのは、a. 業務内容の絞り込み、b.IT、c. 学び なおし、ではないだろうか?a. 業務内容の絞り込みであるが、PT は集中治療室で点滴や 心電図などが装着されている患者に対して意識の有無にかかわらず行われる急性期リハ (ビリテーション)から現時点では全く障害はない健常者に対して予防的に行う介入にも 携わることがある。一般的には、急性期よりも慢性期・維持期、そして予防的介入のほう が、点滴などを扱う必要がなく、万が一に備えるリスク管理もそれほど必要なく、また PT を受けている者からの協力も得られるため、視覚障碍者にとっては働きやすいといえ るだろう。産業PT という分野がある。PT の活躍する場所は大半が病院や診療所の医療 機関であるが、産業PT は就労者の職業に関連する健康増進や安全確保に貢献する。鍼灸 師がヘルスキーパーとして企業でマッサージなどを行っているが、そのPT 版である。ま た、介入中に移動を伴わない業務に絞り込むことも考えられる。例えば、寝たきりの対象 者であればベッド上ですべてが完結するかもしれない。近年では心臓リハビリテーション も盛んにおこなわれているが、リスク管理さえクリアできれば治療自体は自転車エルゴメ ーターやトレッドミルなどを使用して、自転車をこいだり歩いたりという単純な動作を処 方することが多いので、重度視覚障碍者でも可能ではないだろうか?このように業務内容 を絞り込むことで重度視覚障害があってもできることのみを行う、そしてできないことは できるPT に行ってもらう、ということができればよいが、そのような恵まれた環境はそ う多くはないだろう。PT の基本は対象者にPT を提供する臨床であるが、他にも養成施 設で教育に携わったり、研究機関で研究に携わることもできる。しかし教育現場などでは、 学生には立派な臨床家になってもらいたいと思い教育するわけだが、教えている教員が重 度の視覚障害のために臨床があまりできない、というのはどうにも情けなく思うかもしれ ないし、割り切って教育者として教えられることを教える、ということもできる。2 の IT であるが、残念ながら現時点で重度視覚障碍を有するPT がIT の恩恵を大いに受けて いる、とは思えない。しかし、近年の画像処理を含めたIT は著しい進化を遂げているの で、今後に期待したい。最後に3 の学びなおしであるが、専門あるいは認定PT を取得す るなど理学療法を更に深く学ぶ、あるいは何か新しいこと、例えば鍼灸の資格を取得した りIT を勉強して支援工学・リハビリテーション工学などに携わるのもよいだろう。一昔 前はPT の数が少なかったため、視覚障害があってもPT の資格さえ持っていれば、就職 も容易であった。しかしながら最近ではPT の数が非常に増えたため、昔のように資格さ えあれば・・・、という考えは通用しなくなってきたかもしれない。そのため、最近では 視覚障害をカバーする更なる強みが必要かもしれない。 重度の視覚障害を有するPT に対する工夫や配慮を考える際に重要なのは、PT が障碍 者であるからと言って、PT の本質を変えてはならず、PT は対象者に必要なPT を提供し なければならない。引き続き、我々教員に何ができるか、考えていきたい。 p13 理療教育と東西医学統合医療センターの意義 保健科学部保健学科鍼灸学専攻 福島 正也 今回、東西医学統合医療センター年報への寄稿の機会をいただいたので、「理療教育と 東西医学統合医療センターの意義」と題し、私の専門である理療教育と東西医学統合医療 センター施術部門について、(適当に)私見を述べさせていただく。 さて、本邦では古くから視覚障がい者の職業として、鍼灸・あん摩(以下、あはきとする) が伝統的に受け継がれてきており、その公的な教育制度の成立は、江戸時代にまで遡る。 私自身は晴眼者だが、国家資格取得後、縁あって視覚障がい者のあはき教育(理療教育) を専攻する教員養成課程のある筑波大学理療科教員養成施設に入学した。その後、現在ま で理療教育の世界に関わっているが、最近になり、改めてあはきという職業が視覚障がい 者の適職であることを強く認識してきている。これまでに私は、理療科教員養成施設のク ラスメイト、同施設での臨床研修時代の同期たち、また、あはき臨床をご指導いただいた 先生方、盲学校および本学での同僚の先生方といった数多くの視覚障がいあはき師ととも に学び、仕事をしてきた。その中で、彼・彼女たちが、視覚障がいを理由として、あはき の知識・技術で晴眼者に劣ると感じたことは一度もない。それどころか、私が臨床研修時 代にご指導いただいた先生方は、晴眼者の自分が一生をかけて果たして追いつけるのか、 という高度な専門性をもった、視覚障がい者の先生方ばかりであった。 東西医学統合医療センターの施術部門においては、今も多くの施術者が、視覚障がいの 有無に関わらず、日々研鑽し、あはき臨床に取り組んでいる。近年、共生社会やダイバー シティ&インクルージョンの理念のもとに、様々な形での社会変革が志向されているが、 あはき以上に視覚障がい者が活躍し、晴眼者との共生が実現されている職域を、私は知ら ない。視覚障がいに起因するバリアがこんなにも少なく、晴眼者と肩を並べ、自らの実力 で勝負できる職業は多くないのではないだろうか。 ただし、あはき業において、視覚障がい者が活躍し、このような高度な共生関係が実現 されるには、前提となる条件が必要である。それは、視覚障がいに配慮された理療教育の 存在である。私は理療科教員免許を保有していることから、視覚障がい者と晴眼者の両方 の学校で、教員としてあはき教育に携わった経験がある。その経験から、視覚障がいの有 無により、教育現場において必要とされる配慮が大きく異なることは明白である。特に、 晴眼の学生を教育する学校で実施されている大人数を対象とした教育方法では、視覚障が い学生への適切な配慮を提供することは困難である。同時に、医療職の教育は、学校教育 のみでは不十分であり、国家資格取得後も卒後臨床研修、OJT(On the Job Training)、 リカレント教育において、合理的配慮に基づく卒後教育が提供される環境が求められる。 現在、少子化やインクルーシブ教育の流れを受け、あはきを学ぶ視覚障がい者は減少して おり、一部では理療教育を廃絶させようとする動きもみえる。私は上述した理由から、あ はき業は視覚障がい者の適職であり、今後、AI(人工知能)による事務職を中心とした 職業代替が進展する第4 次産業革命を経ても、そうあり続けると予測されることから、 今後も、本邦の伝統医療であるあはき業、そして理療教育の価値は揺らがないと考えてい る。また、上述のように、視覚障がい者があはき師として社会的に活躍するためには、合 理的配慮に基づく専門教育が必須であり、この専門性の維持・継承・発展には、その専門 職と専門教育機関が必要である。今後の理療教育においては、学ぶ人数が少ないからその 価値が稀薄になるのではなく、学ぶ人数が少なくなるからこそ、その維持・継承・発展の ため、存在意義が高まるという観点が必要である。 これまでに述べてきたような背景の中、本学の東西医学統合医療センターが果たすべき 役割は多い。東西医学統合医療センターの役割は、しばしば教育・研究・臨床の三本柱で 語られることが多いが、国立大学法人の附属医療機関・施術所であり、民業圧迫を避ける 観点からも、ただ患者を診ていればいいという施設ではないことは明らかである。このこ とから、臨床教育機関として、また、臨床研究機関としての機能の充実が求められる。特 に、東西医学統合医療センターは、全国的に見ても稀有で特徴的な施設であるため、やや もすると、ただ存在するだけで評価を得られやすい側面がある。今後、単なるハイコスト なハコモノにならないよう、東西医学統合医療センターが日本の理療臨床教育・研究の中 心的存在となることを期待したい。 p16 東西医学統合医療センターの取り組み p17 新たなリカレント教育の取り組み 施術部門 櫻庭 陽・成島朋美・吉川一樹 施術部門では、長年にわたり研修制度を通じてリカレント教育を実践しています。今年 度は、新たな挑戦として文部科学省の就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事 業に応募しました。その結果、本学では “聴覚・視覚障害者のための共生社会実現に向 けた「超」職業実践力育成事業”として事業委託を受けました。そのうち、視覚障害者を 対象としたプログラム「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧資格を活用する専門スキル 向上プログラム」において、視覚障害を有する鍼灸あん摩マッサージ指圧師を対象にリカ レント教育を実施しました。 プログラムは、講義と実習で構成され、必修科目の合計は63 時間としました。講義は、 専門領域の他、障害者の雇用や情報処理等の科目を取り入れました。実習は、理療実技や 見学のほか、当センターの特長を生かして、医師の診察や理学療法士によるリハビリテー ションの見学を盛り込み、医療の多職種との関わりや協働を体感してもらうようにしまし た。受講方法は、講義はオンライン、実技実習は土日、見学実習は平日の短期間で実施す るなど、遠方や就労している方々に配慮しました。 参加者は20 から70 歳代の19 名(男性14 名、女性5 名)でした。就労者が15 名(内、 自営業者は5 名)で、参加目的をスキルアップとしたのが13 名でした。スキルアップを目 的としたリカレント教育の需要が高いと感じました。また、全ての必修科目の受講希望者 が4 名と少なく、対面の実習に参加できない理由が“仕事”や“移動”でした。実習や 見学については、実施方法の工夫やニーズへの対応が必要だと感じました。その他、他の 研修会よりも視覚障害補償が充実しているとのコメントを得ました。私たちが長年、視覚 障害教育に従事し、それらの積み重ねの成果だと思いました。今後は、理療における視覚 障害者教育の実践例や指導方法を広く発信することもやっていかなければならないと思い ました。 今回の事業ではオンラインを多用して場所や時間を選ばない学びを提供することができ たと考えています。一方、実習はその特性上、遠隔による教授は難しいと思います。しか し、オンラインによる理療実技の教授が可能となれば、対象者や目的、ニーズに即した充 実したリカレント教育を提供できると思い、現在、チャレンジをしています。 今後も医療センターを軸とした教育の充実を図っていきたいと思います。 p18 リハビリテーション部門の実施できた取り組み リハビリテーション部門 杉田洋介・木村健作 【はじめに】 2021 年度は新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)対策を施しながらリハビリテ ーション診療に取り組んだ一年であった。COVID-19 流行前と比較して、依然として外 来患者数は少ないが、それでも昨年度と比較して徐々に回復傾向にある。また、研究面で は新たな試みにも着手することが出来た一年でもあった。本稿では、「リハビリテーショ ン部門の積極的に実施できた取り組み」 と題して、診療面、研究面、および教育 面に分けて報告する。 1. 診療面 2021 年度の診療実績は、延患者数 3,792 人(前年度比+7.3%)であった。 前述したとおり、COVID-19 流行前で ある2019 年度と比較して、患者数が減 少していることは否めない。しかしなが ら、COVID-19 感染流行のピークであ った2020 年度と比較した場合、徐々に ではあるが患者数は回復傾向にある。 個々のスタッフが患者数を減らさないよ うに努力したことに加え、医師の方々が 外来診察枠を増やして積極的に患者を受 け入れていただいた結果である。 2. 研究面 2021 年度は、リハビリテーション科初の臨床研究 (臨床試験番号: UMIN000045467)に 着手することが出来た (図1)。この臨床試験は、腰部脊柱管狭窄症(LSCS)の症状に対 して治療効果が明確にされていない有酸素運動と,従来の運動療法(ストレッチ,筋力強 化運動)を比較したうえで,全身循環動態の観点からの治療効果を明らかにすることを目 的に実施している単施設でのランダム化比較試験である。現時点ではリハビリテーション 部門と診療部門 (整形外科)で共同して進めているが、将来的に鍼灸などの東洋医学的治療 を併用した層別化解析を加えることで、他に類を見ない当センター独自の取り組みとする ことが出来ると考えている。 心肺運動負荷試験中のLSCS 患者 リハビリテーション部門の積極的に実施できた取り組み 3. 教育面 2021 年度は、2 名の臨床実習生を受け入れるとともに、視覚障碍を有する新人理学療 法士1 名が入職した。この新人理学療法士は鍼灸師の資格を保有 (ダブルライセンス)して いることから、今年度からはリハビリテーション科と鍼灸部門の両方で研修を行っている。 また、鍼灸部門と共同して外部の盲学校との連携教育事業に参加した。この成果は第62 回弱視教育研究全国大会で発表された。日々の取り組みとしては、リハビリ部門で毎週1 回有志による勉強会を開催し、医師や理学療法士、研修生を交えて発表および質疑応答を 行った。近年の研究のTopics や自身の研究内容、臨床の疑問点など内容は多岐に渡るが、 自身の関心のある内容について意見を交換できる機会となっている。 【2021 年度の総括と2022 年度の展望】 2021 年度はCOVID-19 感染予防対策を施しながら、一定の外来患者数回復とリハビリ テーション科初の臨床研究に着手することが出来た。2022 年度の展望として、診療面に おいては心大血管疾患リハビリテーション、および今年度に新たに取得した施設基準であ る呼吸器疾患リハビリテーションの患者数増加が急務である。研究面においては、現行の 臨床研究を推進すること、および個々のスタッフが有する研究課題をまとめ上げ、学会や 学術誌にアウトプットしていく必要がある。教育面においては、臨床実習や実習系講義の 受け入れだけでなく、視覚障碍を有する新人理学療法士の研修制度の体系化等も整備して いく必要があると考えている。 p20 私の看護観 看護師 武笠 瑞枝 新型コロナウイルス感染症の感染拡大から3 回目の冬を迎えます。いまだ収束が見込 めない中、現在も医療機関や施設では対応が続けられており、当センターも例外ではあり ません。