国立大学法人 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター

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症状の一覧

頭痛

頭痛は大きく分けて、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛とくも膜下出血など様々な病気によって起こる二次性頭痛があります。当院では主に一次性頭痛を対象としています。片頭痛に対してはトリプタンという薬がありますが、発作の回数を減らす効果はありません。また、市販の鎮痛剤を多用していると、薬物の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)という、薬の飲み過ぎによる頭痛を生じることが知られています。
当センターでは、主に片頭痛や緊張型頭痛に対して、通常のお薬による治療に加えて、漢方薬や鍼治療を用いることで、発作の回数を減らしたり頭痛を和らげたりという予防的な治療を行い、成果をあげています。治療がうまくいくと、頭痛以外の全身的な体調が良くなることも漢方薬や鍼治療を用いた治療の特徴といえます。
また頭痛に対する運動療法では、ストレッチや筋力トレーニング、頭痛体操などを行います。

頸部の痛み・肩こり

寝違えたような痛み、頸を動かすとビリッとした痛みが走る、肩に鉛が置いてあるように重いなど、一言に頸部痛といっても症状は様々です。
痛みの原因は骨の変形や椎間板ヘルニア、頸部脊柱管狭窄症といったものから、画像所見では明らかな異常がないもの、筋肉に原因があるものもあります。画像検査,神経学的検査,整形外科的検査により原因を特定し,適切にアプローチすることが大切です。
筋の異常な緊張が原因の場合は、鍼治療が奏功するときがあります。またリハビリテーションでは、レッドコードを使った筋の緊張緩和やストレッチ、肩甲骨周囲の筋力トレーニングなどを行います。

腰痛・殿部の痛み

腰痛・殿部痛には重だるい痛み,ピキッとした痛み,筋肉が突っ張ったような痛み,下肢までピリピリとしびれるような痛みなど様々な痛みがあります。
これらの痛みを生じる原因として,腰椎椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄症,変形性腰椎症など疾患名が特定できるものの他,原因がはっきりしない急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰),椎間関節性腰痛,椎間板性腰痛,筋筋膜性腰痛症など様々な原因が考えられます。
画像検査,神経学的検査,整形外科的検査により原因を特定し,適切にアプローチすることが大切です。
リハビリテーションでは、ストレッチや筋力トレーニングで腰椎の安定性を高めて疼痛軽減を図ります。また、腰部脊柱管狭窄症の患者さんに対して、有酸素運動と筋力トレーニングを比較した臨床研究を行なっています。
鍼治療では筋の異常な緊張を緩めたり、鍼通電療法などを行うことで痛みを和らげます。

膝の痛み

膝の痛みは、立ち上がり時や階段の上り下りなど、日々の些細な動作に直結する痛みですので、日常生活に支障をきたすものです。痛みは、骨、軟骨、関節包、半月板、靭帯、筋などに変形やスポーツ障害・外傷による炎症や腫脹など様々な原因で引き起こされます。
年齢、性別、運動習慣なども症状に関係するため、問診、検査、X線検査、MRI検査を通して膝の状態を把握して、適切な治療を決めていきます。
膝の痛みの原因となっている部位を見つけ、服薬の他、筋力トレーニングなども専門のスタッフが一対一で指導・治療をしております。リハビリテーションでは、痛みの原因を特定した上で、ストレッチや筋力トレーニング、そして日常生活指導をおこなって疼痛軽減を図っています。
また、鍼治療では、膝周囲の筋肉の緊張を緩和し、膝痛を和らげる効果やリハビリテーションによって生じる筋疲労などの症状緩和に効果があります。

足痛・足裏痛

足は、外反母趾や扁平足などの足部の変形に、動作による過度なストレスが加わることで、痛みにつながることが多い部位です。
腫れや熱感などの炎症所見がある場合、先ずは安静を優先し、運動量や動き方を見直すことが必要です。
炎症が軽減した後、当センターでは下肢の筋力訓練を中心とした運動療法や、症状によっては靴の中敷きであるインソールの調整を行っています。
長距離を歩いた時に足が痛くなる方へ,予防的に行う運動や筋力訓練の指導なども実施していますので、ご希望の方は理学療法士に御相談ください。
リハビリテーションと上手におこなっていく上で、痛みがあると上手く出来ない場合があります。リハビリテーションによる筋疲労などに対して鍼治療が有効な場合もありますので、痛みが強い場合には一度ご相談ください。

運動障害・歩行障害

「動きにくさ」や「歩きにくさ」の原因は、加齢、脳卒中、脊髄小脳変性症、脳性麻痺、パーキンソン病など様々です。
当センターでは、レントゲン画像やMRI、神経伝導速度など各種検査を行い、原因の特定に努めています。その上で、個別の運動療法や鍼灸治療・あん摩指圧マッサージを行っています。
リハビリテーションの保険適用日数を経過した場合でも、月13単位(1単位:20分)以内でのリハビリテーションの実施が可能です。”動きにくさ“や”歩きにくさ“でお困りの方は、一度ご相談ください。

