理学療法学専攻の特徴

本専攻の概要

筑波技術大学保健科学部保健学科理学療法学専攻は、視覚障害のある学生のみを対象とした日本で唯一の国立大学の理学療法士養成課程です。本学は1990年に筑波技術短期大学として開設され、2005年に4年制大学となりました。理学療法学専攻を卒業すると学士(理学療法学)が与えられ、理学療法士国家試験を受験することができます。

理学療法士について

理学療法士国家試験に合格すると理学療法士免許が取得できます。理学療法士は、ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、座る、立つ、歩くなど基本的な動作を回復させたり、障害が悪化するのを予防することを目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する専門家です。具体的には、硬くなった関節や弱くなった筋力を改善させたり、麻痺した手足を回復させたり、痛みを緩和させたりする治療法から、動作練習や歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改善に必要な技術を用いて日常生活の自立を目指します。

視覚障害補償

本学の障害者高等教育研究支援センターでは、視覚障害者のための支援手法や機器の研究・開発およびコミュニケーション能力や職業能力の開発研究を行っており、理学療法学専攻学生に対する支援も行っています。
具体的には、①スクリーンリーダーや画面拡大ソフトウエアなどの使い方を指導、②ルーペ、単眼鏡、拡大読書器等の視覚補助具の貸し出し・相談など、視覚障害のある学生が安心できる学習環境を提供しています。

定員

理学療法学専攻の定員は1学年10人です。
大学を卒業した方には編入制度があり、編入試験に合格すると2年次編入となります。

授業内容

英語、情報基礎などの教養教育科目に加えて、視覚障害概論などの障害関係教育科目も選択することができます。また、1年次から、解剖学、生理学、医学概論など基礎医学、理学療法入門、リハビリテーション入門など専門理学療法教育科目も始まります。2年次になると専門科目として、理学療法評価法、運動療法基礎、物理療法などが始まり、内科学、神経内科学、整形外科学、小児科学などの臨床医学科目も学びます。また、2年次の9月より、第1期の臨床実習も開始になります。3年次は、さらに専門科目として義肢装具学、整形外科疾患理学療法学、神経筋疾患理学療法学、小児疾患理学療法学、内部障害理学療法学、地域理学療法学などが始まり、専門性が高まります。臨床医学系科目では精神医学、スポーツ医学、老年医学などがあります。また、3年次後期には、第2期の臨床実習があります。4年次では、専門科目では、徒手的理学療法学、障害者生活環境論などがありますが、多くの時間が臨床実習の第3期と第4期にあてられます。4年次の10月頃より、総合理学療法学演習などを通して、これまでの学習の総まとめと理学療法士国家試験にそなえることになります。勉強は大変ですが、少人数であることも影響し、仲間同士で助け合うことが多く見られます。

教職課程

理学療法学専攻の教育課程と平行して教職課程が履修できます。平成25年4月入学者から中学校および高等学校教諭一種免許状(保健)が取得可能となりました。このことにより、従来、取得困難であった特別支援学校教諭の資格取得に大きく道が開かれました。現在、理学療法の教育課程と平行して教職課程が履修できる大学はほとんど存在しないことから、特別支援学校教員を目指す学生さんにとっては大きなメリットとなります。

教職員

理学療法学専攻の専任教員は8名です。各学年のクラス担任・副担任に加えて
アカデミック・アドバイザーとして学生1人に対して教員1名を配置し、きめ細かい学習・生活支援が行われています。

国家試験合格率

理学療法士国家試験合格率は高い水準を保っており、2015から2020年度までの合格率の平均値は95%です。

就職状況

卒業後の就職率はほぼ100%です。就職先は医療施設(病院)が7割近くを占め、老人保健施設15%、社会福祉施設・教育研究施設・その他が17%です。

(主な就職先)板橋中央総合病院、勝田病院、甲州リハビリテーション病院、 筑波記念病院、筑波大学附属病院、獨協医科大学越谷病院、弘前大学医学部附属病院、兵庫子ども発達支援センター、水戸赤十字病院、原宿リハビリテーション病院、名古屋西病院、船橋整形外科病院、なめがた地域総合病院

進学

大学4年間を卒業した後は大学院進学の道もあります。理学療法士としての臨床勤務を経たから大学院に入学するケースもあります。

(主な進学先)筑波技術大学大学院、筑波大学大学院、東北大学大学院、    ベネディクティン大学(米国)、アイオワ大学大学院(米国)

国際交流

理学療法学専攻はアイオワ大学理学療法学部(米国)との大学間交流協定に基づき、毎年2週間の海外研修を実施しています。研修ではアイオワ大学の授業・実習への参加、病院施設見学、学生交流を行います。参加人数は毎年2~4名です。研修参加には医学英語の受講や専門英語の習得が必要です。