また、現在は新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備 えた対応の準備と、各々のワクチンの接種を行っています。忙しい日々ではありますが、 大きな問題がなく業務が遂行できていることは、先生方をはじめスタッフ皆様のご協力の お陰だと感謝しております。ありがとうございます。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、私たちの日常生活は大きく変わりました。医 療や看護の世界でも提供体制に変化が生じています。日々の業務の中で新型コロナウイル ス感染予防のために、来院する患者さんとの距離感を考え、看護師と患者さん双方が感染 リスクを抑えるよう行動するようになったと感じます。例えば、診察前の問診や会話時、 今までは正面から向き合ってじっくりと話を聞き、顔色や表情など観察して自然と患者さ んに触れる行為も行っていましたが、現在は、少し距離を置いて横に並びお互いマスク着 用するなど感染予防を踏まえた対応となりました。さらには、医療ICT を活用して、生 体データをリアルタイムに収集・蓄積し、遠隔地にいる医師や看護師が状態を確認できる システムや、オンラインによる診察の導入をしている医療機関もあります。 看護学生時代に「看護」とは手と目で護ると書くように、正面から向き合い(目で観る) 患者に触れること(手でケアする)が患者を護るということだと学びました。その教えを 基に看護師として働き私自身もたくさんの患者さんとの出会いや別れを経験してきました。 そして自分なりに「寄り添う」「触れる」「まごころ」が私の看護観となっています。新型 コロナウイルスが広がる前とは物理的な向き合い方は変わりましたが、人の病気や怪我だ けに向き合うのではなく、その人そのものと向き合い、人と人とのかかわりを大切にまご ころ込めて寄り添う。そして、患者さんに直接触れ、どこがどの程度どんな症状なのか、 どんなことで困っているのかを知り共感することが大切です。当センターには、様々な症 状の方が不安を抱えて訪れます。その方々が安心して治療を受け、笑顔になることができ れば心も体も良い方向へ向かうと思います。新型コロナ拡大の今だからこそ、人とのつな がりや触れることの大切さを考え、「東西医学統合医療センターに来て良かった。」と思っ ていただけるような看護を目指します。 p21 COVID-19 による国内・茨城の感染者の推移 グラフ表示 参考:https://covid19.mhlw.go.jp/extensions/public/index.html(2022/12/04 アクセス) p22 COVID-19 による国内の重傷者・入院中患者の推移 グラフ表示 参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/entire/(2022/12/04 アクセス) p24 東西医学統合医療センターにおける教育 p25 "筑波技術大学の鍼灸学"の発展を目指して 保健科学部保健学科鍼灸学専攻令和3 年度専攻長 殿山 希 鍼灸の現代医学的な研究が世界で始まって50 年が過ぎた。その始まりは、1971 年、 米国大統領顧問ヘンリー・キッシンジャーの訪中に随行したニューヨークタイムズの記者 ジェームズ・レストンの鍼麻酔の報道と、翌年ニクソン大統領の訪中に随行して鍼麻酔の 現場を見たDr.ウォルター・タカチのNIH への鍼灸研究の働きかけに端を発する1)。日 本では、それ以前から鍼灸の研究を進めていたが、残念ながら英語での発信がほとんどな かったため、世界にインパクトをもたらすことができなかった1)。 私が鍼灸あん摩マッサージを学び始めたのは1986 年4 月であった。盲学校の全盲の教 員は、当時明らかになってまもない鍼鎮痛機序とナロキソンについて教科書にない多くを 補って教えてくれた。鍼灸あん摩マッサージが科学で解明されることに希望を感じ、嬉し く思った。鍼灸理論の教科書は1960 年頃に執筆された古いものだったが興味深く、生徒 の私には難解だった。そこで私はわからないところに鉛筆で線を引き、真っ黒になった教 科書を持って、毎日昼休みに教員に尋ねた。「ああ、それはまだわかっていないんだ」と の答えが多く、がっかりしている私に「そんなに知りたいなら、筑波大学の理療科教員養 成施設に行くといいよ。そこでは鍼灸の研究を進めているから」と教えてくれたので進学 した。そこで研究をしていた先生方の多くが1991 年4 月に筑波技術短期大学に移動され た。私が教員養成施設を卒業して盲学校理療科教員となった年である。今度は多くの鍼灸 研究が筑波技術短期大学で、そして2006 年からは筑波技術大学で進展することになった。 そのような教育背景を持つ私は、やはり鍼灸あん摩マッサージはエビデンス-ベースド、 科学に立脚していないと納得できない。やった、効いた、では意味がない。全日本鍼灸学 会もそのようなスタンスで研究を集積してきたと思う。近年は、国家試験対応の治療学の 教科書(東洋医学臨床論)までが中医学中心の展開になってしまったことに多少の違和感 を禁じ得ない。とは言え、全てが科学だけで解釈できるものでもない。現代医学と東洋医 学では、記述言語が異なっているだけと感じる部分もある。一つ二つの論文が書かれても 治療のエビデンスにはならない。大学で教員として学生実習を担当しながらいつも考える。 私はどれだけエビデンスのある治療を行っているのだろうかと。そして、鍼灸あん摩マッ サージの領域にいくつの疾患にエビデンスが挙げられているのかと。鍼灸のスタンダード 治療は未だ遠い。 実習に来た学生と話す。「医療センターの患者様は町の治療院と何ら異なるところがな いね。大学病院なのに」。「だから手技外来ができる時に、少しばかりのエビデンスの挙が った疾患に対する専門外来にしてほしい、そうでないと意味がない、と主張したのに叶わ なかった」。学生が言った。「健康管理の患者ばかりが集まるということは、人々は鍼灸は 健康管理にしか効果がないと思っている証拠ではないのか」と。厳しいことを言ってくれ る。 私が本学に来て20 余年過ぎるが、こんなはずではなかったと思うことが多くある。鍼 灸あん摩マッサージの研究も教育も臨床も、昭和の時代にはもっと活気があったように思 える。平成時代にさらなる発展をさせられなかったことには皆何かしらの責任はある。専 攻と医療センターとはもっとコミュニケーションがあったような気がする。議論を恐れな かった。皆がただただ忙しくなっているせいもある。学生数が減っても臨床実習は鍼灸師 教員が総出で全力で取り組む主要科目のひとつであり続けた。雑誌や学会で活躍している 先生方の治療を直接見て学べる魅力的な科目だ。現在でも入学を希望する学生が必ず「医 療センターでの実習は盲学校にない期待している科目」と言う。それに応えたくて教員は 頑張っている。 学生数が減少していることで、ここ数年、他専攻の教員から鍼灸のカリキュラムが悪い、 臨床実習をスリム化すべき、鍼灸師教員が多すぎる、努力が足りないなどと罵られる。わ かっちゃいないね、どこが、誰が、どうやって、視覚に障害のある人の高度な鍼灸教育と 真なる職業自立を支えてきたのか、そして鍼灸あん摩マッサージという仕事が彼らの人生 の質をどれほど高めてきたのかを。現在、視覚に障害のある人の大学受験には、本学でな くとも1.3 倍の時間が与えられ、視覚の障害で不利益を被ることなく実力を発揮できるよ うに設定されていることは周知の事実。視覚に障害のある人に鍼灸あん摩マッサージを授 ける時、晴眼者の鍼灸師養成学校より多くの教員を配当して手から手に伝達する教育手法 は当たり前のこと。見えない目で立ちん坊の見学実習が何の役に立つというのだろうか。 手厚い臨床実習の結果、視覚に障害があろうとなかろうと、同じ料金設定で患者を診て治 療できる鍼灸あん摩マッサージ師を輩出し、社会に真に貢献できる人材を育て続けてきた。 これは世界で日本だけのことである。治療院では障害特別枠での雇用はない。技術を身に つけると自律的で独自性が発揮できる仕事だ。このことが視覚に障害のある有資格者の自 己価値感や志気を高め、メンタルヘルスも良好に保たせている2)。 これからも筑波技術大学の鍼灸学は、高いレベルで世界の鍼灸学を支え、エビデンス- ベースドの鍼灸あん摩マッサージ教育を発展させ、視覚に障害のある人の人生が輝かしい ものであり続けますように。後輩教員の努力に期待する。 1) ファーガソン JH.NIH の鍼灸の合意形成会議とその後.第48 回全日本鍼灸学会学術 大会特別講演.全日本鍼灸学会雑誌.1999;49(3):369-374. 2) Donoyama N, Takeda F. Mental Health and Related Factors Among Massage Practitioners with Visual Impairment. Industrial Health 2007;45:191-198. p27 医療センターと理学療法学専攻との関わり 保健科学部保健学科理学療法学専攻令和3 年度専攻長 酒井 俊 理学療法士を目指す本学の学生達は、4 年の歳月をかけてその資格取得を目指して いる。彼らは、理学療法学における理論の知識獲得だけではなく、理学療法士として の技能の修得が必須であり、なおかつ医療人としての人間性の研鑽を積むことも求め られる。そこで重要になるのが臨床実習であり、当専攻では、4 年間で4 回の臨床実 習の機会がある。1 年次の施設見学に始まり、4 年次では病院・施設の理学療法士の 指導のもとに患者を担当し、治療の立案および報告書の作成・症例提示まで出来る能 力の獲得を目指す。卒業後、理学療法士として日常業務に携わるためには、実習を通 してその手技能力を高めることが必要になってくる。 令和3年度も旧年度と同様、日本全国の病院で感染対策を講じての診療体制が執ら れたことは、ご存知の通りである。そのため、これまでお願いしてきた施設の一部で は、感染患者の状況により臨床実習を中止せざるを得ない状況が発生した。その際、 臨床実習の代替施設としてお願いしたのが、医療センターである。もちろん医療セン ターもコロナウイルス感染症には気を遣っての診療体制であり、実習学生の受入はご 負担であったと想像され、心より感謝する次第である。また理学療法学専攻としては、 学内に実習先があることは、大変心強い限りであった。学内で指導も充実しているこ とから、最初から実習施設の一つとして組み込む方が望ましいと考えられ、学生は何 らかの機会に積極的に実習すべき場所ではないかと考えている。 さて、当大学医療センター・リハビリテーション科の特徴としてはどんなものがあ るだろうか。整形外科疾患・脳血管障害の患者割合は他の施設同様、リハビリテーシ ョンの中心であるが、動画解析ツールの設置・神経変性疾患・小児症例への対応、心 臓リハビリテーション、インソールの充実は他に誇ってもよい状況であると感じてい る。学生時代に担当した症例は、後々まで印象に残っていることが多いため、学生指 導の際には、日常的によく認められる症例のみならず特殊な症例にも実習では担当さ せていただければとお願いする次第である。 平成27年度より医療センターでは、本専攻の卒業生を雇用し卒後研修を行っている。 本学の卒業生がそのまま医療センターに就職し、理学療法士として成長していく様子 を見ることには、感慨深いものがある。彼らの成長ぶりを見ていると、一人前の理学 療法士の養成には卒後研修が必須であり、当センターはその教育施設としての役割を 積極的に担って欲しいと考えている。彼らが独り立ちし、さらには大学のスタッフと して活躍してくれることを楽しみにしている。そのためにも我々スタッフは、専攻の 教育内容を改善していくとともに、研究内容を充実させ、新しい知見を生み出してい く必要がある。理学療法学専攻の魅力向上と医療センター・リハビリテーション科の 充実は、車の両輪であり、どちらか一方が欠けていては、本学の理学療法学の発展は ない。そのため我々大学人は、双方が栄える体制を再構築していく必要があると感じ ている。 p30 卒後臨床教育(研修制度)修了者の寄稿 p31 実りある研修時代 千葉大学医学部附属病院 助教 千葉大学柏の葉鍼灸院 院長 松本 毅 私が研修生としてお世話になっていたのは、筑波技術大学がまだ短大だった1994 年4 月から1 年間で、そのまま立場上研修生と補助員という非常勤職員を兼ねながら4 年、 トータルで5 年間在籍していました。同期は、6 名で確か3 期生目でした。その時の先生 方は、そうそうたるメンバーで、西條一止先生(元短期大学学長)をトップに、10 人ぐ らいの先生方が、昼夜かわるがわる情熱的に指導してくださっていました。 研修内容も全体ではカンファや新患プレゼンテーション、合同勉強会などを毎週行って いました。それぞれの担当教員とは、実技講習や臨床各論、担当教官の専門疾患について 学び、個人の課題を設け毎年の学会発表に向け研究活動も盛んにおこなわれていました。 私の場合は、形井秀一先生に就いていたので、婦人科疾患を中心に、鞭打ち症について研 究活動に励んでいました。実技練習では遠隔治療を中心に週に1 回の勉強会を受け、次 の勉強会まで教わった技の習得のため、外来後に研修生同士で鍼灸治療室のベッドを借り て実技練習を遅くまで行っていました。先生方も日常的に午前1 時ぐらいまでは施設に いたので、私たちも平日はアパートに寝に帰るだけの生活を送っていました。 週5 日の研修と深夜近くまでの討論や研究と毎日が忙しく過ごしていました。しかし、 その中でも先生方とは、夜の勉強会の後などに、よく夕ご飯を食べにいったり、飲みに連 れて行っていただいたり、花火大会やボウリング大会、クリスマス会、忘年会、新年会な ど様々なイベントも行っていました。先生方やそのご家族、診療所のスタッフ、研修生同 士もとても仲が良く、研修の大変さの中にも癒されるイベントも多く、大変実りある研修 でした。 私は、補助員としての期間が長かったので、ほとんどの先生の外来補助を行い、鍼渡し を行いながら、先生方の個性ある治療法を間近で見れ、多くの技を習得することができま した。これは今外来で臨床を行う上での大きな強みとなっています。 今では、私のお世話になっていた先生方はすべて退職され学会などでお会いするのみで すが、今でも先生方には感謝しています。私も立場上、指導者の位置にいますが、あの時 の先生方の情熱ある指導を思い出しては、指導に当たっています。 