不眠:眠れない

“眠れない”といった症状にも様々なタイプがあります。
日本睡眠学会による定義は以下の通りです。

  • 入眠障害:夜間中々入眠できず寝つくのに普段より2時間以上かかる
  • 中途(中間)覚醒:一旦寝ついても夜中に2回以上覚醒する
  • 熟眠障害:朝起きたときにぐっすり眠った感じが得られない
  • 早朝覚醒:普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう

眠れるようにするお薬や漢方薬も、患者さん自身の症状に合わせて様々なものがありますので、睡眠でお困りの方は一度ご相談ください。
当センターでは、お薬の治療や自律神経検査と合わせて、患者さん自身の身体の状態に応じた鍼灸治療も行うことができます。

倦怠感:だるい、だるさ

だるい、倦怠感という症状はどの年代にも様々な病気によって起こります。
当センターでは問診の他に、血液検査、CTやMRI、レントゲン、自律神経機能検査などを行うことができ、だるさの原因の特定に力を注いでいます。
原因が特定できればその治療を速やかに行うことができ、また原因がはっきりしない症状については、東洋医学である鍼灸治療が処方される場合があり、多方面でのアプローチが可能であるのが当センターの最大の特徴です。
また、加齢に伴う筋力の低下(サルコペニアなど)により倦怠感やだるさを感じる場合もあり、そのような方にはリハビリテーションが有効である可能性もあります。

冷え・むくみ

自覚的・他覚的な冷え感、むくみの原因は多岐に渡ります。
当センターでは、そうした自覚的な冷え感に対し、サーモグラフィー検査を行うことができます。
また冷えの原因を、西洋医学的・東洋医学的といった多角的に捉えることで改善を試みております。
筋力の低下により冷えを感じることもあり、そのような方にはリハビリテーションが有効である可能性もあります。ご自身の症状について、一度当センターでご相談ください。

息切れ:息が切れる

”息切れ“の原因は、加齢、心疾患、呼吸器疾患、精神的なものなどが考えられます。
当センターでは、加齢や様々な病気によって発生する動作時の”息切れ“でお困りの方に対して、個別の運動療法を提供しております。
運動は原則的に息切れが出現しない程度である、『楽である』から『ややきつい』の範囲内で行います。
どの程度の強度で運動をした方が良いか、具体的に分かる検査(心肺運動負荷試験)も実施していますので、ご希望の方は理学療法士に御相談ください。

消化器症状:胃がムカムカ、下痢便秘

検査では異常がないですが、胃がムカムカ、胃もたれがあるなどといった症状を機能性ディスペプシアと呼びます。
そうした症状に対して、当センターでは西洋薬だけでなく、漢方薬や鍼治療などを試みることができます。
下痢・便秘・腹痛などの消化器症状が続くことは日常生活の質を下げます。精査したのですが原因となるような病気がなかった、という方は一度ご相談ください。当センターでは多方面から治療し、生活の質の向上に努めます。
また当センターでは、嚥下機能に対する評価及び鍼治療の臨床研究を行っております。

痺れ:手足のしびれ、ビリビリ感

ビリビリ、じんじん、感覚が鈍い、熱感がある、むずむず感といった不快なしびれを引き起こす疾患は多岐にわたります。
日本整形外科学会によるしびれの原因について以下の通りです

  • 内科的原因:糖尿病やアルコール性など末梢神経が病気で障害を受ける
  • 脊椎に関する原因:脊髄の圧迫や脊髄から出る神経(神経根)の圧迫によるものなど
  • 末梢神経が原因:脊髄から神経が出てからの部分で圧迫がかかることによるものなど

画像検査や神経伝導速度など様々な方法で原因を探し、患者さん一人一人にあった治療を検討しますので、当センターでご相談ください。

顔面神経麻痺:顔がうごかない

顔面神経麻痺は脳梗塞や脳腫瘍などによって生じる中枢性と、ヘルペスウイルスが原因とされる末梢性に分けられ、末梢性が大半を占めます。
当センターでは様々な検査を行うことができます。

  • 顔面麻痺スコア(40点法)
  • 神経伝導速度
  • Electroneurography(ENoG)検査:神経変性を定量的に評価できる

自然に良くなることもありますが、後遺症が残ることもあり、食事や生活の中に直結する症状ですので発症からの期間にかかわらず、一度当センターでご相談ください。
顔のこわばりなどの後遺症に対する鍼灸治療やリハビリテーションも行なっております。

手足のふるえ・震え

自分の意思ではないのに、手足が震えてしまう、という症状を引き起こす病気はさまざまあります。
手が震えてしまい字がうまく書けない、足が震えてしまい歩きづらい、といった症状は日常生活の質を下げます。
当センターでは、神経内科的診察ののち、MRIなどの画像検査などを行い、必要に応じて近隣の画像センターへ紹介を行っております。
症状の緩和につながるよう鍼灸治療やリハビリテーションも行なっておりますので、一度神経内科でご相談ください(神経内科初診は要予約です)。