p32 base (株)ベスト・ケアー ヘルスケア事業部 いのうえ接骨院 佐々木 奈央 私は、免許取得後初めての就職先であった治療院を1 年弱で辞め、母校である技術大 学の医療センター研修生を希望しました。テキストで学んだことと臨床とをうまく結び付 けることができず、自信を持って施術に当たることができなくなっていたため、決して患 者を実験台にせず、「根拠のある施術ができるようになりたい」という目的を掲げ、筑波 の地へ戻りました。 本学では学生の頃から臨床実習に関するカリキュラムが充実していましたが、医療セン ターではセンターならではの深い学びを得ることができ、大きく成長することができまし た。充実した検査機器の下、医師や医療スタッフと情報共有をしながら、西洋・東洋と多 角的に患者を診ることができる環境は、医療センターならではの最も特筆すべき点でした。 また、安全や衛生に関することも学生の頃から細かくご指導いただいていましたが、施術 前後の環境整備から消毒・滅菌等の衛生管理の徹底、患者がより心地よく過ごせるための 配慮や所作に至るまで、とても細かくご指導いただきました。先輩研修生から代々指導を 引き継がれているそれらに関する厳しさは、指導を受けることはもちろん、自分たちが後 輩研修生へ指導することでもしっかりと身に付いたのだと思います。そして、国内外の学 会で発表をする機会もいただきました。これは、研究機関である大学の附属施設だからこ そ、患者からの理解と、症例数の多さを得ることができたのだと思います。また、研究を 進める中で論文の検索や、そこから得た情報を臨床へ応用し、より確かで説得力のある施 術をすることができるようになりました。 実際の臨床に関しても、鍼灸プロパーの先生方のご指導の下、多くの症例を診させてい ただき、施術方法やその考え方、患者との接し方などをご教授いただきました。それを基 に、研修生同士で体を借り合いながら何度も実技練習したり、症例や鍼灸について意見を 言い合ったり、夜遅くまで時間を忘れるほど、充実した時を過ごしました。痛い思いも悔 しい思いもしましたが、同じような志を持つ先輩や後輩、仲間たちと切磋琢磨しながら過 ごせたことは、一番の思い出です。一方で、ともに働くスタッフのほとんどが晴眼者とい う中で、視覚障害のある臨床家としても多くのことに気付かせていただく大事なきっかけ となりました。自ら相談するだけでなく、忌憚ない意見を積極的に頂くことで、施術中の リスク回避やトラブルへの対処法を初め、カルテ管理、環境整備など、自分にとっても他 のスタッフにとってもよりスムーズに動くことができる環境を検討、実践することができ ました。 全盲の私は視覚障害というマイノリティーの社会で「見えないのにすごいね」と言われ 続けて来ましたが、私も社会も、求めていることはそのようなことではありません。多様 性ある、晴眼者がマジョリティーの今の社会で、ただ「佐々木さんはすばらしい」と言わ れるような、「一鍼灸師」でありたいと、私は常々思っています。そのためにも、厳しく、 熱心にご指導いただいたこの医療センターでの5 年間は、鍼灸師として、また視覚障害 のある臨床家として、とても充実したインターン期間であり、非常に重要な5 年間だっ たと通関しています。もともとの目的であった、心身ともに苦痛を抱えている方々へ、リ スクを回避、検討しながら、根拠と責任ある施術をし、誠心誠意向かい合う…、臨床家と してはあたりまえのことですが、その基盤をこの5 年間で築くことができました。そし て、今でも何人かの研修生とは連絡を取り合っていますが、情報交換をしたり、行き詰っ た時に相談できる仲間ができたことも、私にとってかけがえのない宝です。 成長させてくださった先生方やセンタースタッフ、研修生の皆様を初め、このような施 設を作り上げ、ご尽力くださった方々、そしてそれを今もより良く繋ぎ続けてくださって いる方々に、この場を借りて心から感謝いたします。 p33 鍼灸師としての基盤となる2年間 株式会社コスモスイニシア ヘルスキーパー 松坂英紀 私は2004 年3 月に筑波技術大学鍼灸学科を卒業し2004 年4 月から2006 年3 月まで の2 年間研修生としてお世話になりました。本来研修生は月曜日から金曜日まで各先生 について勉強をする中私は週2 回の指導教官のみ出所し、週4 日は東京の指圧治療院に て指圧の修行をしておりました。理由としては2 年間で鍼灸とあん摩マッサージ指圧の 知識技術を習得し自信が持てる様になる為でした。坂井友実先生と野口栄太郎先生につき 鍼の技術や治療に至る考え方などさまざまなものを勉強させていただきました。オープン からクロースにかかわる作業や問診からアフターフォローまで施術以外に行うこと、施術 をするまでに考えること、施術をした後に調べること技術勉強会などなどすべてが新鮮で ありました。書籍を調べる際には図書館や筑波大学医学図書館などすべてを知ることがで きたことはこちらの研修生の大きなメリットでした。夜の実技練習会で、坐骨神経パルス の練習で坐骨神経に電気刺激を幾度となく繰り返したことにより翌日の通勤時で椅子に座 れなかったことが思い出されます。しかし、技術を自分のものにしてから患者様に提供す るためには研修生同士で練習を重ねて自分のものにする大切さをこちらで学びました。 最後に私は視覚障害を持つことにより鍼灸の世界に入りましたが、視覚障害にならなけ ればこの道に進むことはなかったと思うと視覚障害になったことに感謝しています。なぜ ならば自分の手で「人に喜んでいただける仕事」を生涯の仕事として就くことができたか らです。これからも「笑顔」を求めて日々勉強に励みたいと思います。貴重な2 年間を ありがとうございました。 p36 研修生や学生 在籍者の声 p37 研修生 レジデントコース 浦本 諭 私は故郷の奈良県で14 年間小学校の教員をした後,大阪の専門学校で学び,鍼灸マッ サージ師の資格を得てすぐ,当医療センターの卒後臨床研修に参加いたしました。教員時 代に患者としてある鍼灸の先生と出会い,今は師匠でもあるその先生の人間性にいわば 「感染」してしまい,鍼灸師を目指すことにしました。専門学校時代は,学校でのカリキ ュラム以外に小児はりや刺絡の講習会等に参加し,将来の開業にむけて「わざ」の習得に も時間を費やしましたが,そもそもの臨床していく力が圧倒的に不足していると思い至り, 研修に参加することにしました。「0 歳から100 歳まで,地域に住まわれるあらゆる方の 心身の不調に対して対応できる鍼灸師」というのが,私のイメージする理想的な鍼灸師像 です。少しでも近づけるよう,これからも努力していきたいと思います。 研修を開始して間もなく1 年が経ちますが,先生方のご指導のおかげで基礎的な臨床 力は着実に身についてきているのを実感しています。これからも,さらに研鑽を積んで頑 張っていきたいと思います。 研修生 レジデントコース 小副川 隆章 私は大学卒業後、テニス選手兼指導者として21 年間活動をしました。20 代後半にケガ を理由にテニスが出来なくなり、様々な病院・治療院を回るもケガを治すことが出来ず、 自ら治療を学び自分で自分を治そうという思いからこの業界に足を踏み入れ、鍼灸師の国 家資格を取りました。治療家としての臨床経験が少なく、専門的に学べる環境に身を置き たいということで当センターにて学ばせて頂くことになりました。 臨床現場で「いかにして効果が出せる治療が出来るか」にこだわりを持ち、常に根本治 療となるアプローチは何かという視点を持って進んできました。今後も引き続きこだわり に対する追求と、さらにそれを活かし、施術だけでなくWEB やリアルによる勉強会等も 開催し外部への貢献出来る環境づくりと実践を進めてゆきます。 今年度は研修生の人数が多くかつコロナ禍であり、患者数は例年と比べると少ないよう でした。だからこそ臨床現場での実践でより多くを学び取る為には事前の自主的勉強がと ても大切であったと感じる。特に鍼灸に関しては、ベテランの教授や先生方がチームにつ いてくれているので、難しい症例に対してなど多くの助言を頂き多くの学びがありました。 私の場合は空いた時間を使用し鍼灸だけでなく、手技や運動療法など他の分野からも医療 を学び、様々な症例を違った視点から診ることにも挑戦しました。自主性を持って学ぶ姿 勢を保つことがこの環境を活かす為に必須と感じます。 p38 研修生 レジデントコース 上柿 すみれ 私はあん摩マッサージ指圧師を取得後、人と関わることは好きでしたが、治療をしたい という思いになれずリラクゼーションサロンや介護施設にて機能訓練指導員として働いて いました。リラクゼーション業界には、思っていた以上に治療院とリラクゼーションとの 差を知らずに様々な主訴を訴えてこられる方が多くいらっしゃいましたが、医療従事者と してではないため深く突っ込んだことはいえず、モヤモヤした気持ちから段々としっかり 診て治せるようになりたいと、鍼灸・柔道整復師の免許取得を目指しました。また介護施 設ではPT、OT、ST、NS、など様々な職種のなかで働くことで、私たち鍼灸マッサージ 師はなにより患者さんとの距離が近いことが魅力ではないかと思いました。患者さんの願 いを一緒にサポートできるようになるため、この研修を通して先生方の考え方や手技をし っかり学び、コメディカルの先生方とも連携がとれるよう原因・治療内容・効果を説明で きる力、再現性のある治療技術を身に着けていきたいと考えています。実際研修は、苦手 なPC を使った作業も多くつらいこともありますが、同期の研修生や先輩方にも恵まれ、 みんなに会うために毎日頑張れています(笑) すでに退所後のことを考えると寂しいですが、この貴重な経験を無駄にしないよう一日 を大切に、残りの期間もたくさんのことを吸収していきたいです。 研修生 レジデントコース 水香 一芳 ① 自己紹介 水香一芳と申します。大阪行岡医療専門学校を2021 年に卒業し同年に研修に参加 させていただきました。大阪生まれ大阪育ちの私にとっては、つくばでの生活は新し い発見、不便な生活、沢山の自然と退屈のない毎日を送っています。 ② 抱負 専門学校では国家試験合格が最大の目標で、実際の施術技術や知識の習得は二の次 になり、不安を感じていました。この研修では身体の仕組みや疾患を学び直し、患者 さんに堂々と向き合えるようになりたいと考えています。そして患者さんに寄り添い、 安心していただける存在になりたいです。その為には患者さんの質問に可能な限りお 答えできる知識の習得、愁訴に対しての治療技術の習得を最大の目標としています。 ③ 研修の感想 研修が始まって最初に思ったことは、学校で習った事を全然理解していないのと、 それだけでは全然足りないし知識の使い方が全然わからない、という事でした。そこ からほぼZERO からのスタートのように覚えること、考えること、慣れていくこと、 が押し寄せてきました。患者さんを診る事がこんなに大変だとは正直考えていません でした、まさにカルチャーショックですね。最初はどうしてここまで効くんだろうと 思っていましたが、研修が進んでいくうちにそのことの必要性が少しずつ理解できて きました。今でも全然できている気はしませんが、入所した時よりかはマシになって きたかな?と思えるようになりました。 p39 研修生 レジデントコース 深川 柱溶 ① 研修生1 年深川柱溶(ふかがわ ちゅよん)です。九州看護福祉大学 看護福祉学部 鍼灸スポーツ学科卒業生です。 ② 一人前の鍼灸師になることです。 ③ 一年間研修を受けて多くの事を学び、他の研修生や先生方に支えてもらいました。 最初問診のときは何から話せば良いのかわからず検査も推定病態も治療方針も出来なかっ たです。最初は私が担当させていただいた患者さんを違う研修生の担当に変わってもらっ たりしました。私は、高い音が聞こえにくいことがありよく聞き取れないことがありまし た。8 歳の時から突然に聞こえにくくなりました。 対策として自分用の問診表を作ったりしました。最初は、上手く行かないこともありまし たが経験の積み重ねで上手くなっていきました。問診でどんなことを聞いたらいいのかも 少しずつわかって行きました。何か困ったことがあれば研修生や補助員の先生に聞いたり もしました。 医療センターでは、トレーニングコースの視覚に障害のある人たちとたくさん関わりまし た。みんな一生懸命で僕もその人達を見て少しずつ自分にも障害がありますが受け入れて 自信持って行こうと思いました。これからどうするかはっきりとはわかりませんが、セン ターに行けたことで自分のアイデンティティーを見つめ直す事が出来ました。 研修で充実とした2 年間にしたいです。 研修生 レジデントコース 三浦 桜爾 名前を三浦桜爾と申します。北海道メディカル・スポーツ専門学校を卒業後、山梨県の 接骨院グループに就職し1年間勤務した後に退職し本研修に入所しました。学生時代から 鍼灸の勉強は3 年で足りるのかと思いながら勉学に励んでいました。卒後の進路を中国 は中国浙江省杭州市にある浙江中医薬大学への編入としていましたが、新型コロナウイル スの蔓延により、海外への渡航及び大学側から受け入れを拒否されてしまいました。臨床 の場で自分が行っている施術にも自信が持てず、なぜ鍼が効くのかの説明もできずにいる 自分に嫌気がさし、国内で鍼灸の技術・知識・臨床力を身に着けられる施設を調べ、本研 修への出願を決めました。 当センターの研修では病態把握とエビデンスに基づいた治療に重点を置いているため、 自分の中で曖昧にしていた効果の機序や、再現性のある治療などが身に着くことに意義を 感じています。また文献調査や症例報告を通して、調べる・伝える力は今後の鍼灸師人生 においても重要なことだと考えています。日々の診療の中で先生方や研修生同士でのディ スカッションをする機会も多くあるため、別の考え方や治療法を相談できることも自分の 中で勉強になっていると感じます。4月からは2年目になり後輩にあたる存在が入り、指 導をする機会もあるため知識をアウトプットすることで整理し、ともに成長していけたら と思います。 p40 研修生 レジデントコース 望月 憲之 ① 自己紹介 35 歳2 児の父です.高校3 年間,何度も肉離れを繰り返し,最後は全力で走ることが 怖くなったため,プロ野球選手になる夢を諦めました.30 歳のときに,もう一度スポー ツに関わりたいと思い,退職して東京メディカル・スポーツ専門学校ではり師,きゅう師, 東京スポーツ・レクリエーション専門学校でアスレティックトレーナーの資格を取得しま した.センターで色々な患者様と接するうちに,スポーツだけでなく,もっと広く地域の 方々の健康を支えたいと思うようになりました. ②抱負 2022 年はセンターで研修させて頂きつつ,自宅開業に挑戦します.少しでも早く地域 の方々に信頼されるように精進します. ② 研修の感想 問診後の先生へ報告の度に,確認漏れを指摘され,先生との知識・経験の差を思い知り, この先も勉強し続けなくては追いつけないと痛感する毎日ですが,自分の施術でラクにな ったと明るい表情を見せてくれる患者様が少なからずおり,少しずつ成功体験を積むこと ができていて,とても充実した1 年だったと感じます.また,今では当たり前のことに 思いますが,入所当初から考えて,大きく変わることができたと感じるのは,視覚障害の ある方との接し方です.これまで接する機会がなかったため,研修前は正直少し身構えて いましたが,研修生や学生と一緒に研修していく中で,自分の中での壁がなくなり,声掛 けなど率先してできるようになりました. p41 研修生 トレーニングコース 鈴木 諄 トレーニングコース研修生の鈴木諄と申します。私は、高校まで岩手県立視覚支援学校 へ通い、その後東京都にある筑波大学附属視覚特別支援学校鍼灸手技療法科へ進み、あは きの資格を昨年の3 月に取得しました。鍼灸科3 年の夏に東西医学統合医療センターで 卒後研修ができることを知り、昨年の4 月よりこちらにお世話になっています。 私は、将来地元へ戻り開業したいと考えています。地元は高齢者が多いため少しでも ADL の維持に貢献できる施術者になりたいと思っています。そのためには、正確に検査 を行い、所見を得て患者の病態を把握する力は不可欠となります。そのためには、たくさ んの患者を通して経験を積んでいく必要があります。このセンターは、医師の下で施術が でき、さらに画像診断の結果も知ることができるという恵まれた環境です。その環境をし っかり活用し経験を積んでいきたいです。 この1 年間は、とても充実していました。知識のみならず、多くの先生方の技術を学 ぶことができました。さらに様々な患者さんを通し、コミュニケーション力も向上させる ことができました。 来年度も研修を続け、地域社会に貢献できる施術者として一歩ずつ歩んでいきたいと思 います。 研修生 トレーニングコース 中村 智史 ① 自己紹介 2010 年3 月 関東鍼灸専門学校卒業。2014 年3 月 筑波技術大学鍼灸学専攻卒業。 卒後、約6 年間訪問鍼灸マッサージの会社に勤務していましたが、自身の技能と知識 の未熟さを痛感し、学び直しをする為入所させていただきました。 ② 抱負 基礎学習の反復と新たな知識・技能の習得をし、数多くの症例数を経験し、将来、 信頼の置ける鍼灸師になれるように頑張りたいです。 ③ 研修の感想 国家試験に合格し、卒後すぐに鍼灸師として仕事を始め、思いきり壁にぶち当たっ てしまった私にとっては、医療センターの充実した設備環境や学習プログラムの内容、 そして医療との連携を図り協力する体制は魅力的で、期待や安心を持てるようになり ました。同時に覚えることは多く、また、入所時の私は自信よりも不安が先行してし まっている状態で、指導してくださる先生方や先輩方、また同僚にご迷惑をお掛けす るのではないかと心配していたのですが、丁寧で根気よくご指導して頂いたおかげで、 なんとか食らいついていってみようと決心し研修に臨むようになりました。次年度も 週1 回の研修を大切に、より多くのことを学び成長できるように頑張ります。 p42 研修生 レジデントコース Thein Kyaw Linn(テインチョウリン) 皆さんこんにちは。私は2017 年にミャンマーから留学して来たテインチョウリンです。 昨年の4 月から東西医学統合医療センターで研修生として主に臨床をやらせて頂いてお ります。私が鍼灸か2 年生の時にコロナが発生し、例年より臨床場で患者さんと接する 機会が減ったため、より臨床場での経験ができる環境で勉強をしたかったのです。このよ うな流れで昨年当センターに配属し、もうそろそろ1 年目が終えるところです。 ここ1 年間臨床場で実際に患者さん方と接する機会を作ってくださった当センターの 先生方や患者さん方に心から感謝しております。私が望んでいた臨床経験や技術や知識等 がある程度密着して来たかと自覚をしております。これからもさらに不足している各疾患 に対する知識や技術を身に着け、より自信を持てるようなあはき師になるように頑張って 将来的には帰国してぜひ日本で学んでいた鍼灸やマッサージ等を母国で生かして行きたい と思っております。 研修生 レジデントコース 若菜 潤 ①自己紹介 元々人体や生物に興味がありましたが、鍼灸師という職業にはなんとなく面白そうだく らいしか思っていませんでした。また鍼灸師に対して具体的なイメージはあまりなく、ブ ラックジャックに出てくる鍼師琵琶丸を思い浮かべるだけでした。取り敢えず資格を取っ てからいろいろ考えようと、国家試験を受験し資格を取得してから6 年が経ちました。 その間、中医学の研修や専門学校で教員として過ごしていましたが、現在はトレーニング 生として週に1 日研修を行っています。 ②抱負 臨床歴は6 年ですが今まで学んでいた治療法とは違う事を学びたいと思い、今回研修 に参加しています。特に東洋医学、西洋医学双方の知識を深めるためには本研修がどうし ても自分には必要だと考えています。 ③研修の感想 尊大な印象を与えてしまうかもしれませんが治療家は自身の治療法に対し、常にこれで いいのかと、疑問に思う方が良いのではないかと考えています。治療はこれで「正解」と いくことはなく、今まで効果があった治療が突然、効果がなくなることがあります。本研 修は教員、指導補助の先生方、諸先輩や同期の研修生達と共になんとか患者さんの病態に 「正解」を見つけようと熟考します。 臨床歴がいくらあっても、このままではいけないと思ったら、一から治療について考え、 研鑽を積むことが自身の成長に繋がると信じています。 p43 東西医学統合医療センター 技術補佐員 工藤 綾乃 ① 自己紹介 2021 年3 月に筑波技術大学理学療法学専攻を卒業し,医療センターで理学療法士とし て研修を始めました.在学中に授業をして下さった教員の先生方と患者さんの診療に臨ん でいます. ② 抱負 医療センターでの特徴を活かして,様々な職種の人たちとコミュニケーションを図り, 自分自身の知識・技術を磨き,次へのステップにつながる糧を身に着けられるように精進 していきたいです.他の医療機関では得ることのできない貴重な経験をさせていただき, 感謝申し上げます. ③ 研修の感想 医療センターでは,医師による診察,理学療法士によるリハビリテーション,鍼灸師に よる鍼灸治療が受けられるため,医師や理学療法士,鍼灸師の先生方と治療について話を する機会があり様々な知識が必要となり学ぶことがたくさんあります.日々の臨床業務に 加えて毎週の勉強会では,最新の論文の調査や先生方の研究活動に触れることができ,1 年間研修をしてきて,数多くの臨床経験や研究に携わることができました.日々刺激があ り,充実した生活を送っています. 国立大学法人筑波技術大学保健科学部保健学科鍼灸学専攻4 年 Bolot kyzy Shirin 私は、キルギスのBolot kyzy Shirin です。2020 年4 月、つくば技術大学保健学科鍼 灸学専攻2 年生に編入して、現在、鍼灸学専攻の4 年生です。2021 年4 月から東西医学 統合医療センターで、臨床実習を受けることになりました。 まずはじめに、統合医療センターの先生方の臨床を見学させていただきました。そして 学生同士で筋通電、神経通電、理学的検査や神経学的検査などを練習しました。その後、 実際に、新らしく患者さんを担当することができました。そのため、片頭痛、足関節捻挫 後後遺症をわずらった患者さんや腰椎分離症・腰椎すべり症などのさまざまな病気にも触 れることができました。また、わたしたち鍼灸師やマッサージ師はいつも施術を行うだけ で、教科書や参考書などを読んでしか知ることができない、統合医療センターに勤めてい る医師の診察を見学できたり、普段見ることができない、レントゲンやCT、MRI 検査の 様子など、得難い経験をさせていただいて、非常に勉強になりました。 本センターでは、鍼灸師としての経験を徐々に身に着けています。母国に帰国した際、 日本で学んだこと、本医療センターで経験したことや身に着けた技術をキルギスの視覚障 碍者に教えたいです。そのため、今後も頑張って行きたいと思います。 p44 国立大学法人筑波技術大学保健科学部保健学科鍼灸学専攻4 年 宇佐見 耕陽 私は、埼玉の盲学校であん摩マッサージ指圧師、鍼・灸師の免許を取得しました。本学 へは、臨床実習を通じて、多くの実技経験を積みたかったので、入学しました。 昨年度 は、2020 年に引き続き、新型コロナウイルスが猛威を振るったため、思うように実習を することができませんでした。しかし研修生や先生方に、神経パルスのレクチャーや理学 検査の復讐を手伝っていただき、一日一日が大変重質した1 年となりました。 12 月に 入ると、患者様を任せていただけるようになり、教科書では見ることのない、複雑な症例 と向き合うようになりました。複数の主訴がある症例は、治療が困難ですが、患者様から 「楽になった。」、「また来たい。」などの言葉をいただけるとやりがいを感じます。 昨年末の実習中、私はとても大切なことを学びました。それは、「施術者が、体の不調 を治すのではない。あくまで、患者様が自分で治すのであって、施術者はその手伝いをす るのだ。」というものです。私は、それを聞いて初心に帰りました。確かに、私たちがし ていることは、循環改善や筋緊張の緩和であって、決して治しているわけではないのです。 私は、このことを肝に銘じて、当時統合センターの一スタッフとして、今年度も励んで まいりたいと思います。 p46 スタッフ一覧 p47 ●診療部門 鮎澤 聡 センター鍼灸 教授/センター長(脳神経外科) 平山 暁 センター 教授 (内科/腎臓内科/漢方内科) 杉田 洋介 センター 助教 木村 健作 センター 助教 武笠 瑞枝 センター 看護師 会田 順子(7 月より) センター 看護師 黒木 裕美(非) センター 看護師 冨岡 幸恵 センター 薬剤師 木村 里美 センター 臨床検査技師 大野 貴子(非) センター 臨床検査技師 今泉 里美(非) センター 臨床検査技師 水木 知恵 センター 診療放射線技師 小西 美佳 センター 契約職員 工藤 綾乃 センター 契約職員(研修) 横田千津子 保健 管セ 教授(代謝内分泌内科) 白岩 伸子 鍼灸 准教授(脳神経内科) 酒井 俊 理学 教授(循環器内科) 薄葉 葉子 理学 教授 三浦 美佐 理学 教授 井口 正樹 理学 准教授 菅谷 久 理学 准教授(整形外科) 佐久間 亨 理学 講師 中村 直子 理学 講師 松井 康 理学 助教 ●施術部門 櫻庭 陽 センター 准教授 成島 朋美 センター 助教 野口 栄太郎 鍼灸 名誉教授 非常勤 佐藤 美和 センター 補助員 吉川 一樹 センター 補助員 石山 すみれ センター 補助員 児玉 大地 センター 補助員 殿山 希 鍼灸 教授 石崎 直人 鍼灸 教授 佐々木 健 鍼灸 准教授 近藤 宏 鍼灸 准教授 福島 正也 鍼灸 講師 笹岡 知子 鍼灸 助教 周防 佐知江 鍼灸 特任研究員 p48 ●施術部門 村山 圭祐 センター 補助員 末武 理絵 センター 補助員 片岡 由起子 センター 研修生 レジデント 鈴木 雄斗 センター 研修生 レジデント 吉川 博美 センター 研修生 レジデント 浦本 諭 センター 研修生 レジデント 小副川 隆章 センター 研修生 レジデント 上柿 すみれ センター 研修生 レジデント 川村 隆市郎 センター 研修生 レジデント 榮 嘉和 センター 研修生 レジデント 遠藤 あかね センター 研修生 トレーニング 松枝 宏幸 センター 研修生 トレーニング Damdintseren Nyamkhuu センター 研修生 トレーニング 井上 萌美 鍼灸 大学院 菊地 勇史 鍼灸 大学院 宮本 美樹 鍼灸 大学院 島内 裕史 センター 研修生 レジデント 水香 一芳 センター 研修生 レジデント 深川 柱溶 センター 研修生 レジデント 三浦 桜爾 センター 研修生 レジデント 望月 憲之 センター 研修生 レジデント 中村 智史 センター 研修生 トレーニング 若菜 潤 センター 研修生 トレーニング Thein Kyaw Linn センター 研修生 トレーニング 鈴木 諄 センター 研修生 トレーニング ●事務 青柳 充 係長 沖山富美子 一般職員 松原 亜矢 総合受付 新谷真奈美 総合受付 飯島 悦子 総合受付 亀山由美子 リハ受付 大橋 典子 鍼灸受付 ※2021 年4 月 p49 写真:レッドコードを用いた下肢の可動域訓練 p50 活動報告 p51 令和3 年度 活動報告 2021.04.01 入所式 整形外科に菅谷 先生赴任 2021.04.07 年度始式 online 2021.04.22 手話講習会 ・筑波技術大学学生の学生健診を医療センターで初の健康診断実施 2021.04.23 春日キャンパス学生健康診断 2021.04.26 天久保キャンパス学生健康診断 2021.04.27~28 医療センター勤務の医療従事者コロナワクチン初回(1 回目)接種開始 2021.05.17 循環器内科休診 2021.05.25 つくば鍼灸研究会(櫻庭 先生) 2021.05.18~20 医療センター勤務の医療従事者コロナワクチン(1 or 2 回目)接種開始 2021.05.31 一般・患者コロナワクチン初回接種開始(月・火・水・木) 2021.06.08・10 医療センター勤務の医療従事者コロナワクチン初回(2 回目)接種 2021.06.22~24 春日キャンパス職員、教員及び専攻(鍼灸・理学)学生 コロナワクチン初回(1 回目)接種 2021.06.23 第5 回COMPASS(菅谷 先生) 2021.06.28 施術部門で通常の予約方法を再開(ブース使用後30 分換気を行っていた) 2021.06.30 送別セレモニー(根本看護師長,富岡薬剤師) 2021.07.8・13~15・29 春日キャンパス職員、教員及び専攻(情報・鍼灸・理学) コロナワクチン初回(1・2 回目)接種 2021.08.01 公開講座(初学者対象)online オンデマンド 第1 回医療安全に関する研修会 (新型コロナウイルス感染症に対する個人防護具の適切な着脱方法) online 第2 回医療安全に関する研修会 (高齢者における医薬品の使用実態から考える医療安全) 2021.08.20 茨城県独自の緊急事態宣言 (8 月21 日~感染対策へのご協力のお願いを来院者に配布する) p52 2021.09.06 第6 回COMPASS(平山 先生) 2021.09.28 つくば鍼灸研究会(渡邊 先生) 2021.10.07 高大連携事業 福岡県立視覚支援学校遠隔授業 2021.10.12・23~26 文科省委託リカレント事業(見学・実技実習) 2021.10.21 国際鍼灸専門学校受託実習online 2021.10.29 コロナワクチン初回接種一時中断 2021.10.31 公開講座(一般対象、頭痛)online 2021.11.01 インフルエンザ予防接種 (教員・職員・学生・一般患者) 2021.11.01・05 インフルエンザ予防接種(天久保キャンパスにて教員・職員・学生) 2021.11.06~07・24~25 文科省委託リカレント事業(見学・実技実習) 2021.11.16 医療センターHP 用撮影 2021.11.30 つくば鍼灸研究会(杉田 先生) 2021.12.01・3・7~8・13~14・19 文科省委託リカレント事業(見学実習・online によるワークショップ) 2021.12.08 第7 回COMPASS(木村 先生) 2021.12.23 高大連携事業online カンファレンス 福岡視覚支援学校 2022.01.14 弱視教育研究会 online 2022.01.21 医療センター(医療従事者)コロナワクチン3 回目接種開始 2022.01.25 つくば鍼灸研究会(酒井 先生) 2022.01.26 第1 回研修生特別講習会(坂本一志 先生)online 2022.01.31 インフルエンザ予防接種終了 2022.02.04・10・17~18・25 医療センター勤務の医療従事者、春日教職員、学生 コロナワクチン3 回目接種 2022.02.11~12 医療センター1F 通路および施術部門内の点字マット工事 2022.02.20 研修生発表会および研修生同窓会 online 2022.02.21 一般・患者コロナワクチン3 回目接種開始 2022.03.09 第2 回研修生特別講習会(坂本一志 先生)対面およびonline 2022.03.16 第8 回COMPASS(鮎澤 先生) 2022.03.23 研修生退所式(片岡・鈴木(雄)・吉川(博)・ニャマフー) ○緊急事態宣言 ・茨城県の適用期間 2021/8/20~9/30 ○まん延防止等重点措置(茨城) 2021.08.08~2021.08.19 2022.01.27~2022.02.20 p53 "COMPASS" 令和元年度から、"COMPASS"という医療センター全部門の合同勉強会を企画しており, 本年度は3 年目となりました。これは、”Conference on Medicine, Physiotherapy, and Acupuncture. Skills and Studies” の頭文字をとったものです。これには、我々自身が 羅針盤になり、新しい文化を皆で創って行こう、という意味が込められています。 "COMPASS" 第5 回 2021.6.23 菅谷 久 先生「これまでの研究と今後の展開について ~運動器の再生医療とは~」 第6 回 2021.9.6 平山 暁 先生 「Gut-kidney cross-talk, uremic toxin, oxidative stress ―五行説における腎相克関係の現代医学的証明―」 第7 回 2021.12.8 木村 健作 先生 「足底板を用いたリハビリテーションの実際」 第8 回 2022.3.16 鮎澤 聡 先生 「私の考える統合医療〜共感を通した時空の生成〜」 p54 "COMPASS 発表スライド" 第7 回 2021.12.8 木村 健作 先生 「足底板を用いたリハビリテーションの実際」 ※発表スライドの一部を抜粋して掲載 p56 第8 回 2021.3.16 鮎澤 聡 先生 「私の考える統合医療〜共感を通した時空の生成〜」 ※発表スライドの一部を抜粋して掲載 p58 令和3 (2021) 年度 国立大学法人筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター 発表会・講演会・同窓会 資料集 令和4 年2 月20 日 13:00~Online 開催 p59 耳閉感を伴う緊張型頭痛に対する鍼治療の1症例 研修生1年目 浦本 諭 【諸言】各種検査で異常がない耳閉感を伴う緊張型頭痛と思われる症例に対し,鍼治 療によって改善がみられたので報告する。 【症例】53 歳女性。医療事務。主訴は,右耳閉感と頭重感(右>左)。 【現病歴】X 年1 月,誘因なく右耳に耳閉感。耳鼻科受診するも検査で異常がなく, ストレスが原因と言われる。X 年4 月には首,肩の凝りと頭重感がひどくなる。X 年 5 月,動悸と嘔気のため総合病院救急外来受診。その後,当センター脳神経外科を受 診,緊張型頭痛と診断され,同科からの依頼により鍼治療が開始となった。 【所見】触覚(C5〜C8),顔面部知覚,表情筋運動異常なし。下顎反射,ウェーバー 試験(−)。 僧帽筋上部,頭板状筋,肩甲骨内上角部に著明な圧痛あり。 【評価】1 週間の平均点なNRS,HIT−6。 【治療・経過】後頸部および肩甲上部の筋過緊張部への鍼通電(1Hz,15 分)を基 本とし,咬筋や側頭筋部への置鍼治療等,適宜,施術箇所を追加した。頭重感の変動 はあるものの,治療開始から順調に症状は軽減していった。耳閉感は当初なかなか改 善がみられなかったが,12 診目NRS4 となり,その後は頭重感と合わせるように症 状が軽減していった。 【考察】過去の報告から鍼施術により後頸部や肩甲上部の筋過緊張が改善することで 循環動態や自律神経系の調整が促され,症状が改善したと考える。 【結語】耳閉感を伴う緊張型頭痛に対し,後頸部や肩甲上部の筋過緊張に対する鍼治 療を行い症状の改善がみられた。 【キーワード】緊張型頭痛,耳閉感,低周波鍼通電療法 p61 右母指掌側の弾発指に対してTENS・棒灸治療で改善が見られた1症例 研修生1 年目 小副川 隆章 【目的】手指の掌側面の刺鍼では痛みを伴うケースが多い。そこで出来るだけ患者に 対する負担が少なく効果が期待できる治療方法として、TENS と棒灸を使用した症例 を報告する。 【症例】54 才男性。シェフ。主訴は右母指の痛み。 【現病歴】1 年前に仕事でトングを使用時に痛みが発症。近医の整形外科にて弾発指 と診断される。屈曲時のロッキングが強くなり、痛みも増してきたことから当センタ ーを受診した。 【所見】腫脹と疼痛が右母指屈筋腱IP・MP 関節直下に認められる。屈曲時にロッキ ング、屈曲・伸展時に可動域制限が認められる。 【評価】右母指掌側の疼痛に対する効果判定を屈曲伸展動作時と安静時で、それぞれ VAS(今まで感じた最大の痛みを100 ㎜とする)を用いて評価を行った。 【治療】施術前、動作時と安静時の痛みの強さはそれぞれVAS で92 ㎜と60 ㎜であ った。痛み刺激を少なく右母指屈筋の動きを出すため正中神経に鍼通電を行い、その 後せんねん灸を3 壮行った。週に1 度3 回の施術でVAS80 ㎜と60 ㎜と若干軽減を した程度に変化した。そこで4 診目から不快感をより少なく刺激量を増やすため IP・MP 疼痛のある局所にTENS と棒灸による施術を行ったところ、8 診目では VAS30 ㎜と0 ㎜に減少した。 【考察】本症例では手指掌側への刺鍼では痛みが伴うことが多いため、十分な刺激を 患部に与えづらいことも多い。TENS や棒灸を使用することで、痛みによる不快感を 少なくかつ、十分な刺激を与えることで疼痛軽減の効果を期待できると考えられた。 【結語】刺鍼に伴う不快な痛みの起こりやすい、母指掌側の弾発指に対して、TENS と棒灸による治療で疼痛の改善が認められた。 【キーワード】弾発指、母指、TENS、棒灸 p63 冷え症を主訴とする患者に対し鍼灸治療を行い 愁訴および東洋医学的所見の改善がみられた一症例 研修生1 年目 上柿 すみれ 【目的】今回、下肢の冷えの改善を目的に治療を行った結果、冷えに対する著効は得 られなかったが、愁訴および明治国際医療大学弁証スコア(以下、MOS)による東洋医 学的所見の改善を認めた症例を経験したため報告する。 【症例】40 歳女性。主訴は下肢の冷え、ヒリヒリ感。 【現病歴】X 年6 月初旬,誘因なく左下肢に冷え感出現。X 年6 月中旬,徐々に冷えが 強くなり、左下腿後面から足底にヒリヒリ感が出現。増悪時には右にも出現。鍼灸治 療開始。 【所見】X 年6 月下旬,整形外科・脳神経内科受診もいずれも器質的異常はなし。反 射・感覚・筋力・循環・理学検査に陽性所見は認められなかった。 【推定病態・評価】推定病態は脾陽虚・気虚・自律神経の乱れとした。冷えとヒリヒ リ感の程度をVisual Analog Scale(VAS)、愁訴を明治国際医療大学弁証スコア (MOS)で評価した。 【治療・経過】初診時VAS36 ㎜、MOS 脾33%、気虚37%、陽虚83%であった。治 療は健脾を中心とした自律神経の調整を目的に1~4 診は全身の経穴に置鍼と太白に せんねん灸、下腹部と仙骨部に棒灸を行った。ヒリヒリ感に対して直後効果が見られ なかったため5 診目からは血管拡張・鎮痛・鎮静を目的とした合谷-手三里・足三里 -三陰交に低周波鍼通電療法を1Hz15 分追加したところ、直後VAS の軽減がみられ たが経時的変化は見られず、月経に伴いVAS に増悪傾向がみられた。しかし便秘や 腹部の張り、足腰のだるさ等の愁訴の改善がMOS より得られた。 【考察】低周波鍼通電療法により疼痛閾値を上昇させ直後効果は得られたが、月経に 伴い増悪、寛解することから、卵胞期から自律神経活動を上昇させるアプローチが重 要であり月経症状に対する鍼灸治療には3 カ月以上の経過をみる必要があると考えら れる。 【結語】下肢の冷えの改善を目的に鍼灸治療を行った結果、冷えに対する著効は得ら れなかったが、愁訴及び東洋医学的所見の改善が見られ、それらは交感神経の抑制と 陽虚・気虚の改善によることが考えられた。 p65 片麻痺患者の肩関節痛に対する鍼治療 ―肩関節の感覚神経に対する低周波鍼通電療法の一症例 研修1 年目 水香 一芳 【目的】 脳梗塞後の片麻痺患者の肩関節痛に対して、疼痛の軽減を目的に肩関節の 知覚神経へ低周波鍼通電療法を実施した。 【症例】 60 歳代女性、主訴は左肩痛。 【現病歴】 X-1 年8 月に脳梗塞発症し、左痙性麻痺が残存。同年12 月から入院中の 病院でリハビリを開始したが、転倒してから左肩痛と外転制限が出現。退院後のX 年 3 月、他の整形外科で肩関節周囲炎と診断されリハビリを開始。その後、6 月から当 センターで鍼治療を開始。リハビリは他部位がメインとなり、肩関節はセルフケアで 対応していた。 【所見】 左肩関節に夜間痛および屈曲・外転・外旋で動作時痛があり、各種理学検 査は陰性だった。触診で亜脱臼が認められ、結節間溝や腱板等に圧痛があった。 【評価】 フェイススケール(最悪を5 とした6 段階評価)を用いた。 【推定病態と治療】 推定病態は、夜間痛等の所見より肩関節周囲炎の疼痛期と推定 した。治療は、疼痛緩和を目的に、肩関節の知覚神経である肩甲上・下神経、腋下神 経に低周波鍼通電療法を週1 回のペースで実施した。 【経過】 開始時4 だったフェイススケールは、8 診目に2 まで軽減するとともに、屈 曲・外旋動作の改善も見られた。しかし、外転は痛みや可動域制限も見られた。 【考察】 肩関節の知覚神経に対する低周波鍼通電によって、痛みの軽減とともに可 動域の改善が見られた。しかし、当初より最大可動域の3 割程度であった外転は、6 割程度の改善にとどまった。元々、癒着性変化と関連がある亜脱臼所見もあり、生活 の中で最も症状の強い外転を制限することで癒着を助長したかもしれない。痛みを伴 うことから、他動的な運動療法を併用して癒着を抑制することで、さらなる外転の可 動域拡大が得られたかもしれない。 【結語】 脳梗塞後の片麻痺患者の肩関節痛に対し、肩関節の感覚神経への低周波鍼 通電療法を行い、痛みの改善がみられた。 p67 椎体圧迫骨折後に発症した腰部の焼けるような痛みに対して鍼治療を行った一症例 研修生1 年目 深川 柱溶 【目的】椎体圧迫骨折後に出現した右腰部の焼けるような痛みに対して、神経障害性 疼痛を推定し鍼治療を行ったところ症状の軽減がみられた一症例をについて報告する。 【症例】70 歳女性、専業主婦。主訴は、右腰部の焼けるような痛み。 【現病歴】X 年3 月に誘因なく腰背部痛が出現。X 年5 月、当センター脳神経内科を 受診し、画像検査を実施。「Th12,L1 椎体圧迫骨折」の診断。服薬治療およびリハビ リテーションを開始。X 年9 月、右腰部にこれまでと性質の異なる痛みが出現。医師 の勧めにより鍼灸治療を開始。 【現症】部位は右側L1-L4 高位の腰部広範囲。性質は皮膚が焼けるような、ジリジ リとした痛み。日内変動があり、夕方から夜に増悪する。増悪因子は歩行や長時間座 位。寛解因子は左側臥位で横になる。ADL 制限は歩行。[既往]X-10 年、本態性振 戦、便秘症。X-5 年、骨粗鬆症。X 年6 月、リウマチ性多発筋痛症。[服薬]鎮痛剤、 ビタミンD 製剤など。 【所見】触覚検査で、右側患部健側10 に対し患側14 の触覚過敏が認められた。触 察では、胸椎後弯・腰椎前弯が増強。Th12 を頂椎とする右凸の側弯。Th12、L1 棘 突起叩打痛陽性。右腰部スキンロールテスト陽性。胸腰椎傍脊柱部の筋過緊張・圧痛 が右側優位に認められた。 【評価】NRS(Numerical Rating Scale)を用いて、想像しうる最大の痛み10 とした 場合の一週間平均の痛みを聴取した。 【治療】椎体圧迫骨折に起因するTh12,L1 脊髄神経後枝の障害と推定し、椎体圧迫 骨折周囲の循環状態の改善および罹患神経の疼痛閾値の上昇を目的に、初診から3 診 目まで骨折部周囲に対して1Hz 低周波鍼通電療法およびスキンロールテストで痛み が出現した部位に置鍼術を15 分間行った。4 診目からは疼痛部位を囲むように横刺 で刺鍼し、1Hz 低周波鍼通電療法を15 分間行った。 【経過】初診時はNRS9 であったが、3・4 診目は、NRS は10 と症状の増悪が聴取 された。4 診目以降、治療方法を変更したところ、NRS の数値は経時的に下がり、 症状の改善が認められた。 【考察】椎体圧迫骨折は、骨折時に生じた骨片または圧潰に伴う椎体後壁の骨折が、 次第に脊柱管内に突出し、神経症状を生じることがある。本症例では、Th12,L1 脊髄 神経後枝が障害されたことで、腰部に症状を誘発した可能性がある。骨折部周囲およ び局所の罹患神経への刺激により循環状態が改善、疼痛閾値に影響したと考える。 【結語】右腰部広範囲に「焼けるような」痛みに対し、椎体圧迫骨折に起因する神経 障害性疼痛と推定し、骨折部周囲および脊髄神経後枝に鍼治療を行ったところ、症状 の軽減がみられた。 【キーワード】焼けるような痛み、椎体圧迫骨折、神経障害性疼痛、脊髄神経後枝 p69 全身のかゆみに対する鍼治療の一症例 研修生1 年目 三浦 桜爾 【目的】全身の痒みが改善した一症例を報告する。 【症例】22 歳男性。主訴は全身の痒み。 【現病歴】X-3 年12 月全身に痒みが出現しT 大学附属病院にてアトピー性皮膚炎の 診断を受けステロイド薬を使用するも、増悪と寛解を繰り返す。X 年6 月から7 月に かけてH 学園付属鍼灸院にて鍼灸治療を3 回受ける。原因は不明であるが鍼通電療 法を行った3 回目施術後に症状増悪。治療方針の変更希望と通院の関係からX 年7 月当センターにて鍼灸治療開始。 【所見・治療】痒みは特に背部に強く、発汗や入浴、ストレスによって頚部・腹部・ 上下肢にも出現する。初診時の痒みの程度VAS69mm、POEM(Patient-Oriented Eczema Measure; アトピー性の湿疹の症状を評価) 10 点( 中等度)、 POMS2(Profile of Mood States 2nd Edition)はT-A77 点D57 点A-H61 点V53 点 F70 点C76 点。切診にて滑数脈、胸脇苦満、舌尖紅。問診にて辛味を好む、焦燥感 があることを聴取した。病態を風熱証、治則を清熱涼血とし両側の合谷、曲池、肩隅、 足三里、治痒、大椎、血海、太衝、風池、肺兪、腎兪、肝兪に単刺術(40mm、16 号)を週に1 度行った。 【経過】2 診目以降はVAS40mm 以下、POEM は5 点(軽症)以下で推移した。ス テロイド薬の使用回数は初診時1 週間平均5 回から治療開始後は1 週間平均1.1 回に 減少した。14 診目で聴取したPOMS はT-A50 点D50 点A-H42 点V60 点F42 点で あり、V のみ上昇し、その他の項目は低下した。 【考察・結語】本症例では痒みに対し単刺術を行い、痒みの軽減と気分状態の改善が みられた。気分状態は皮膚状態や睡眠と関係があるとされている。掻痒感の軽減によ り掻破が減少し皮膚のバリア機能が回復したこと、痒みによる中途覚醒が減少し睡眠 の質が向上したことで気分状態が改善したと考えられる。本症例における単刺術の鎮 痒機序は明らかではないが、鍼通電や置鍼術で刺激過多による症状増悪が考えられる 患者に対しては治療の一つの手段となる可能性が示唆された。 【キーワード】掻痒感 単刺術 アトピー アレルギー p71 糖尿病性末梢神経障害による四肢のしびれに対する鍼施術の1症例 研修生1 年目 望月 憲之 【目的】糖尿病性末梢神経障害によるしびれに対する鍼施術は有効,無効の報告がど ちらもある.糖尿病性末梢神経障害による四肢のしびれを有し,両側下肢振動覚が低 下していた症例に対し,鍼施術が奏功したので報告する. 【症例】76 歳男性.両側下腿外側から足背,前腕外側から手背の感覚がなくなるよ うな冷え冷えとしたしびれ. 【現病歴】X-15 年からHbA1c 8.5%程度で推移し,服薬していた.血糖値が安定し, X-4 年から服薬中止.X-2 年6 月,誘因なく足部にしびれが発症し,手部に拡大.X- 2 年12 月,膝下や肘下まで拡大.X-1 年2 月から12 月までに計15 回の鍼施術を実 施したが,小康状態となり終了.X 年6 月,施術再開. 【所見】X 年4 月のHbA1c は6.1%.頸椎MRI,髄液,血液検査で異常なし.腰椎 MRI 検査でL4/5,L5/S1 で左優位の軽度椎間板ヘルニア,神経伝導速度検査では脛 骨神経,腓骨神経の遠位潜時延長が見られた.アキレス腱反射は+/±,内果の振動覚 (C128 音叉)はX-1 年3 月で3 秒/0 秒,X 年6 月で0 秒/0 秒.(Rt/Lt) 【評価】しびれはVAS(想像し得る最大を100 mm),振動覚はC128 音叉の振動を 感じなくなるまでの時間で聴取. 【治療・経過】橈骨神経,脛骨神経,総腓骨神経への鍼通電(1Hz,15 分)を基本 とし,足底神経への鍼通電等,適宜,施術箇所を追加した.X 年6 月の施術再開後, 12 回の施術により,しびれは下腿で57 mm から24 mm,前腕で41 mm から14 mm に改善,振動覚は比較的軽度な障害であった右から,遅れて左が改善し,7.6 秒 /6.2 秒と正常値に近づいた. 【考察】過去の報告から鍼施術により神経血流が改善し,神経修復・再生が行われ, 神経機能が改善したと考えられ,しびれ及び振動覚が改善したと考える. 【結語】鍼施術により,糖尿病性末梢神経障害による四肢のしびれが改善し,振動覚 の改善も認められた. 【キーワード】糖尿病性末梢神経障害,しびれ,振動覚,鍼通電 p73 鍼治療がリハビリテーションの円滑な遂行を支援できた一症例 研修生2年目 片岡 由起子 【目的】整形外科手術後リハビリテーション(以下,リハビリ)を行っている患者の 手術部位以外の愁訴に対して鍼治療を行うことにより,リハビリが円滑に進んだ症例 について報告する. 【症例】60歳代女性.主訴は両側背部および両側頚部から肩上部にかけてのこり. 【現病歴】X年5月右肩関節人工骨頭挿入術を行い,1か月入院.退院後に両側背部の こりが発症した.退院後,他院にて週2回のリハビリを行っていたが,X年10月リハビ リ後に両側頚部から肩上部にかけてのこりが発症するようになり,本センターを来所 した. 【治療・経過】発症したこりは,いずれも筋力低下に起因する筋・筋膜性症状と考え られたため,当該筋への低周波鍼通電療法を行った.両側背部のこりは4診目以降消失 した.6診目より理学療法士と情報共通等の連携を開始した.両側頚部から肩上部こり は6診目以降患側のみになり,リハビリ後に症状が強くなるが,鍼治療により軽減した. その後,消極的であったリハビリに前向きな行動変容が現れるようになった. 【考察】患者は,こりをリハビリにより生じた症状と認識し,リハビリを行うことで 悪化すると考えていたため,リハビリに対する意欲が低下していた.理学療法士と連 携をとり,鍼治療によりこりを軽減させることで,意欲が低下することなくリハビリ を遂行することができたと考える.リハビリへの意欲は,疼痛状況,疲労感,身体症 状等との関連が認められている.そのためリハビリの意欲が減退しないよう,疼痛コ ントロールを行うことは重要となる.鍼は,疼痛や疲労感の軽減等が期待できるため, リハビリを円滑に進めるための有用な手段であると考える. 【結語】整形外科手術後リハビリを行っている患者に対する手術部位以外への鍼治療 は,リハビリを円滑に行うための支援手段となり得ることが示された. p75 耳鳴りを伴う感音性難聴に対する鍼治療の一症例 研修生2 年 吉川 博美 【目的】耳鳴りを伴う感音性難聴に対して内耳の血流改善と頚肩部の筋血流改善を目 的に鍼治療を行った症例を報告する。 【症例】71 歳、女性、身長157cm、体重50kg。主訴は左難聴と左耳鳴り。 【現病歴】X-1 年2 月左低音部の聴力低下を指摘。N 耳鼻科受診、服薬開始。X-1 年 3 月聴力改善。X-1 年9 月聞こえづらくN 耳鼻科受診、服薬開始。X-1 年12 月聴力 改善。X 年3 月1 日再発、当センター受診。X 年同月2 日鍼治療開始。 【所見】リンネ試験正常、ウェーバー試験右に偏位。触察で両側胸鎖乳突筋、頭板状 筋、斜角筋、肩甲挙筋、菱形筋、側頭筋、咬筋に筋緊張あり。両手足に冷えを認めた。 【治療】特発性感音性難聴及び耳鳴りと推定。左側耳回り及び両側頚肩部の筋緊張部 にステンレス鍼40mm16 号で置鍼術を行った。 【評価】N 耳鼻科で純音聴力検査、治療前後にNumericRatingScale(NRS)、耳鳴苦 痛度の評価(THI)を聴取。 【経過】純音聴力検査では治療前の125Hz が45 ㏈、250Hz が55 ㏈、500Hz が50 ㏈と低下、4 診目で各10 ㏈上昇、9 診目で維持。難聴と耳鳴りは共に1 診目NRS5、 難聴は6 診目NRS2、耳鳴りはNRS0 と改善。7 診目で共に増悪。難聴は11 診目 NRS2 と改善傾向、耳鳴りは12 診目NRS0 となり消失。THI は著変なし。 【考察】局所刺鍼は血流量増加を示し、星状神経節ブロック後の椎骨動脈血流は増加 を認めたことから、耳周囲や頚肩部刺鍼が椎骨動脈に変化を与えたと考えた。これら から蝸牛栄養血管に影響し有毛細胞や神経の賦活化につながったと考えた。 【結語】耳鳴りを伴う感音性難聴に対して、内耳血流改善と頚肩部の筋血流改善を目 的に鍼治療を行った結果、低音部聴力低下は改善傾向、耳鳴りは改善した。 【キーワード】蝸牛栄養血管、交感神経節、軸索反射、椎骨動脈 p77 肩関節周囲炎とテニス肘を併発した1 症例-浴槽清掃動作時の疼痛改善に着目して- 研修生1 年目(PT) 工藤 綾乃 【緒言】右肩関節周囲炎と右テニス肘を併発した症例に対しPT 介入を行い,右肩関 節の屈曲・外転・内旋関節可動域(ROM)の改善が得られたため報告する. 【症例】70 歳代の男性,事務職.主訴は浴槽清掃時の右肩痛および右肘痛. 【現病歴】X 年9 月中旬頃から誘因なく右肩関節外側部に疼痛が生じ,同年10 月頃, 誘因なく右肘関節に疼痛が生じた.浴槽清掃時に感じる右肘関節の疼痛が気になり当 医療センター整形外科を受診し,リハビリテーション介入開始. 【評価】疼痛のnumerical rating scale(NRS),ROM で評価した. 【所見】疼痛は,安静時・夜間時ともになく,右肩外側・右上腕骨外側上顆部が浴槽 清掃時の床と右壁を拭く動作にて増悪した(両部位ともにNRS5/10).疼痛誘発肢位は, 右肩関節屈曲・内旋,肘関節屈曲,前腕回内,手関節背屈位であった.X-P では肩・ 肘関節裂隙狭小化などの異常所見はなく,アライメントは右肩甲骨外転位であった. ROM(Rt./Lt.)は,肩関節屈曲140°/165°,外転80°/175°,外旋(90°外転位)30°/90°, 内旋(90°外転位)20°/55°であった.整形外科的テストは,右肩関節のNeer’s Impingement test,Empty can test,painful arc sign および右肘関節のThomsen test,中指伸展テストで陽性であった. 【治療】PT 介入頻度は週に1 回,肩甲骨外転位に対し大胸筋など前胸部を走行する 筋群に対しストレッチと肩甲骨の位置異常に対し姿勢指導,ROM 制限に対し自動介 助運動のROMex,右肘関節痛の外側上顆部に対し,短橈側手根伸筋のスタティック ストレッチ,前腕回内位かつ手関節背屈位で物を把持しないよう動作指導を行った. 【経過】NRS とROM は,以下,初回時→8 回目介入時と表記する.PT 介入時の動 作時痛は同時期に右肩関節・肘関節ともにNRS5/10→3/10 と減少し,日常生活では 浴槽底部清掃時の疼痛は軽減傾向であった.ROM は,右肩関節外転80°→160°,肩 関節屈曲140°→165°,肩関節内旋20°→40°と増大した. 【考察】右肩関節痛の要因は,肩峰下インピンジメントによるものと考えられた.肩 甲骨外転位に対し大胸筋のストレッチと姿勢指導を介入したところ,肩峰下インピン ジメントに由来する肩関節痛が軽減した.ROM 制限の要因は,右肩関節の疼痛によ るものと考えられる.疼痛が軽減したことで肩関節屈曲・外転・内旋のROM が改善 した.右肘関節痛の要因は,外側上顆炎による疼痛と考えられる.疼痛に対し短橈側 手根伸筋のストレッチ・疼痛誘発動作を行わないような指導により,炎症症状が改善 したことで疼痛軽減につながったと考えられる.また,右肩関節の疼痛とROM が改 善したことにより,肘関節の代償的なオーバーユース負荷の軽減につながったと考え られる. 【結語】右肩関節と右肘関節の疼痛とROM が改善したことで,浴槽清掃動作時の疼 痛が軽減した. p79 東西医学統合医療センター 令和3 年度 業績 ◇原著論文 1) 石山すみれ, 柴田靖, 鮎澤聡. 片頭痛に対する後頭部C2 末梢神経野鍼通電療法の効果 について. 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Journal of clinical medicine. 10(21):5121, 2021. 18) Nishino T, Sugaya H, Kikuchi N, Watanabe Y, Mishima H, Yamazaki M. Bilateral stress fracture of the femoral neck in association with simultaneously developing osteonecrosis of the femoral head: a case report. Journal of medical case reports. 15(1):607, 2021. 19) Sugaya H, Yoshioka T, Tomaru Y, Kumagai H, Yamazaki M, Mishima H. An exploratory clinical trial for concentrated autologous bone marrow aspirate transplantation in the treatment of osteonecrosis of the femoral head. European journal of orthopaedic surgery & traumatology: orthopedie traumatology. 2022. doi: 10.1007/s00590-022-03201-6. 20) Yoshizawa T, Yoshioka T, Sugaya H, Nishino T, Tomaru Y, Wada H, Akaogi H, Yamazaki M, Mishima H. Total Hip Arthroplasty After Failed Hip-Preserving Surgery with Concentrated Autologous Bone Marrow Aspirate Transplantation for Osteonecrosis of the Femoral Head: A Retrospective Study. Indian Journal of Orthopaedics. 56:1251-1258, 2022. p81 Sugita Y, Sakai S. Epicardial adipose tissue is associated with exercise intolerance in patients with diabetes with asymptomatic left ventricular structural and functional abnormalities. European Heart Journal. 42(Supplement_1): 2644. 2021. 22) Kawahara S, Donoyama N. Effectiveness of Anma Massage Therapy in Adolescents with Autism Spectrum Disorder: A Randomized, Cross-over Trial. the Journal of Balneology, Climatology and Physical Medicine. 84(1):46-47, 2021. 23) 福島正也. 理療臨床での評価における視覚障害を有する施術者の困難事象、支援ニ ーズに関する調査. 理療教育研究. 44(1):1-9, 2022. 24) 福島正也. ユニバーサルデザインを指向した臨床用評価支援アプリケーションの開 発とユーザ満足度調査. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 46(2):67-74, 2021. ◇総説、その他の学術論文 1) 鮎澤聡, 周防佐知江.「こくしくん」のあゆみ~国試過去問集からアクティブラーニン グのための統合学習ツールへ~. 筑波技術大学テクノレポート. 29(2):6-13. 2022. 2) 大杉豊, 鮎澤聡, 白澤麻弓, 髙井洋, 吉田将明. 既存教材を活用した医療手話言語通訳育 成における学習ガイドの検討. 筑波技術大学テクノレポート. 29(1):131-132, 2021. 3) 鮎澤聡.「人体科学」誌 -これからの30 年に向けて-. 人体科学. 30(1):1-2. 2021. 4) 石崎直人, 井上萌美, 鮎澤聡. 視覚障害者のための音声サポート機能を利用した東洋医 学学習ツールの開発と実用性の検証. 筑波技術大学テクノレポート. 29(1)83-86. 2021. 5) 櫻庭陽, 吉川一樹, 村山圭祐, 鮎澤聡. 筑波技術大学東西医学統合医療センターにおけ る睡眠障害の患者状況と鍼灸治療. Tehamo 2(1):59-64, 2022. 6) 櫻庭陽, 塚本敏朗, 小林堅造, 岡田富広, 成島朋美, 渡邊 健, 木村健作, 杉田洋介, 吉川一 樹, 鮎澤聡. 資格を有する視覚障がい者に対する鍼技術の遠隔教授-インターネット を活用したリカレント教育の実践-. 筑波技術大学テクノレポート. 29(1):1-6, 2021. 7) 加藤一夫. 鍼通電刺激による細胞内の情報伝達関連タンパク質の活性化の同定. 筑波 技術大学テクノレポート. 29(1):88-87, 2021. 8) 木村和樹, 木村健作. 糖尿病患者の足底感覚の評価と理学療法.理学療法.株式会社 メディカルプレス. 38(12):1102-1108, 2021. p82 9) 近藤宏, 宮城愛美, 香田泰子, 福島正也, 堀江則之, 中村直子, 小林ゆきの, 小林真. 高等 学校に在籍する視覚障害を有する生徒の学習支援に関する調査—Survey on learning support for high school students with visual impairments. 筑波技術大学テクノレ ポート. 29(1):35-40, 2021. 10) 藤本英樹, 金子泰久, 泉重樹, 櫻庭陽, 吉田行宏, 鳥海崇, 池宗佐知子, 玉地正則, 吉田成 仁, 近藤宏, 古屋英治. 鍼治療がスポーツ選手の競技活動に及ぼす影響 鍼刺激感覚とタ イミングに着目した調査研究. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(2):76-85, 2021. 11) 松田えりか, 近藤宏, 木下裕光, 砂山顕大, 石崎直人, 鮎澤聡. 慢性腰痛患者における心 理社会的要因と4 週間後の鍼治療効果との関係(第2 報) 反復測定データの解析とと もに. 全日本鍼灸学会雑誌. 71(2):95-106, 2021. 12) 近藤宏.基礎理療学Ⅲ(新版理療理論)第2 巻はりきゅう理論の部. 岡山ライトハウ ス. 2022. 13) 近藤宏.基礎理療学Ⅲ(新版理療理論)第1 巻あん摩マッサージ指圧理論の部. 岡山 ライトハウス. 2022. 14) Kondo H, Fukushima M, Fujii R. Study on the effectiveness of massage therapy for eyestrain syndrome. NTUT Education of Disabilities, 17:5-7, 2022. 15) 近藤宏, 宮城愛美, 香田泰子, 福島正也, 堀江則之, 中村直子, 小林ゆきの, 小林真. 高等学 校に在籍する視覚障害を有する生徒の学習支援に関する調査—Survey on learning support for high school students with visual impairments. 筑波技術大学テクノレポ ート. 29(1):35-40, 2021. 16) 櫻庭陽. スポーツ分野における鍼灸マッサージに関するエビデンスレポート2020. 公 益財団法人全日本鍼灸学会スポーツ鍼灸委員会, スポーツ鍼灸マッサージevidence, task force (担当:分担執筆). 2022 年. 17) 近藤宏, 藤井亮輔, 福島正也, 成島朋美. あん摩・マッサージ・指圧エビデンスレポート 2021-2 のメタアナリシスと21 のRCT-. 厚生労働省令和3 年度「統合医療」に係 る情報発信等推進事業 委託研究報告書. 2022 年. 18) 福島正也. 眼精疲労に対するマッサージ療法. 卒後鍼灸手技研究会設立15 周年記念誌 講演集成. 97-101, 2021. 19) 松井康. 理学療法ガイドライン 第2 版. 日本理学療法士協会, 日本理学療法学会連合理 学療法標準化検討委員会ガイドライン部会. 医学書院. 2021. ISBN: 9784260046978 20) 松井康. iPad を用いた関節可動域測定の精度に関する研究. 筑波技術大学テクノレポー ト. 29(1):103-104. 2021. 21) 三浦美佐, 大和田滋, 井尻章悟, 上月正博. 高齢慢性腎不全患者へのベルト式電気刺激に よる廃用予防の研究. 筑波技術大学テクノレポート. 29(1),:96-97, 2021 年. 22) 三浦美佐, 下笠賢二, 石崎直人, 酒井俊, 長南浩人. 視覚障碍学生に対する内部障害領域 のアクティブラーニング推進の研究. 筑波技術大学テクノレポート. 29(1):120-121.2021. p83 ◇学会発表、学術講演 1) 鮎澤聡, 周防佐知江, 白岩伸子. 視覚障害学生の医学教育におけるPBL チュートリアル の導入. 第62 回弱視教育研究全国大会(宮城大会) 2022 年1 月14 日 2) 鮎澤聡. 微弱刺激・鍼治療・BDORT〜共感と時空の創出〜. ORT と伝統医学研究会 2022 年2 月12 日 3) 鮎澤聡, 石山すみれ. 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センターの紹介〜 健康生成的統合医療の展開を目指して〜. 第40 回NPO 法人筑波脳神経外科研究会学 術集会 2022 年2 月6 日 4) 鮎澤聡. メトロノームで遊ぼう 〜BDORT の機序を考える〜. ORT と伝統医学研究会. 2021 年12 月11 日 5) 小西美佳, 井口正樹, 佐久間亨, 三浦美佐, 菅谷久, 中村直子, 松井康, 杉田洋介, 木村健作, 成島朋美, 酒井俊. 新型コロナウィルス感染症がパラアスリート の心理面・身体活動量 に与えた影響. 日本アダプテッド体育・スポーツ学会第 26 回大会 2021 年12 月4 日 6) 成島 朋美, 櫻庭陽, 石崎直人, 鮎澤聡. コロナ第1 波における鍼灸受療患者の動向 鍼灸 受療継続に影響を与える要因. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年5 月. 7) 白石智美, 福島正也, 櫻庭陽, 成島朋美, 石崎直人. 抗ヒスタミン薬治療抵抗性の慢性蕁 麻疹が鍼治療で改善した1 症例. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年5 月 8) 加藤一夫. 線維芽細胞に与える周期的電気刺激による細胞骨格および情報伝達関連タ ンパク質の変化. 第127 回 日本解剖学会総会・全国学術集会. 2022. 9) Kazuo Katoh. Cell Bio virtual 2021. An online ASCB/EMBO Meeting. 2021. 10) 櫻庭陽, 塚本敏朗, 成島朋美, 木村健作, 杉田洋介, 岡田富広, 鮎澤聡. インターネットを 活用した視覚障がい者の理療実技教育の実践-鍼通電療法の遠隔教授. 第62 回弱視 教育研究全国大会 2022 年1 月14 日 11) 近藤宏. 本邦におけるあん摩・マッサージ・指圧の有効性や安全性 に関する文献調査 2014 年から2021 年におけるレビュー. 第47 回日本東洋医学系物理療法学会学術大会 総会 2022 年3 月6 日 12) Maruyama H, Sakai S, Ieda M. Enhanced BMPR1B Expression by Endothelin-1 Mediates Proliferation of Pulmonary Artery Smooth Muscle Cells. 17th International Conference on Endothelin 2021 年10 月5 日 p84 13) Sugita Y, Sakai S. Epicardial adipose tissue is associated with exercise intolerance in patients with diabetes with asymptomatic left ventricular structural and functional abnormalities. ESC Congress 2021 2021 年8 月28 日 14) 櫻庭陽, 菊地勇史. 視覚障がい鍼灸あん摩マッサージ師の臨床教育をサポートするため のカルテ作成支援システムの開発の研究. 筑波技術大学テクノレポート 29(1) 109-109 2021 年12 月 15) 櫻庭陽, 森山朝正. 「痛み」へのアプローチ スポーツにおける痛みのケア. Tehamo 1(2) 47-52 2021 年6 月 16) 櫻庭陽. 透析医療における鍼灸治療【施術編】. 茨城県鍼灸師会 令和3 年度 第4 回生 涯研修 2022 年2 月6 日 17) 櫻庭陽. 透析医療における鍼灸治療【基礎編】. 茨城県鍼灸師会 令和3 年度 第4 回生 涯研修 2022 年2 月6 日 18) 櫻庭陽. スポーツ選手に対する鍼灸等の施術. 令和3 年度 (公社)全日本鍼灸学会中国四 国支部 認定指定AB 講座 第2 部 2022 年1 月23 日 19) 櫻庭陽. 新型コロナ感染対策を含めたブース運営の危機管理. 令和3 年度 (公社)全日本 鍼灸学会中国四国支部 認定指定AB 講座 第1 部 2022 年1 月23 日 20) 成島朋美, 櫻庭陽, 塚本敏朗, 杉田洋介, 岡田富広, 村山圭祐, 鮎澤聡. あはき師卒後研修 における多職種カンファレンスによる学び ―筑波技術大学東西医学統合医療センター と視覚支援学校研修科をつないだオンライン研修の試み―. 第62 回弱視教育研究全国 大会(宮城大会) 2022 年1 月14 日 21) 櫻庭陽, 塚本敏朗, 成島朋美, 木村健作, 杉田洋介, 岡田富広, 鮎澤聡. インターネットを 活用した視覚障がい者の理療実技教育の実践-鍼通電療法の遠隔教授. 第62 回弱視教 育研究全国大会(宮城大会) 2022 年1 月14 日 22) 櫻庭陽. 全身状態の把握 遠隔と局所へのケア M-Test と低周波鍼通電療法の併用. 東 京都鍼灸師会 第2 回臨床鍼灸スポーツトレーナー研修会 2021 年12 月12 日 23) 櫻庭陽. 青少年アスリートに対するスポーツ鍼灸. 令和3 年度 公益社団法人埼玉県鍼 灸マッサージ師会 学術研修大会 2021 年12 月5 日 24) 成島朋美, 櫻庭陽, 石崎直人, 鮎澤聡. コロナ第1 波における鍼灸受療患者の動向 鍼灸 受療継続に影響を与える要因. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 25) 櫻庭陽, 成島朋美, 落合恭平, 渡邊健, 坂本一志. 市民マラソンランナーの鍼灸あん摩マ ッサージ指圧の受療状況. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 26) 白石智美, 福島正也, 櫻庭陽, 成島朋美, 石崎直人. 抗ヒスタミン薬治療抵抗性の慢性蕁 麻疹が鍼治療で改善した1 症例. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 27) 石松菜摘, 櫻庭陽, 鮎澤聡. 便失禁に対して仙骨部低周波鍼通電療法を行った一症例. 第 70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 p85 28) 櫻庭陽. すぐに臨床で使える下肢症状の低周波鍼通電療法. 第70 回全日本鍼灸学会学 術大会 2021 年6 月5 日 29) 櫻庭陽. 青少年のスポーツ傷害と鍼灸師ができること. 令和3 年度つくば鍼灸研究会 2021 年5 月25 日 30) 石松菜摘, 櫻庭陽, 成島朋美, 鮎澤聡. 便失禁に対する仙骨部低周波鍼通電療法の2 症例. 第35 回日本ニューロモデュレーション学会 2021 年5 月8 日 31) 白岩伸子, 玉岡晃, 大越教夫. 薬剤性パーキンソニズム治療困難症例とレビー小体型認 知症の関連. 第62 回日本神経学会学術大会 2021 年5 月19 日 32) 殿山希. マッサージの臨床研究:効果と生体作用機転. 第99 回日本生理学会 2022 年3 月16 日 33) 河原忍, 殿山希. 自閉症スペクトラム障害に対するあん摩療法の効果―唾液オキシト シン濃度と「不器用さ」に着目して―. 第27 回日本精神保健社会学会学術大会 2021 年11 月23 日 34) 福島正也. 臨床用評価支援アプリ「CAST-Q」の改良とユーザ満足度調査. 日本東洋医 学系物理療法学会 第47 回学術大会・総会 2022 年3 月6 日 35) 福島正也. 眼精疲労の病態とマッサージ療法. 静岡県鍼灸マッサージ師会 第3回東洋 療法セミナー 2021 年9 月26 日 36) 福島正也. 医療・施術各論 頚部及び上肢 「頚肩腕部の診かたと鍼灸手技療法」. 文部 科学省 令和2 年度 就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業 聴覚・視覚 障害者のための 共生社会実現に向けた『超』職業実践力育成事業 2021 年9 月 37) 福島正也. 前腕部での多発性の絞扼性末梢神経障害が疑われた患者への鍼治療 診断的 治療を指向した一症例. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 38) 村山 圭祐, 福島 正也, 鮎澤 聡, 白岩 伸子, 石山 すみれ. ドライアイを併発した片頭痛 に対する鍼治療の一症例. 第70 回全日本鍼灸学会学術大会 2021 年6 月5 日 39) 松井康. ブライドサッカーにおけるメディカルサポートについて- 国際大会を経験して -. 第8 回スポーツセーフティーシンポジウム 2021 年11 月27 日 ◇公開講座、イベントなど 1) 鮎澤聡, 成島朋美, 杉田洋介, 頭痛のキホンと統合医療センターでの治療. 講師, 企画, 運 営参加・支援. 筑波技術大学東西医学統合医療センター公開講座「統合医療による頭 痛ケア」. 2021 年10 月31 日 2) 近藤宏. 世界盲人連合アジア太平洋地域協議会 第15 回WBUAP マッサージセミナー. 企画立案・運営等, パネル司会・セッションチェア等. 社会福祉法人日本盲人福祉委員 会 2021 年10 月23 日 - 2021 年10 月25 日 3) 近藤宏. 日本理療科教員連盟 2021 年度 全国理療教育研究協議大会(第2 回中央研修 会). 企画, 運営参加・支援. 日本理療科教員連盟 2022 年1 月8 日 - 2022 年1 月8 日 p86 4) 近藤宏. 日本理療科教員連盟 2021 年度 全国理療教育研究協議大会(第1 回中央研修 会). 出演, 運営参加・支援. 日本理療科教員連盟 2021 年12 月11 日 - 2021 年12 月 11 日 5) 近藤宏. 公益社団法人埼玉県鍼灸マッサージ師会 令和3 年度 学術研修大会. 司会, 企画, 運営参加・支援. 公益社団法人埼玉県鍼灸マッサージ師会 2021 年12 月5 日 - 2021 年 12 月5 日 6) 近藤宏. 公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会 第73 回関東甲信越地区協議会埼玉県 大会. 企画, 運営参加・支援. 2021 年10 月31 日 - 2021 年10 月31 日 7) 近藤宏. 2021 年度 ヘルスキーパーリサーチミーティング. 企画, 運営参加・支援. 2021 年10 月21 日 - 2021 年10 月21 日 8) 近藤宏. 公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会 第20 回東洋療法推進大会in 大阪. 運 営参加・支援. 2021 年10 月10 日 - 2021 年10 月11 日 9) 近藤宏. 東京2020 オリンピック・パラリンピック大会 医療サービスメディカルスタ ッフ. 運営参加・支援. 公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織 委員会 2021 年8 月4 日 - 2021 年8 月10 日 10) 七川照男, 櫻庭陽. つくば鍼灸研究会. 企画立案・運営等. 2011 年4 月 - 現在 11) 櫻庭陽. 聴覚・視覚障害者のための共生社会実現に向けた超職業実践力育成事業. 講師, 企画, 運営参加・支援. 令和2 年度 就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事 業(就職・転職支援のためのリカレント教育プログラムの開発・実施) 2021 年6 月 - 2022 年3 月 12) 櫻庭陽. 令和3 年度 福岡県立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業. 企画, 運営参加・支 援. 筑波技術大学高大連携事業 2021 年4 月 - 2022 年3 月 13) 櫻庭陽. 鍼灸あん摩マッサージ指圧実技 筋と神経の低周波鍼通電療法. 講師. 令和2年 度 就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業 “はり、きゅう、あん摩マッ サージ指圧”資格を活用する 専門スキル向上プログラム【視覚プログラム】計2 回 2021 年10 月24 日 - 2021 年11 月7 日 14) 櫻庭陽. 身体所見演習 問診や触診、動きを用いた全身評価. 講師. 令和2 年度 就職・転 職支援のための大学リカレント教育推進事業 “はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧” 資格を活用する 専門スキル向上プログラム【視覚プログラム】計2 回 2021 年10 月 23 日 - 2021 年11 月6 日 15) 櫻庭陽. 鍼灸コラム(ランナー膝、腸脛靱帯炎のツボ). 助言・指導, 寄稿. SEIRIN 鍼 灸院検索サイト 2021 年10 月29 日 16) 櫻庭陽. 多職種カンファレンス. 司会, 講師, 助言・指導. 令和3 年度福岡県立福岡高等 視覚特別支援学校遠隔授業 2021 年10 月7 日 17) 櫻庭陽, 成島朋美. この一日で臨床をイメージ! 腰痛の鍼治療. 講師, 企画, 運営参加・ 支援. 令和3 年度 国立大学法人筑波技術大学公開講座 2021 年9 月23 日. p87 18) 櫻庭陽. 坐骨神経鍼通電療法 IF 点による安全かつ正確な方法. 講師. 令和3 年度福岡県 立福岡高等視覚特別支援学校遠隔授業 2021 年9 月13 日. 19) 櫻庭陽. 統合医療における鍼治療の戦略とその実際-筑波技術大学東西医学統合医療 センター施術部門. 講師. 東京医療専門学校 特別授業 計3 回 2021 年7 月28 日 - 2021 年9 月2 日 20) 松井康. 東京2020 パラリンピック競技大会 ブラインドサッカー日本代表 メディカル スタッフ帯同. その他. 2021 年8 月 - 2021 年9 月 21) 松井康. 東京2020 オリンピック競技大会 医療サービスメディカルスタッフ(サッカ ー競技担当). 運営参加・支援, その他. 公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピ ック競技大会組織委員会 2021 年7 月25 日 - 2021 年8 月5 日 22) 松井康. IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2021 日本代表 メディカルスタ ッフ帯同. その他. 2021 年5 月 - 2021 年6 月 ◇外部獲得資金等 1) 井口正樹. 視覚障害者の運動機能の特徴とバイオフィードバックを用いたトレーニン グに関する研究. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2018 年4 月 - 2021 年3 月 2) 石崎直人. 我が国における鍼灸治療利用の実態と利用者の意識及び満足度に関する全 国調査. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2019 年4 月 - 2022 年3 月 3) 鮎澤聡, 周防佐知江, 佐々木健, 福永克己, 白岩伸子, 石崎直人, 近藤宏, 成島朋美, 櫻庭陽. 視覚障害教育における情報障害支援のための学習ツールの開発とタブレット端末の活 用. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2018 年4 月 - 2023 年3 月 4) 佐久間亨. 視覚障害教育における情報補償機能を備えた動作分析シミュレータの開発. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2019 年4 月 - 2023 年3 月 5) 成島朋美, 櫻庭陽, 鮎澤聡, 中村直子. 筋収縮及び圧・リズムの音声化を指標とした視覚 障害マッサージ師のオンライン実技講習. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研 究(C) 2021 年6 月 - 2024 年3 月 6) 櫻庭陽. 鍼灸電子カルテのアクセシビリティについて. セイリン株式会社 共同研究 2021 年3 月 - 2023 年3 月 7) 櫻庭陽. 視覚障がい者を対象としたオンライン健康運動教室の実践. 健康・体力づく り事業財団 令和3 年度健康運動指導研究助成 2021 年5 月 - 2022 年3 月 8) 櫻庭陽. 医療や健康に貢献できる鍼灸および関連デバイスに関する研究. セイリン株 式会社 奨学給付金 2018 年11 月 - 2022 年3 月 9) 白岩伸子, 周防佐知江. 視覚障害者のための触図とタブレットを融合した携帯できる 新規学習ツールの開発. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2020 年4 月 - 2024 年3 月 p88 10) 菅谷久. 骨髄細胞刺激が骨再生に与える影響の解析と新規治療法の開発. 日本学術振 興会 科学研究費助成事業 若手研究 2018 年4 月 - 2022 年3 月 11) 三島初, 菅谷久. 細胞治療の観点から行う難治性骨折の病態解明と新規治療法の開発. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2017 年4 月 - 2022 年3 月 12) 殿山希. 婦人科がんサバイバーの化学療法誘発性末梢神経障害に対するあん摩マッサ ージの最適プロトコルの作成とその効果の検討. 笹川保健財団 笹川保健財団研究助成 (研究) 2021 年6 月 - 2022 年2 月 13) 福島正也. 視覚障がいのある学生と医療者に配慮された臨床評価支援アプリ(UDMAP) の開発. 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2019 年4 月 - 2023 年3 月 14) 松井康. 日本理学療法士協会 ガイドライン・用語策定委員会 投球障害システマティ ックレビュー班班員. 2018 年 - 2021 年 15) 三浦美佐, 伊藤修, 酒井俊, 上月正博. 血管内皮機能改善を目指した至適運動の解明. 日 本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2021 年4 月 - 2026 年3 月 16) 櫻庭陽. 視覚障がいを有する鍼灸あん摩マッサージ指圧師の職域拡大の可能性ー医 療・福祉の多職種連携における調査研究. 筑波技術大学 2021 年度学長のリーダーシ ップによる教育研究高等化推進事業 A 2021 年7 月 - 2022 年3 月 p89 来院患者数 東西医学統合医療センター開設から年度毎の総患者数の棒グラフ 東西医学統合医療センターにおける令和3 年度の総患者数の棒グラフ p90 編集後記 木村 健作 年報第3 号をお読みいただきありがとうございます.本年度も無事に年報第3 号を発 刊することができました. 現センター長の鮎澤先生のご発案で始まった本年報の企画も2021 年度は引き続きコロ ナ禍による人の行き来の波があり,医療センターの活動も様々な点で制限を受けたことが 反映されています.不要不急の外出を控えるよう全国的な宣言がなされ,体調が悪くても 当院を含む病院への「受診控え」を決断する患者様が多かった印象でした.2022 年11 月 時点では,当センターのある茨城県内の感染者は漸増傾向であり,まだまだ油断できない 状況です.そんな状況にもかかわらず,寄稿文への依頼には,どの先生方も親切に引き受 けてくださり,当年報第3 号も各先生方や研修生OB・OG のご協力の賜物となっており ます. 当医療センターがコロナ禍に負けず,今後とも発展していくよう願いながら,来年度に は年報第4 号が発刊できるように,我々職員も一層精進していきたいと思います.読者 の皆様方におかれましては,引き続きご声援よろしくお願いいたします. 奥付 筑波技術大学保健科学部附属 東西医学統合医療センター年報 第3 号 〒305-8521 茨城県つくば市春日4-12-7 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター TEL:029-858-9590 (8:30~17:00) URL:http://www.k.tsukuba-tech.ac.jp/cl/ 2022 年12 月19 日発行 編集委員長 鮎澤 聡 編集委員 木村 健作,吉川 一樹,櫻庭 陽 印刷 (株)イセブ